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「正しいものを正しくつくる」再訪録 #devlove

はじめに

2019年に出版された「正しいものを正しくつくる」。今、あらためてその一冊を手元に、発刊後のアップデートを含め深堀りするイベントが開催されました。これはその参加レポートです。

か、かた、かたち

今回、重要なキーワードになっていたのが「整合をとる」ということでした。整合はいきなりとることはできない、だから仮説検証を進めていく。その仮説検証を進める文脈で出てきたのが「か、かた、かたち」でした。

か(本質)、かた(実体)、かたち(現象)。実現するときはか→かた→かたち、理解するときはかたち→かた→かと逆のプロセスを取ります。

この話を聴きながら、なるほど、かたちは「チャネル」にも相当しそうだな、などと考えていました。それこそ仮説キャンバスは、従来は物理的に作成する想定のもので、チャネルとしては紙・ホワイトボードでした。それが、今回紹介される際にはMiroというチャネルをつかって、Miroの形にあわせたものにアップデートされていた。これは仮説検証という本質を実現していくプロセスで、「かたち」が今の私たちのあり方にあわせ変容した事例にほかなりません。

ジョブ理論っぽさ

「エアコンを操作するのはエアコンのリモコンアプリのUIに閉じる話ではない。空間をどうしたいかという話だ。」

リモコンアプリのUIという「かたち」から考えてしまうとそのUIをどう最適化するかにとらわれてしまう。そもそも本質「か」はなんだっけ?ということが大切だという話は、「顧客はバニラシェイクを買うことが目的ではない」というジョブ理論の話に通じるものを感じました。

はじめて「正しいものを・・・」を読んだときにはあまりジョブ理論との共通項を見出していなかったので、ここは個人的な驚きがあるポイントでした(正しいものを・・・より先にジョブ理論を読んでいたにもかかわらず、気づいていなかったわけです)。もともと内在していたものに対し自分が気づけるようになったのか、アップデートにより両者が接近したのかは不明ですが。

「課題ですか?」「はい、課題です」

課題ですかと問われれば、はいと答える。
じゃあ解決する価値があるんだ!と判断してしまうのは早計で、いまここで解決したいと思っているとは限らない。だから、「他の課題との比較」を取る必要がある。これは本当に重要なポイントで、「お客さんがほしいっていったから作ったのに使ってくれないプンスカ」みたいなものの源泉はこの「優先順位の不在」にあるということがわかります。

新しい仮説持ってきたのねん

PMFの仮説検証が不十分なまま市場に投入するとビジネス規模拡大のための機能追加が氾濫し、そこに負債が横たわる・・・。
いっぺん作って世に出しちゃうと、それが有用なものだと信じたいがためにテコ入れをし続け、いつしか手元には泥団子が残る。これはいかにもありそうな話でした。

邪悪さ

今回のイベントで印象的だったのが、市谷さんが「邪悪さ」という言葉を使っていたことです。仮説検証が不十分なところ、不透明なところ、不安なところに邪悪さは忍び寄る。

後半へ続く

さて、じゃあプロダクトを変えるためにはプロダクトをつくる組織はどうあるべきか。それはもう変化していかなきゃいけないわけで、それは後半の「芯アジャ」の話につながっていきます。こちらのイベントも近日開催予定ということで楽しみです。

芯のあるプロダクトのアップデート

今回のイベントで印象的だったことが2つあります。
1つは、著者である市谷さんがリラックスして、乗りに乗って話していたこと。楽しさがこちらまで伝わってきました。
もう1つは、書籍の芯は変わらず、でも確かにアップデートされた内容であったこと。初版が出版された2019年と比べ、2023年の日本では変革に着手している組織が飛躍的に多くなりました。だからこそ新たな課題が顕在化し、それがアップデートにつながっていたと感じました。
DXという言葉が入り乱れ、一応は「アジャイル」に片足を突っ込む組織が飛躍的に増えた。だからこそ、今だからこそ「正しいものを正しくつくる」という探求の姿勢が求められるのだ。そう強く感じたイベントでした。

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