見出し画像

中日ドラゴンズ2022年前半戦の振り返り~選手編~

 こんにちは、ドリーです。

 前回の記事に続いて今季の中日ドラゴンズの前半戦の振り返りをしていきます。今回は「選手編」で、データも使いながら見ていきます。

采配編はこちら↓

①投手

 チーム防御率は3.57でリーグ4位と心配されている投手陣ですが、掘り下げてみていきましょう。

主な投手成績(データは7/25時点)

(1)全体

 防御率は悪くなっていますが、指標上はそんなに悪くありません。奪三振率は少し落ちたものの与四球率は減り、被本塁打も大きな変化はありません。ただ、相対的に見ると与四球率がリーグ平均に近づいていることは懸念点に見えます。これは阪神が与四球率1.97という化け物みたいな数字(これに近いNPB通算与四球率が岩隈久志の2.00で平均は3点前後、チームでこの数字はおかしいです)を叩き出しており、リーグ平均が下がるためです。他の5球団の与四球率は2.83なので昨季と比較してリーグ平均に近づいていますがそんなに問題ないレベルです。
 奪三振、与四死球、被本塁打を元にした疑似防御率であるFIPは昨季よりも良くなっていて、リーグ内でも2位です。ホームランを除くインプレー打率であるBABIPもそんなに悪くありませんが、守備は全体的に悪化しているというデータもあるのでその部分の劣化が防御率に直撃しているとも考えられます
 ただし、リーグ平均の投手指標は昨季と比較して良くなっており、セ・パともに打低傾向にあってボールが飛ばないという噂もあります。本拠地のことを考えると外れ値レベルで成績の良い阪神のような投手陣になるのが理想ですが、全体的に悪くはないものになっています。阪神の場合は芯を外したり空振りを取れるボールをゾーン内に投げ込めるからこの投手成績であって、制球力の向上だけでなく威力を自信のあるボールにすることも必要になると思います。

(2)先発

 柳の成績が悪化。四球は減りましたがゾーン内の甘い球が増えた印象があります。その一方で打ち取れる打者は早いカウントでアウトを取っています。今季はのらりくらり躱す投球になりそうです。小笠原は成績は良くなっていて、スライダーも使えるようになってきました。2死からの出塁を減らすことが鍵だと思います。大野雄は小さな故障を抱えながらもカットボールを使えているのが好材料。高橋宏は故障に気をつけるだけ。松葉は6回以降にも好投できる試合が出てきたのでこれを継続してもらいたいです。
 後半戦の希望は勝野と上田。勝野は球威が増してスライダーも強化したので、故障しないことを祈ります。上田は1軍ベンチからの信頼を掴むことが重要だと思います。正直ここまで挙げた7人でローテ回すくらいじゃないと他の投手が厳しすぎます。

2軍の主な先発投手成績(データは7/25時点)

 2軍の先発投手の成績も見ると、岡野が非常に良い成績を残しています。しかし、1軍では与四球率が5.11に跳ね上がるように持ち味を失っています。打低のウエスタンリーグだからこその被本塁打率でもあり、球威不足を意識しているのかもしれません。橋本は中継ぎの成績も入っていますが、ツーピッチを脱却しつつあり四球も減ってきているので、それが成功すれば1軍での先発も考えられます。

(3)中継ぎ

支配下投手の戦力マップ

 中継ぎは起用法がわかりやすいように前回も使用した戦力マップを出します。勝ちパターンは主に清水、ロドリゲス、R.マルティネスの3人。奪三振率が高いだけあってアウトを取りやすい投手を後ろに持って行って勝ち試合を確実に拾いに行きました。祖父江も一時期の不調から復活しました。甘くなると絶好のホームランボールになるスライダーを多投する投手なので不調がそれに直結したとも考えられます。山本はやはりビハインドの展開を中心に投げて1年間中継ぎで準備することを慣らしていくのが良いかもしれません。藤嶋はロドリゲス不在時に勝ちパターンで起用されることがあり、各指標も向上しています。接戦時にも普段と同じ投球ができれば序列の昇格もあり得ます。
 全盛期の力を発揮できていない投手についても見ていきましょう。田島は球速の低下もあって三振が減少。福は奪三振の減少と被本塁打の増加から球威の低下が考えられ、今季はフォームを改造するなど騙し騙しやっている印象です。中継ぎの寿命を考えるとこれくらいでの衰えが来ていてもおかしくないので自分の新たなスタイルを作っていってほしいです。

