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2022年中日ドラゴンズの記憶と記録①キャンプ終了まで

 こんにちは、ドリーです。

 気づいたら2022年も2ヶ月が過ぎてしまいました。プロ野球もキャンプを終えてオープン戦が始まり、シーズンも意外とすぐそこにいるような気がします。

 さて、今回から今年の中日ドラゴンズについて節目ごとに振り返るnoteを出していこうと思います。昨年の秋に与田剛前監督の3年間を総括する記事を書きましたが、その時に自分の感情を参考とする資料がTwitterという雑多なことが書かれたものしかなかったので、少しずつまとめる形で将来自分が見返した時にもわかりやすいものを作ろうと思いました。


1.組織づくり

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 立浪和義監督はこの面においては非常に長けている指揮官ではないかと推察しています。PL学園時代から主将を務めて中日では選手会長として歴代最長の在任期間を経験していることからリーダーシップに優れており、監督就任後は緊張感を持って締める所は締めつつメリハリを持った運営をしていると感じます。これは昨年の臨時コーチを経て現在の選手の性格をある程度把握できたことが大きいのではないでしょうか。

2.春季キャンプの練習

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 昨季までと大きく変わったのは実戦の減少と中盤からの6勤1休導入です。
 与田前監督は実戦主義だったことから早い段階から対外試合を入れていましたが、立浪監督になって対外試合が減りました。これは監督の野球観の違いでありシーズンの結果如何に関わらずどちらが良いとは一概に言えるものではありませんが、今のメリットは試合で出た課題を時間をかけて潰すことができる点が挙げられます。
 キャンプ日程の組み方に関しては4勤で徐々に慣らしていきながら途中から6勤にしてシーズンに体を合わせていくという意味だと思います。結局2月18日の練習は雨天のため一部の投手を除いてご褒美の休日となって3勤と2勤に分けられて6勤は1回だけでしたが、来年以降もこのような形を踏襲するのは良いと思います。

 秋季キャンプから練習のテーマとしては「メリハリをつけて効率良く」というのが根底にあります。単に時間が長いだけの練習は立浪監督も否定的で、上手くなる練習を効率良くやることを求めています。立浪監督自身もベテランになって自由調整が許されてからは練習しない日は球場を1周歩いてそのままゴルフに出かけていたというくらいですからね…。私もただ長い時間やればいいとは思っていないのでこの方針には賛成です。

 投手陣は3日目にストライクテストを実施。課題を10球こなして休憩&マウンド変更、ボールも不意に交換するのを5セットという「インターバル5種目」もありました。前政権では腕を振って勢いのあるボールをストライクゾーン内に投げ込ませる指導法で投手陣を再建しましたが、一方で1軍と2軍の格差が出てきました。そこを埋めるため、若手を伸ばすためにも制球力をつけさせました。その効果は近藤廉やマルクに代表されるように出てきていると思います。あと面白かったのは野手担当コーチによる攻撃面の指導です。これで9人目の野手として他球団に差をつけたら得点力も少し変わってくるかもしれません。金本知憲監督の時の阪神みたいに投手に盗塁はさせなくていいですが…。

 野手はN's Methodが話題の中心に。石川昂弥がホームランを打てば木下拓哉も鵜飼航丞もパカパカ柵越えしていました。練習試合でもホームランが増えていたので後はこれが長続きするかですね。根尾昂は練習はしてますがそれが実を結ぶかは本人次第というところになっていると思います。本人も「わかっていても体がそうならない」と言っていたこともあったのでコーチも見てあげないといけなさそうです。打撃フォームを大きく変えた選手も何人かいるのでそれが良い結果になると信じています。

3.選手の仕上がりと戦力構想

 1月に今季の展望を書いたnoteを出しましたが、そこから動きもあったので前回作った図をブラッシュアップして戦力構想を見ていくことにしましょう。

前回の戦力マップが入っているnoteはこちら↓

3-1.投手

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 まずは先発から。
 開幕投手は大野雄に決定しました。大野雄・小笠原・柳はここまで順調な調整ができているので開幕ローテはまず確定と見ていいでしょう。残り3枠の最有力候補は高橋宏。中10日で回る構想があるらしいので7人目のローテ投手が必要になりそうです。勝野はキャンプ前日に怪我があったものの既に2軍の練習試合で4イニングを投げているため、結果によっては開幕ローテに入れるかもしれません。岡野も順調。今2軍にいるメンバーでは松葉が一番調整が進んでいると思うのでオープン戦のどこかで1軍昇格は考えられます。福谷は投球はできていますが開幕1軍は微妙と見ています。長いイニングを投げられるのでローテにいてほしい選手です。ダークホースとなっているのが岡田。2月25日のオープン戦では血行障害なんて存在しないかのようなキレの良いボールを投げており、ツーシームも試合で使えるようになれば高橋宏との併用などが考えられます。鈴木は好不調の波を無くすことが大事。中継ぎも考えられるロドリゲスは先発としては開幕を計算できないとして、笠原と梅津はもう一押しあると開幕ローテ候補になるのでは。

