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「デジタルバレンタイン」#毎週ショートショートnote

 年始の挨拶が年賀状からSNSでのやり取りに変わったように、バレンタインデーにチョコを贈る風習も、実物を用いることはなくなった。想いを込めたチョコ型のスタンプやらチョコ風仮想通貨やらチョコを題材にしたショートショート小説やらを人々は贈りあった。

「デジタルバレンタイン」はその一環として作られた産物である。一人の天才少女と超高度AIと純粋過ぎる恋心から生まれた、最高の味のチョコのレシピが本文中に記されたショートショートであった。それを読んで実際にチョコレートを作ってしまえば、あまりの美味しさゆえに人類が滅びかねない、危険なものである。

「デジタルバレンタイン」は結局少女の初恋相手に贈られることなく削除された。それは何も人類の滅亡を危惧したからではなく、ただ少女が内気すぎたためであり、人類は救われた。

 その翌年、メンタルを鍛え抜いた天才少女の手により完成した「デジタルバレンタイン第二章」により人類は滅亡した。

(了)
406文字

「毎週ショートショートnote」に初参加してみました。

普段は「シロクマ文芸部」で何かしら書いたりしています。現在「脳脊髄液減少症」により入院、安静治療中のため、読書と執筆の日々を過ごしています。



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