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スプリントゴールに集中する勇気


はじめに

これはAgileJapanEXPO Advent Calendar 2023 13日目の記事です。

僕たちのスプリントゴール

今のチームにジョインしてから2ヶ月とちょっと。チームでは私が入社する前からスクラムを採用しており、スプリントゴールも毎回設定されていました。
入社した時点でのスプリントプランニングでは、スプリントゴールとはあまり関連がないけれどもチームのケイパビリティ的に取り組めそうなものはスプリントバックログに積まれていました。
このやり方では、スプリントの終端で終わりきらず次のスプリントに持ち越しするケースが少なからず発生していました。そうすると次スプリントのゴールが「積み残しの消化」となりがちで、スプリントごとにガラッとゴールを変更していくようなダイナミックな動き方はとりづらい状況でした。

入社時点ではある程度単一のゴールが見えており、そこに向かって走り込む状況だったのでそのやり方でワークしていました。今では状況が変わり、より探索的な開発スタイルが求められる状況になってきたため、このスプリントプランニングのやり方に変更を加えていきました。
どのように変更したかというと、スプリントゴールと関連のないタスクはスプリントプランニング時点ではスプリントバックログに積まない、という判断をしました。
スプリントゴールと関連のないタスクについてはプロダクトバックログの一番上におきっぱなしにしておき、このスプリントのスプリントゴール達成の確度がある程度見えてきて、エンジニアが今着手したほうがよいと判断したらおかわりするという取り組み方にシフトしました。

スプリントプランニング時点でよりスプリントゴールへ集中しやすい状況を作る

スプリントゴールに集中することでアジリティが上がる

思い切ってスプリントバックログを絞り込むには勇気が要ります。それまではできるだけタスクを積むやり方をしていたのであればなおさらです。

ですが、勇気をもってこのやり方に取り組み始めてから、面白いことが起きたのです。スプリントゴールに関連しないタスクを除外したことによりスプリント中に考える対象がスプリントゴールに絞られ、チームに集中が生まれました。スプリントゴールへの達成見通しが早い段階で得られ、結果的に「おかわり」も以前と同等かそれ以上に行われるようになりました。

また、スプリント開始時点ではスプリントゴール関連以外にやることをあまり定めていないので、スプリント中に起こった出来事や学んだことから何をおかわりするか判断する余裕が生まれました。この意思決定の遅延が、結果としてチームにアジリティをもたらしました。

PdMとの対話

以前は「やれるかやれないか」の当落線上にあるタスクは「やる」方向に倒していました。今はそういうケースでは「やれる」という確信をもてるものだけコミットメントして、スプリントの途中で余裕があれば追加する形に変わってきています。
また、「やれる」という基準だけでなく、スプリントゴールの達成に寄与するものかという観点でもみています。

このとき、PdMからすると「やらない」に倒したものにいつ着手してもらえるのか不安に感じていたようで、プランニング中に質問がありました。やらないと設定したということは優先順位が低いと判断したのではないか、と。
PdMとしてはこのスプリントでドロップしたものもいずれはやるべきものだと考えているわけですから、どうせやることになるものをなぜわざわざドロップするのか?という点に疑問を感じていたようです。

どうせ作るなら積んでおいたら?というのは気持ちとしてよくわかるので、なぜ私たちがあえて絞り込む進め方をしているのかを丁寧に伝えました。
このスプリントでドロップしたものについて現時点では今スプリントで取り組んでいるものの次点で優先順位が高いことは把握していること、ただスプリント中の学びでそれが変更になる可能性があるので現時点ではコミットしていないこと、やっぱり次にやるのがそれだねとなったらもちろんそれに取り組んでいくよ、というようなことを話しました。

この対話を通して、PdMが「そういった判断ができるという意味でもスコープを絞るメリットがありますね!考え抜ける。」というコメントをしてくれました。すんなり理解を示してくれる当チームのPdMには尊敬しかありませんが、こうしてチーム全体で「スプリントゴールに集中しよう、そうすることでアジリティが上がる」というコンセンサスを持つことができました。

集中する勇気をもって確約しよう

今回紹介した「スプリントバックログはスプリントゴールに関係するものに絞り込む」というやり方は結果的にアジリティを生むので、もっとスプリントを効果的に活用したい!と思ってる方はぜひ試してみてください。
そして、その際はメンバーだけでなく、PdMなどステークホルダーと共通認識をもつように情報を公開したうえで前に進むと良いでしょう。

確約!集中!公開!尊敬!勇気!

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