 続いて中継ぎ。
 嬉しい誤算は近藤とマルク。昨季は初見殺し以上にはなれないだろうと見ていましたが、今は制球が安定してきて2人ともストレートでちゃんと空振りを取れることを証明しました。マルクはウエスタンリーグ所属球団と対戦してボールの本当の質を確認する必要があるでしょう。近藤は変化球に自信を持てたら一気に戦力になれると思います。福はやはりガタが来ているかもしれません。リリーフはこんなもんです。山本と清水は調整の進み具合を見るとリリーフになると思いますが、2人とも制球が安定するかが鍵で、そこを乗り越えたら通年で1軍も見えてくるはずです。橋本は少し時間がかかると思っておいた方が楽かもしれません(私が2軍投手コーチにあまり期待してないのもありますが)。石森と岩嵜は実戦で投げてから判断、谷元はもう少し見てみないと判断できないかなと思います。田島と藤嶋は開幕1軍には入れると思うので、あとは役割がどうなるかですね。祖父江は軽傷であることを祈ります。

 今キャンプで注目されたのが上田と松木平の育成組コンビ。実戦で投げても特長を生かしていたように見えました。今後はこの経験を生かして2軍で研鑽を積んで今季中に支配下登録を目指してほしいです。

3-2.野手

 今回は1軍野手のみを見ます。

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 石川昂と岡林は立浪監督が我慢して使うことを公言しています。昨季も2人とも怪我がなければというところだったので順調に成長していることを表していると思います。あとは開幕から1ヶ月の間に結果を出せるかでしょう、彼らならできると思います。というわけでライトは岡林でほぼ確定。石川昂もサードになる予定です。そこでサードから追い出されるのが高橋周で、セカンドにコンバートされて阿部と争う形になります。現在打撃好調の阿部は外野にも挑戦するので彼はある意味キーマンになるかもしれません。高橋周はあまり良くないというか昨季ほどではなくても打球が上がっていないので高望みは今のところできません。石川昂は今季の時点で阿部や高橋周以上の成績を残す可能性を持った選手なのでこの決断に至ったと考えられます。

 捕手は木下が正捕手であることはほぼ確定として、2番手捕手にまだ頭を悩ませている状態です。沖縄での出場機会は石橋:桂=2:1になっていましたが、ここからはわかりません。期待は石橋にあるものの、アピールに失敗したら桂や郡司が2番手に入るかもしれません。石橋はまだ格の落ちる投手と組むことが多いので失点を一概にリードのせいにはできません。なのでここからが勝負だと思います。

 レフトは鵜飼が頭一つ抜けてきました。守備は「鵜飼はちゃんと守れるって言った人出てこいやぁ!」状態でここ10年で見ても守備の酷さはアリエルと1・2を争うくらいですが、打撃は前評判通りの長打力があります。1ヶ月首脳陣の指導を受けてプロに対応できるようにはなってきたので、あとは大学時代から言われている確実性でしょうか。完成形はブライアント(元近鉄)と見ていて、三振が多くても成績を残せる選手になってほしいです。あとは阿部がレフトに流れてくる可能性も想定されます。山下は打撃でどんどんアピールしてもらいたいです。アリエルは打たなきゃどうにもならんでしょ…。あと郡司って結局レフトやるの?育成のガルシアがどうなるかも楽しみ。

 ファーストビシエド、ショート京田、センター大島は争うメンバーもいないので確定です。ただ、大島は1年半後には良い意味でレギュラーの立場ではなくなるようなチーム状態になることを期待しています。京田は非常に良いので悪くなった時の修正ができるかがポイントでしょう。

 外野のレギュラー争いは岡林が完全にリードしましたが、その他も見ていきましょう。根尾はフォームを作ることを優先し開幕1軍には入れる実力になるかは微妙。守備固めなら出番はあるかも。伊藤もアピール材料がなくどちらかといえば控え要員での構想に。何か特徴が欲しい。三好はキャンプ途中でまさかの2軍行き。今季の首脳陣見た時に左打者は少し苦労するかもなと思ったら本当に心配になってきました。ブライトも左手首を痛めてから打撃がバラバラになり2軍で鍛えることに。攻守ともに粗がありますが上手くハマれば交流戦までに1軍昇格も考えられると思います。

