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中日ドラゴンズ2022年前半戦の振り返り~采配編~

 こんにちは、ドリーです。 

 前半戦は相手チームのコロナ集団感染というまさかの幕切れでしたが、中日ドラゴンズは38勝50敗1分で借金12、最下位に低迷しています。前回は5月にそこまでの戦いぶりを出す記事を書きましたが、そこには「良い部分に気づいてそれを継続し、悪い部分は改善していくという流れを作らなければ5月以降失速ということも今の戦力では十分あり得ます。采配も選手のプレーも反省点はここまでいくつも挙がると思います。そこを詰められるチーム、同じミスをしないチームが強いチームなので、ここからは失敗を生かせるチームにしてもらいたいです。」と書かれています。ではなぜこんなことになってしまったのか、データなども使いながら見ていきましょう。

 今回はタイトルにもある通り「采配編」です

前回の記事はこちら↓

(1)総評

 だいぶやらかしましたね。前回は「良いとは言えない、理屈よりも流れ重視、目の前のことに集中するあまり全体が見えていない」と書きましたがチームの成績が悪くなるにつれて悪いところが浮き彫りになってきました。投打ともに言えるのは焦りすぎ。たしかに戦力はありません、負けても全てが采配の責任ではありません。ただ、あがき方がどんどん変な方に向かっています。例えば高橋周平のショート起用。チーム全体が打てなくなってきてはいましたが、まともに練習もしていない状態でいきなり守れるほどショートは甘くありません。このまま行ったらOBやマスコミなどは忖度して賛同してるだけで、立浪和義監督じゃなかったらとても許されないレベルの采配になる可能性があります。
 全体的に言えるのはコンディション管理が甘いのではないか?と疑問に思います。「行けるかもしれない→やっぱりダメだから抹消」というパターンが多く、2軍戦で復帰しても早い段階で1軍に戻ってきます。1年戦う中では多少無理をすることはありますが、チーム内で期待される役割をとても果たせないと判断したら早めに動いてほしいです。
 正直細かいところを挙げたらキリがないので投手・野手別で見ていきましょう。

(2)投手

落合英二ヘッド兼投手コーチ

 先発ローテーションは大野雄大、柳、小笠原の3本柱を中心に松葉も加え、この4人が基本的に中6日で回る形になりました。高橋宏斗は中10日を原則としましたが、中7日も2回あるなど登板間隔を詰めることがありました。この時はその次の登板までを中13日にするなど体のケアに割く時間が与えられました。その他はもう選手層の薄さに問題があるので首脳陣ができることとしては指導することくらいしかありません。中5日での登板もバンテリンドーム中心で投げたい松葉をずらした時(結局松葉のコロナ感染で失敗に終わりましたが)、7月19日20日の小笠原と笠原の3回だけなのでローテの組み方は問題ないと思います。先発はここまで名前を挙げた大野雄、柳、小笠原、松葉、高橋宏の5人以外がかなり早い段階で降板させられることがあるくらいで、シーズン序盤に見られた柳の球数過多は改善されてきているので悪くないという評価になるのではないでしょうか。

今季先発投手(代役の藤嶋を除く)の運用一覧

 上の表を見てもわかる通り、登板数が2桁に到達している5人以外の頼りなさ(QS率は21.7%)が窺えます。

支配下投手の戦力マップ(けが人は斜め字)

 中継ぎは3連投が1回と最低限の水準はクリアしています。役割分担は上の図を参照にしてください。交流戦頃までは清水やロドリゲスがたまに僅差ビハインドでも登板することがありましたが、祖父江の復調、藤嶋の信頼向上、谷元の昇格&好投で少しブルペンの層が変わってきたことから7月に入ると僅差ビハインドの戦い方も変わってきました。勝ちゲームはほとんど3点差以内ですが、大差がついた場合は田島や山本、更にはタバーレスの起用をしていた点は前政権からの改善点でしょう。細かい点を見ていくと、6月2日楽天戦での清水の回跨ぎや7月1日阪神戦で大野雄が登板回避してブルペンデーとなった時に中盤に細かく継投して終盤にあわやロドリゲス、R.マルティネス、森のみで回跨ぎもしながら凌ぐことが検討されるなどの反省点はありますが、そこは後半戦で改善してもらいましょう。登板ペースも143試合で60登板ペースの選手はおらず(勝ち試合が少なくて勝ちパターンへの負担が少ないのもありますが)問題なしです。

 根尾の投手転向は本人の可能性を生かすという点で賛成ですが、先発構想がある以上は早いところ2軍で調整させるべきだと思います。3年間投手の練習をしていない選手で150キロを投げる分体力の消耗もあるのは今季1軍で使う上での懸念点です。

(3)野手

左から西山秀二バッテリーコーチ、立浪監督、落合ヘッド兼投手コーチ、森野将彦打撃コーチ

 いや…まさかこんなことになるとは…。全体としては長打軽視になりつつあり、長打で効率よく得点する現代野球を理解した相手に負ける展開が増えています。こっちが繋いで繋いでで点を取ったら長打でドカンとひっくり返される…なんてことも。チームの得点圏打率.223は話になりませんが、ベンチももう少しやれることはあると思います。

