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中日ドラゴンズの「2025年問題」を考える

 こんにちは、ドリーです。

 突然ですが、皆さんは「2025年問題」という言葉を知っていますか?

日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想されることを指します。日本の人口は2010年を境に減少を続け、2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。逆に社会保障の担い手である労働人口は減っていくため、社会保障費の増大、不足が予想されるほか、医療、介護分野の整備や少子化対策が急務となっています。

SMBC日興証券「初めてでもわかりやすい用語集」より

 超高齢化社会が進んで現役世代の負担が大きくなり、医療・介護にかける国の予算額も大きな割合を占めていきます。岸田文雄首相も「異次元の少子化対策」を推進すると表明したように、長期計画での人口比率改善もしていかなければなりません。

 それでなんでお前が政治経済のことを語ってるんだというツッコミが来そうなのでそろそろ本題に入ると、プロ野球球団の中日ドラゴンズにも2025年問題が近づいているのです。しかも日本国と同じく高齢化まで絡んできます。その中身と改善策を見ていきましょう。

1.全体像

2025年の中日ドラゴンズ年齢分布

 まずは年齢構成を見てみましょう。もちろん、この中から退団する選手も新たに入団する選手も出てきます。この表では中堅が厚めになっていますが、ドラフトで1年あたり6~10人入団するので若手はもっと多くなると予想できます。

2023年中日ドラゴンズの野手戦力マップ
2023年中日ドラゴンズの投手戦力マップ

 上2つは今年の中日の戦力マップです。2年後の年齢構成と併せて見ると、どのようなチームになるか考えやすいと思います。

2.問題点

 次は「中日ドラゴンズ2025年問題」の問題点を色々挙げてみましょう。

①中継ぎの高齢化&消耗

 中継ぎが投げ続けると消耗するのはプロ野球の常識ともいえますが、その中でも素晴らしい耐久性を見せてきたのが祖父江大輔です。しかし、その祖父江も2年後は38歳で、引退が見えてくる年齢になります。毎年なんだかんだで頼っている谷元圭介は2年後は41歳。もう引退しているかもしれません。彼らに続いて田島慎二と岩嵜翔が36歳、岡田俊哉が34歳と続きます。黄色靭帯骨化症からの復活を目指す福敬登も気づいたら33歳です。
 そして、藤嶋健人とR.マルティネスもこのままいけば2024年で中継ぎとしての勤続6年になります。彼らも投げ続けたことによる劣化は十分考えられます。現在勝ちパターンで投げている清水達也、Y.ロドリゲスも2025年には中継ぎ4年目に入り劣化の可能性は出てきます。

②主力投手のMLB挑戦

 小笠原慎之介は今年の1月にMLB志望を公言しました。今オフは流石に早いと思いますが、2024年オフの移籍は可能性としてあります。28歳となりキャリア全盛期となりそうな時に退団するのは中日にとっては痛手ですね。
 中継ぎの件で紹介したロドリゲスとマルティネスも2024年オフに揃って複数年契約が終了し、MLBに移籍するかもしれません。これはキューバとアメリカの関係にもよります(現在はトランプ前政権が移籍できる協定を破棄したまま)。MLBのスカウトが見に来ていることや本人にMLB志望があることはたびたび触れられています。先ほどの勤続疲労のことも考えたら2025年にはチームの戦力として計算に入れない方が良いかもしれません。

③現時点の2軍投手育成の遅れ

 上記2つを見て「じゃあ育てるなり補強するなりすればいいじゃん」と思う方に残念なお知らせです。
 今の2軍にいる投手は突き上げがかなり弱いです。2軍のチームUZRが-40.5でウエスタンリーグ内で最下位であることを考慮してもです。2022年のチーム防御率は4.76、FIP(奪三振、与四死球、被本塁打を基にした疑似防御率)は4.55はリーグ最下位。ブービーのオリックスでも防御率3.93、FIP4.22であることを見ると深刻です。これに加えて奪三振率も与四球率もリーグ最下位(+イースタンを含めても最下位)で、とても投手有利のナゴヤ球場を本拠地にしているとは思えません。ドラフト上位で指名した選手も伸び悩んでいるようでは非常に厳しいです。
 中継ぎの劣化や主力のMLB挑戦以外にも2年後に37歳になる大野雄大、35歳になる松葉貴大や福谷浩司に代わる先発も育てなければならないので、2軍の役割はかなり大きいです。