 忘れてはいけないのが福留。まぁこの人が元気。彼をスタメンで何試合も出すような状態は避けたいですが、代打としてもまだまだやっていけると思います。
 その他控え候補の選手は加藤翔が代走と守備固め要員として早い段階で昇格すると思います。控えとしては使いやすい選手だと思うんですよね。高松は腰を痛めた影響もあってか少し出場機会が少ないですが、あの足で1軍に入るでしょう。あとショートやり始めてて驚いています。溝脇はまずプレーの確実性から。堂上もオープン戦終盤には1軍にいるのではないでしょうか。三ツ俣は新型コロナ感染の影響を開幕までに穴埋めできるかです。

4.采配

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 最初に打順を見ていきましょう。打順は選手次第だとは思いますが首脳陣の考えは多少表れるので。
 試合数は多くないですが、1番岡林は基本線で大島が2番になるようです。大島欠場時に2番に京田が入っているので大島を2番にしたいというよりは岡林を1番という意味合いが強そうです。一方で2番大島はバントが減ると立浪監督が語っていた通り、今季はバントが減ると良いですね。
 そして3番が流動的なのが気になります。ここは試合の中でもチャンスで回りやすく、また打席数も多い打順です。そこは固定できないと打線として機能不全に陥りかねないので対応が必要になります。3番を打てる選手がなかなかいない状態ですが、3番軽視とも取られない打順で開幕されると少しきついかな…。さすがに現役時代に3番を打っていた立浪監督ならそこは固定してくると思いますが。理想は3番高橋周(or阿部)5番石川昂でしょうか。木下は負担だったり力みやすいことを考えると6番で留めておきたいです。今状態の良い京田が8番にいるのは良いことで、ここまで来たらしばらくは制限をかけすぎずに打たせてみたいです。
 打線の鍵は石川昂。タイミングの取り方でまだ悩んでいるようなのでそこが決まればってところですかね。今季1年間で一気に3番ビシエド4番石川昂まで行けると嬉しいです。
 出場選手は若手中心。この時期はレギュラー格の選手はそんなに長いイニング出ないので当然だと思います。

 続いて試合中の攻撃での采配。
 この時期は選手の調整の意味合いもあるのであまりバントのサインは出さないですが、バントを減らす構想は持っているのであとはそれが崩れないかだけです。それは選手にかかってると思います。気になるのは、フルカウントからのランエンドヒット。無死1・2塁でフルカウントでも平然と走らせるのでちょっとこれは危ない。しかも相手はオープン戦なので無視してシーズンに入ってから対策する可能性が高いので序盤はそれで苦しむかもしれません。正直期待はしてなかったけど伊東勤以上のことやってくるとは思わなかった…。これは常任指導者1年目なので早いうちに直してくれることを期待しましょう。代打などはこれから起用法が見えてくると思います。

 投手運用は落合英二ヘッド兼投手コーチが中心となっていて、高橋宏を中10日で使うとか使わないとかそんな話も出ているようです。この時期は特に投手運用について書くこともないでしょう。勝ちパターンの投手は誰もまだ試合で投げていないですし。

5.その他

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 首脳陣交代1年目とあって「首脳陣交代ブースト」がかかっていると思います。首脳陣が代わると指導法も起用される選手も変わるので、そこで一気に伸びる選手がいます。野手が散々言われた前政権でも阿部が突然規定打席に到達したり加藤匠馬が92試合に出場したり堂上が2桁本塁打を放ったりということがありました。もしかしたら指導の正念場は来季かもしれません。

 立浪監督のメディア対応も非常に良いですね。開幕投手の発表を相手チームに合わせてきたり上手く利用している感じがします。あとは監督がメディア不信を抱いてあまり話さなくなることは避けたいです。

6.まとめ

 今の中日は良い状態で進んでいると思います。これがAクラス、優勝まで行けるかは別ですが…。さすがにある程度計算できる戦力がもう少しいないと上の順位には行けないと思います。こればかりはオフの動きと球団の金銭事情なので首脳陣や選手にぶつけるものではないです。ただ、戦力は本当に揃ってないので期待しすぎは禁物です。若手を使いたいから新外国人を獲得しなかったわけではなく、新外国人を獲得できなかったから若手を使っているのであって、決してこの動きは正解ではありません。楽しみだけど計算できない、楽しみだけど勝つのとは違うといった感情です。
 あとは若手が伸びて来季以降外国人に頼りすぎないチームになるのがこの懐事情で勝つ方法だと思います。環境に文句ばかり言う前にその環境をどう生かすかが重要です。尤も、この環境では若手が結果を求めるあまり大きく育たなくなりがちなので蓋をできる選手が必要なんですけどね。現状、若手は割と順調に来ていると思います。数年前はプロスペクト自体がいなかったので、プロスペクトを揃えて段階を踏んで育てる時期が今です。

 以上で今回のまとめnoteを終わりたいと思います。ありがとうございました。次は開幕前日くらいを予定しています。

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