見出し画像

自動車半導体不足の対応方法

半導体不足が自動車産業に影響を与えています。1台の自動車に搭載される半導体の数が増加している中どう対応していくべきでしょうか。

🟩短期的には自動車生産の減産

 自動車メーカー各社とも半導体不足の影響により工場操業を停止しています。この減産の影響で世界全体では最大500万台に影響が及ぶと言われています。これは2021年の新車販売における、4~6%程度にあたるため、自動車業界全体に影響が大きいです。

 減産の影響を金額に換算すると1100億米ドル(1.2兆円)となり、自動車産業が失った損失は大きいです。自動車メーカーは短期的には減産で対応せざろう得ないですが、長期的な別の対応が求められていまる。

🟩長期的にはチップを備蓄?

 自動車業界はジャストインタイムという在庫を極力小さくする経営手法をとっています。これは「必要な時に、必要な分だけ」という非常に合理的な手法であるが、それにより急な注文や小口の注文が当たり前になっている業界です。

 半導体は製造リードタイムが非常に長く、ウェハー投入から完成まで3~4カ月かかるものもある。急にはどうもできないので、ジャストインタイムに不向きな製品です。

 半導体不足を経験した自動車部品メーカーは、チップの一定の在庫を持つことを重要だと考え始めているようです。

 そこで半導体不足のおこった原因を考えてみる。

🟩災害による半導体不足

 運悪く災害が重なったことが、自動車半導体不足に影響しました。

旭化成
 
2020年10月 旭化成の宮崎県延岡市の半導体工場で火災が発生した。オーディオなどに使うチップが影響を受けました。

ルネサス
 
2021年3月 ルネサス 那珂工場の300mmウェハラインで火災が発生し、主に自動車向けマイコンが影響を受けました。

Samsung NXP Infineon
 
2021年2月 米国テキサス州を襲った異常寒波により電力不足が発生しました。長時間にわたる停電が発生したことで、テキサス州にある半導体工場が操業停止し、車載メモリ関係する半導体が影響を受けました。
 こういった不運は予測するのは難しいが、数か月で生産は復活するので、短期的な対応をすればよい。今回は不運以外にも半導体不足の原因がある。

🟩パンデミックによる半導体不足

 パンデミックにより自動車メーカーは落ち込んだ販売から、半導体需要の予測を引き下げました。ちょうど巣ごもり需要と相まって、半導体メーカーはキャンセルされた受注を、PCやタブレット半導体製造にキャパシティを割り当ててしまった。
 他のチップ生産へ割り当ててしまったキャパは取り戻すのは難しいです。短期間の生産見通しや発注しか示さない自動車メーカーにも非があった。

🟩まとめ

自動車半導体不足へは短期的には減産、長期的には在庫で対応

 不運な災害による影響を抑えるのに在庫で対応は正しいと思う。需要変動に対応するための対応は在庫だけ無理だろう。なぜなら強い部品メーカーは在庫をため込むことができるが、力がないメーカーはできない。結局車両製造のボトルネックは解消されないので誰も得しない状況となります。

 今回の半導体不足を契機に自動車、部品、半導体の各メーカー間の力関係が変わっていくのは確実です。より良いサプライチェーンに変えられるかがポイントとなる。日本メーカーも変化に乗り遅れないことを期待したいです。

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは電子立国 日本を支える子どもたちのためにに使わせていただきます。