今後登板数の増加が考えられる中継ぎ(データは7/25時点)

 谷元は打たせて取る投球でビハインドの接戦時などで登板しています。2軍でも状態は良くない状態で昇格したように、決して良い成績ではないことには留意しておきたいです。根尾は投手転向後間もないことを考えたら上出来です。これからは奪三振が増えていくのではないでしょうか。

 2軍のリリーフは全体的に悪く、チーム防御率もウエスタンリーグ最下位であることから察していただきたいです。今いる投手を怪我させないことがリリーフ陣の決壊を防ぐ最善の方法です。

②野手

(1)打撃

主な野手の基本打撃成績(データは7/25時点)

 5月に出したnoteでは割と良いのではと書きましたが、撤回します。非常にまずいです。
 1試合あたりの平均得点は2.88(2020年が3.58、2021年が2.83)。リーグ平均は昨季が3.78、今季が3.69なので少し得点力は改善されましたが、歴史的な貧打と比較してもどんぐりの背比べです。2020年がリーグ平均より0.54点少なかったのでせめてそこまでは行きたいです。
 続いて得点に大きく寄与する出塁率、長打率、OPSや三振率、四球率などを見ていきましょう。

主な野手の打撃成績(データは7/25時点)

 結局今年も長打と四球が少ないです。長打については後で触れます。試合を見ていてもストライクゾーンに投げておけば簡単にアウトを取れて打たれても単打という場面が増えてきました。じゃあもうボール球なんて要らないよねとなるのは当然の流れです。だから四球が増えません。三振率は低下しています。追い込まれるとノーステップにしたりバットを短く持っているので、三振は少なくしたいという意図はチーム全体でありそうです。ただ、それで三振が減るだけでフェアゾーンに飛んだ打球が弱いものでヒットにならなかったら意味がありません。三振は少なく強い打球を飛ばすのが理想ですが、三振が多少多くても強い打球を飛ばすか、まず三振を減らすことを優先するのかは決めたいです。ここ数年の中日は三振を嫌がって当てにいった結果ヒットは出ない本末転倒な状態になっていると感じるので、気をつけたいところです。

前回のnoteを出した時との打撃成績の比較(データは7/25時点)

 次は5月4日にnoteを出した後に打撃成績がどう変化したのか見ていきましょう。
 木下はランナーがいる時に右方向を狙ったりバットを短く持って長打が減り、いつもと違うことをやったことによって成績が落ちた可能性が考えられます。あとは腰痛を抱えたりコロナでの離脱も不振の要因の一つにあると思います。ビシエドは交流戦期間で数字を稼いだ印象。阿部はマークが厳しくなったことや、彼もまた引っ張った強い打球が減ったことがシーズン序盤の好調からの低下の要因でしょう。あとは三振が増えて四球が減っているところは心配です。高橋周は前回のnoteでは復帰直後だったので成績が良化するのは普通の流れですが、それにしてもOPS.611は寂しすぎます。昨季の京田より下ですよ。その京田は復帰後も振るわず。成績の割に三振が多いことは首脳陣からの評価を下げたかもしれません。毎年のようにシーズン終盤には自分の形ができているので今季はそこを目指してほしいです。代わりにショートに入ることが多い三ツ俣は体力面の心配が強いです。京田が戻ってくるまでは土田メインと考えられるのでセカンドが中心になると思います。A.マルティネスはまず怪我を減らしましょう。あとはチャンスで力んでいるのか結果を残せないところくらいです。大島は下垂足の影響で不振になった分成績が悪化しました。彼はもう大丈夫でしょう。岡林は今季は打率を残すところからだと思います。完成形は青木宣親(ヤクルト)と見ているので小さくまとまることだけはないようにしてほしいです。最近は少しずつ二塁打が増えているところが良い傾向です。
 現在離脱している石川昂はコロナからの復帰以降は少し成績が落ちました。ただ、いきなりこれだけの成績を残せたら来季以降が楽しみです。鵜飼は三振を減らす取り組みをした結果だと思いますが、逆に自分の間が取れなくなってしまった印象です。コンタクト能力の割に積極的にスイングすることも三振率、四球率に影響しているのでまずは空振りを過度に恐れない程度にボールに当てる技術を身につけるべきではないでしょうか。