④現状でも歪な選手構成

 補強するとしても選手の構成がガタガタになっています。今オフ必死になって捕手のトレード獲得を目指しましたが、結局加藤匠馬を無償トレードで獲得しました。京田陽太(現DeNA)を放出して戸柱恭孝(DeNA)や田村龍弘(ロッテ)を獲得する噂は出ていたのはデマではないかもしれません。郡司が捕手として扱われていない以上は捕手は引き続き探すことになると思います。そしてショートも薄くなっていて補強したいポジションです。これはオープン戦と教育リーグでのショート事情を見ればわかるでしょう。この2つのポジションはトレードでも簡単に獲得できないので、ドラフトに頼ることになります。
 左打者も補強していきたいです。岡林をはじめとして龍空、村松、高橋周、山浅など左打者はアベレージ型が多く、スラッガーがいない状況です。そろそろ左のスラッガーも獲得することを視野に入れなければなりません。
 これに加えて投手の補強を積極的に行うとなるとそう簡単にはいかないことがわかります。

⑤立浪和義監督の契約切れ

 立浪現監督の契約は2024年までと言われています。ミスタードラゴンズと呼ばれ就任を長く待ち望まれた経緯から、基本的には任期いっぱいは監督を務めることになると思います。しかし、2024年オフになれば話は変わってきます。任期残り2年も低迷するのであれば監督の交代も考えられるようになり、2025年から別の監督になるかもしれません。そうなると、また数年計画で再建するという名目でチームを解体する可能性があります。

3.2023~24年オフにやること&やれることリスト

①補強

 まぁ、補強はしましょう。これはドラフトにおいてもです。特に投手を厚く補強する必要があります。

②ベテランの年俸削減

 補強するためには彼らに払う年俸も捻出しなければいけません。
 複数年契約を結んでいるベテランが2024年オフまでに契約が切れます。まずは大野雄大、祖父江、田島、谷元、堂上直倫が2023年オフに契約切れです。今年の成績にもよりますが、後ろ4人は今のところ減俸になる可能性があります。D.ビシエド、大島洋平、マルティネス、ロドリゲス、加藤翔平は2024年に複数年契約が切れます。前2人は加齢による衰えからそれなりの額が減らせるかもしれません。また、マルティネスとロドリゲスは先述の通り退団する可能性が考えられるので、その分を補強費に回せます。球団の財政状況がまたカツカツになったらできないけど!!!

③故障者減少のための努力

 故障が多かったら戦力の計算ができません。それだけに限らず、身体能力の低下、練習量の減少による成長の遅れ、他の選手への負担増があります。スカウト時点で体が強い選手を選ぶことも大事ですが、入団後も故障を減らせる体制作りは急務です。

④2軍を育成組織としてちゃんと機能させる

 2軍で戦力が育たなければ戦力が厚くならないどころか1軍戦力の消耗と高齢化で弱くなります。これだけ投手が育たないと指導者の責任も問われます。2軍投手コーチの外部招聘も検討しなければならないところまで来ました。オリックス、阪神、ソフトバンクのように投手が育っているチームの良いところを積極的に吸収しないと置いていかれるのでは。

⑤野手のチームにしてしまう

 これまで散々投手陣についてネガティブなことを書いてきましたが、ここ数年で補強した野手が機能すれば中日を野手中心のチームにして多少打たれても点を取って勝つ方法もあります。バンテリンドームにホームランテラスを設置できたらそういうチームに作り変えても良いかもしれません。そうでもしないと今後数年で勝ち続けるチームを作ることは難しいと思います。

4.まとめ

 ここ数年貧打に悩まされてきましたが、それを超える難題が中日には待っています。2021年頃から投手に対する危機感はあったものの、それがかなり危険なところまで放置されてきたな…という印象です。ファームは開幕しており、この現状を見るととてもポジティブな未来予想図を描くことは難しくなってきました。それを早いうちに改善しないと更なる泥沼が待ち受けることになります。

 以上で今回のnoteは終わりです。ありがとうございました。

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