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静かな目

『デジタルで読む脳×紙で読む脳』 を読んだ。
自分の読書について最近なんとなく気になっていたことが腑に落ちた。

近年、私たちは毎日スマホやデジタルデバイスから得る情報に何時間も費やしている。
一方、せわしなく動かす眼や指をとめて、「静かな」目で心で自分を見つめ、考えを深める時間をどれだけ使っているか。
読書に関しても、Audibleなどで耳読してしまったり、紙の本であっても斜め読み、目次だけ見てかいつまんで読んだりすることが圧倒的に増えた。忙しい毎日の中で、本来の読み手としての楽しみから遠ざかってしまっていた。
その結果、集中力が散漫で、読むことはもちろん、自分の考えを長い文章にまとめることも困難になってきている。

読書好きな小3の娘が先日、何度も同じ本を読んでいることを話題にして
「同じ本だけど、いつも違う登場人物になりきって読んでるから楽しいんだ~」と。
まさに私も小さい頃はそうであった。
大好きな『赤毛のアン』を 『長靴下のピッピ』を 『ドリトル先生』を何十回と繰り返し読んで
時間を忘れて本の世界に没頭する時、本の中の人の感情や文化、時代背景までを他者の目を通して確かに感じていたように思う。

本は知識を豊かにするだけでなく、違う立場や考え方を知り、味わい、感じることで、他者への共感に繋がることを忘れてはいけない。その深い知識と熟考があってはじめて、デジタルの圧倒的に早くて広い情報を上手に使えるようになるのだ。

小さいうちからデジタルに触れる機会に溢れている子どもたちにどうやって「静かな目」を持たせるか。認知忍耐力をつけさせるか。
これは今後の世界の大きな課題だけれど、まずは自分の本との向き合い方を今一度、見直すことから始めよう。

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間違えなく今年のベスト5に入る1冊。オススメです。

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