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『歩きながらはじまること』

西尾勝彦 著

西尾勝彦さんによる詩集。

歩くことが好きな私は、このタイトルを見て手に取らずにはいられなかった。

1年ほど前、ふと、詩を書いてみようと思いたった。私は言葉を探しながらポツポツと喋ることが多い。感じたことが言葉になるまでに間があって、会話の中に居場所を見つけられないことも多く、出せなかった言葉が溜まっていってしまう。

そこで、詩を思いついた。自分の思考と言葉のペースも受け入れてもらえるような気がした。

この詩集を見つけたのは、ちょうどその頃だった。それまで自分がイメージしていた詩よりも自由で、エッセイのようでもあり、そういった境界もぼかしてくれるような、いくつもの詩に出会った。

この詩集への気持ちは言葉にならないものばかりだけれど、この詩集に、西尾さんの言葉に出会えて、本当に良かった。この1年間、たくさん支えてもらった。この詩集のおかげで新たな繋がりもできて、何より、元気になったと思う。

ひと目みた時に驚き、嬉しくなった詩のひとつが『言の葉』という詩だった。この詩は、次の言葉から始まる。

大切な人が
言葉を拾っている姿を見かけたら
声をかけないでください

読みながら顔が緩んでいき、読み終えて、息を長く吐き出した。気持ち良くて、その場で寝転んでしまった。こんな気分になる詩がいくつも入っているものだから、一冊読み終えた時には気持ちが軽くなって、ふわふわと浮かんでしまいそうだった。

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