 まずはスタメンから見ていきましょう。

スタメン一覧(各ポジション最多はクリーム色、30試合以上スタメンは灰色)

 5月に出したnoteではスタメンの組み方は良いものになっていると書きましたが、負けが込むにつれて悪化。特筆すべきは3番打者の起用。選手がいないのだから固定できないのは仕方ないです。阿部、ビシエド、A.マルティネス、木下の4人が揃っている時期は彼らで3~6番を組めましたが、誰かが不調の時は格段に力の落ちる選手が入ることが多くなります。ただ、それにしても打席数が多く回る3番に実力不足の選手や1軍昇格直後の選手を起用するのは3番を軽視していると言われても文句言えません。だって1番大島2番岡林と来て3番後藤はないでしょ…。オープン戦から3番起用に関してはその傾向が出ていましたが少し驚きです。「A.マルティネスよりバントが上手いから」阿部を3番で起用したという発言もあった通り、3番に小技を求めることもあったのかもしれませんが、次の打順(しかも決して良いわけではないビシエド)に責任を先送りするよりも3番で決めにいった方が良いと思います。

 次にあるのが相手投手の左右に拘ってしまうところです。例えば相手先発が青柳晃洋(阪神)の時に実力の劣る左打者を固めたりするところです。相手を見過ぎて自チームの実力を少し見ていないかなと思います。
 叩かれがちな福留と高橋周の起用についても触れておきましょう。福留の場合は「調子が悪くて打席数重ねたいならこういう大差ビハインドの時に使えばいいじゃん」と思うようなところで使わず、5月になっても接戦のチャンスを中心に起用していたのが疑問でした。高橋周はたしかにずっとスタメンで使うほど良い選手ではないですが、石川昂の離脱後はロクに良い選手がいなかったですからね。1試合くらい三ツ俣や溝脇で茶を濁すことはできたでしょうが、せいぜい短期間のものです。実際溝脇は良い当たりが減ってきていますし。

 あと目立つのが守備軽視です。衰えの見える大島をセンターで起用することは決して守備が上手くないA.マルティネスや鵜飼など他の選手の起用との兼ね合いもあるので仕方ないことです。ただ、ショートで石垣や高橋周(未だに細かいプレーのできない溝脇は置いておく)、サードで阿部、センターに高松を起用するなど守備範囲内の打球を捕れたとしても連係プレーなどの細かい部分を軽視しているように見えてしまいます。

 試合中の采配を見ていても小技による介入が増えてきていますね。ここは点がなかなか取れないと動きがちになるのは納得できます。ただし、大量点を取りに行きたいなら小技はその確率を下げる行為になるのでそこは理解してほしいです。長打よりも繋ぐ野球を理想としているようなので小技を使っていくのはなんとなくわかりますが…。過度なヒットエンドラン、ランエンドヒットが減っているのは良い傾向です。

 ただし、悪いところだけではなく、A.マルティネスの外野コンバートなど積極的なコンバート策によって起用の幅が広がっています。適度な配置転換をして選手が期待通りの働きをすればといったところでしょうか。

 5月の京田の抹消については「戦う顔」という言葉が独り歩きしましたが、病んでいるような状態だったとのことでそういう状態の選手を怒鳴って強制送還したんだ…という驚きはありましたが抹消自体は妥当だと思いました。7月の抹消は他の選手の働きによって焦って昇格させた分もう一度ちゃんと調整する期間を与えた形でしょう。

(4)若手起用

立浪監督と石川昂

 立浪監督就任とともに期待されたのが若手の積極的な登用。監督自身も「3年後のレギュラーを見極める戦い方をする」と就任直後にコメントしていました。

 投手は高橋宏、清水が台頭。上田も先発の機会を与えられ、山本も1軍に定着、森もビハインドの展開を中心に登板を重ねています。野手は岡林が規定打席に到達しており、鵜飼や石川昂もシーズン序盤に結果を残しました。…とだけ書くとあくまでも彼らが起用されるのは成績的にも普通のことになるもので、他の首脳陣でも使われていたと思いますが、その過程が重要です。石川昂は開幕直後で数字が悪くても許される時期だったとはいえ我慢されており、岡林や鵜飼はその後に不振になっても起用されました。他にも郡司や土田が期待を背負って出場機会を与えられることもあったので若手起用は妥当なものだと思います。若手だからといって決して特別扱いされているわけではなく使うに相応しいと思えた選手が起用されている形になっています。逆に使っても結果を残せない選手は切り捨てられており、これくらいのバランスで良いのではないでしょうか。結果を残せた若手は本人の頑張りも首脳陣の指導もあってのものですね。

(5)まとめ

 今回は今季前半戦のドラゴンズの采配について振り返ってみました。
 采配は選手の働きに大きく影響されるものですが、その中でも色々課題はあって戦力がないなりの動き方をしていかないとズルズル負けていくだろうと思います。ただし、負けている多くの原因は選手にあるのでまずは戦力を揃えることが最優先になります。それに対してベンチができることはその選手を指導することです。しかし、この成績では選手が悪いだけでなく首脳陣の指導にも疑問符がついてしまいます。選手への指導が正しいのかは次回見ていきたいと思います。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。近日中に戦力を分析したものも出すのでそちらもご覧ください!


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