 代打の成績はまとめていて心が苦しくなってくるので簡単なデータだけ置いておきます。打率.183で出塁率.247、得点圏打率は.170です。打てないチームに打てる代打がいることもおかしいのでこの成績になるのでしょう。最近重要な場面の代打で出てくることが増えた溝脇も化けの皮が剥がれたかのようにクリーンヒットが減っています。まずは選手層を厚くするところからですね。

 全体として言えることは得点圏の弱さとストレートへの対応です。投球全体の4割ほどを占める一番基本的な変化球であるストレートを打てないようでは成績残せるわけありませんよね。これはコンパクトに振ることを意識したり逆方向に打とうとしていることも要因の一つだと思います。相手が力を入れてくる場面で打てないのは実力不足です。ストレートへの対応は他の球種が来た時に割り切れるかが重要なポイントだと思います。全球種に対応して空振りしないようにと思っていては中途半端になってどの球種にも対応しづらいと思います。例えば野村克也がやっていた配球読みは「狙っていない球が来て見逃し三振はOK」という割り切りの下で成り立っていたものです。振らなきゃ何も始まらないという考えで結果が残せないこともあります。

(2)守備・走塁

 ここは主観的な話になります。

 守備は全体的に悪化している印象です。コンバートや急造のポジション起用もあり、そこでの綻びをいかに減らしていくかが今後の課題です。特にレフトはガルシアやレビーラ(外野経験なし)が入る話もあるので気をつけなければなりません。そして、ディレードスチールなど細かい動きに弱いので、連携を徹底してほしいです。できればセンターラインを固定してサインプレーへの対応で戸惑うことないようにしたいですが…。
 まずは捕手。木下は盗塁阻止が7月に入ってようやく改善。石橋は5月の木下離脱時に良い働きをしてようやく2番手捕手として起用されるようになってきました。
 内野手はビシエドは特に変化なし。阿部と京田の二遊間に衰えが見られることが心配です。京田の場合は5月に2軍落ち直後に下半身の張りで離脱しているので1軍にいた時から違和感があって我慢していた可能性はあります。サードは石川昂が良い動きをしていて、高橋周も2~3年前ほどではなくても及第点の守備をしています。控えでは土田が前評判通りの好守備を見せていて、三ツ俣も京田のバックアップとしては合格です。溝脇は状況判断のまずさが困ります。
 外野はセンターの大島の守備の劣化が著しいです。スタメンの組み合わせによってはセンターに岡林や後藤を起用することも出てきました。できればコンバートも検討したいですが、打撃型ポジションのレフトだと他の選手も使いたくなるので悩ましいところです。A.マルティネスはだんだん慣れてきたと思います。岡林は一気に良くなっていて驚いています。加藤翔はミスさえ減らせれば…。鵜飼はもう少し球際の強さや追い方を良くしてほしいです。

 続いて走塁。盗塁はリーグ5位の28個で盗塁成功率はリーグ3位の.700。盗塁死はリーグ最少の12個で、無駄死にが少ないことは良いことです。無理に盗塁数を増やすくらいなら確実に行ける所だけ行くのも1つの作戦です。個人では岡林が10盗塁(失敗2)が光ります。高松は成功率を高めないと代走としての評価を下げるので練習あるのみです。
 チーム全体で積極的な走塁が見られ、「迷ったときは行く」という意識で走っていると思います。次は止まることができるかですね。

③まとめ

 ここまで前半戦の中日ドラゴンズの選手の働きを見てきました。最下位に低迷するチームとあってポジティブな内容は少ないですが、悪いところを潰せば少しずつ上位に行けると思います。選手でいえば投打ともに、首脳陣でいえば采配にも指導にも課題が山積しているので、選手も首脳陣も修正してほしいものです。ここまで首脳陣の指導が悪い、采配が悪い、いやいや選手が悪いと揉めていますが、「誰かが悪い」ではなくて「誰もが悪い」のが最下位というものではないでしょうか。

 以上で今回のnoteを終わります。最後まで読んで頂きありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?