２０２３年東京都議会議員選挙（立川市）補欠選挙レポート

　９月に行なわれた立川市長選挙には、立川市選出の都議２人が立候補した。そのため、立川市選出の都議２人が共に辞職。立川市は都議がいないという事態となってしまった。

　その都議会議員の補欠選挙が１０月６日告示、１５日投票で行なわれた。

◆立川市都議会議員補欠選挙立候補者

　立候補したのは次の３人。２議席を巡っての激しい選挙戦が繰り広げられた。

木原　　宏 47 自民党・新
伊藤　大輔 48 都民ファーストの会・新
鈴木　　烈 49 立憲民主党・新（共産党、れいわ、ネット、社民党立川総支部支持）

　辞職した都議２人の後継と、市長選にも出馬した都民ファーストの候補者の３つ巴という、市長選とほぼ同じ構図となっている。

鈴木烈・立憲民主党候補

　酒井大史市長の後任として立憲民主党は鈴木烈・元葛飾市議を擁立。鈴木候補は２００１年に民主党公認で葛飾区議選でトップ当選。１期務めるも、２００５年の区長選に立候補して落選。２０２１年の都議選には町田選挙区から立憲民主党公認で出馬し次点に終わっていた。もともと立川の人間ではない点がどうしても気にかかる。立憲民主党の他、共産党、れいわ新選組、生活者ネットワーク、社民党が支持する実質的な野党統一候補。

木原宏・自民党候補

　木原宏・前立川市議は、市長選で落選した清水孝治・前都議の後任。

伊藤大輔・都民ファーストの会候補

　都民ファーストの会は伊藤大輔・前立川市議を擁立。市長選に続いての立候補となる。市長選の際は国民民主党も推薦していたのだが、今回は都民ファーストの会単独の候補者となっている。

◆立川市都議補選ウォッチ

　鈴木烈候補の告示日の第１声を立川駅で見た。

左より手塚手塚仁雄・立憲民主党幹事長、酒井大史・立川市長、大河原雅子・立憲民主党代議士、鈴木烈候補、宮本徹・共産党代議士

　酒井大史市長を始め、立憲民主党の手塚仁雄幹事長、大河原雅子代議士、共産党の宮本徹代議士らが応援に駆け付けていた。

鈴木烈候補街宣

　また別の日には、立憲民主党の塩村文夏・参院議員の姿もあった。

塩村文夏・立憲民主党参院議員と鈴木烈候補

　なんとも豪華な応援陣だが、まさしく呉越同舟。当選しても果たして各党の思惑をうまくまとめあげていけるかどうか不安になってくる。すぐ近くに顔見知りの市議会議員がいたのでその点を聞いてみたが、その人もやはり不安がっていた。

　告示日には伊藤大輔候補の第１声も立川駅で見ることが出来た。

左より森村隆行・都民ファーストの会代表、伊藤大輔候補、小池百合子都知事

　都民ファーストの会の森村隆行代表と小池百合子都知事が応援にかけつけるなど都民ファーストの会色を強めていた。特に小池百合子都知事が全面に出ている点が注目される。

　残念ながら自民党の木原宏候補の街宣だけは唯一見ることが出来なかった。

◆都議補選当落予想

　今回の都議補選、当選するのは誰になるだろうか。過去のデータによりそれを探りたい。
　２０２１年都議選の際も立憲、自民、都民ファーストの会の３つ巴で争われている。その際の結果は次の通り。

当選20,633酒井　大史 53 立憲民主党・元
当選20,470清水　孝治 55 自民党・現
　　14,619石飛　香織 37 都民ファーストの会・新

　また、２０２３年９月の市長選挙の結果は次の通り。

当選21,731酒井　大史 55 無所属・新
　　20,150清水　孝治 57 無所属・新（自民党推薦）
　　11,463伊藤　大輔 48 無所属・新（国民民主党、都民ファーストの会推薦）
　　 2,440野口　園子 54 無所属・新
　　　 316金村　　誠 48 無所属・新

　どちらも今回の補選とほぼ同じ構図で、上位を立憲民主党と自民党系の候補者が占めている。そう考えると、鈴木候補と木原候補が優位となるのではないだろうか。
　ただ、都民ファーストの会は２０１７年都議選ではトップ当選をしている。また、伊藤候補も市長選に続いての立候補で知名度も上がっている。決して侮れないだろう。

◆開票結果

　立川市都議補選は１０月１５日に投開票された。投票率は27.39％。
　結果は次の通りとなった。

当選17,499伊藤　大輔 48 都民ファーストの会・新
当選12,141鈴木　　烈 49 立憲民主党・新
　　12,050木原　　宏 47 自民党・新

　結果は、予想を大きく覆すものだった。伊藤大輔候補がトップ当選を決め、残り１議席が鈴木・木原両候補のデッドヒート。わずか９１票差で鈴木候補が滑り込んだ。伊藤候補は、市長選での知名度向上に加え、小池百合子都知事の全面的な応援に効果があったのだろう。
　もともと立川の議席というのは自民党と立憲民主党のものだったが、これで自民党は議席を失うこととなった。その代わり、都民ファーストの会が１議席を追加したのであるが、このことが都議会全体に大きな意味を持つことになった。

　２０２２年の東京都議会議員選挙で各党が得た議席は次の通り。

自由民主党　　　　　　　３３
都民ファーストの会　　　３１
公明党　　　　　　　　　２３　
日本共産党　　　　　　　１９
立憲民主党　　　　　　　１５
東京・生活者ネットワーク　１
日本維新の会　　　　　　　１
無所属　　　　　　　　　　４

　１１月には木下富美子都議が自身の不祥事によって都民ファーストの会を離党した後に辞職。その後も首長選や国政選挙に立候補、死亡によって現在８名が欠員となっている。
　立川補選前の現在の会派ごとの人数は次の通りとなっている。

自由民主党　　　　　　２７
都民ファーストの会　　２６
公明党　　　　　　　　２３
日本共産党　　　　　　１９
立憲民主党　　　　　　１４
ミライ会議　　　　　　　４
無所属　　　　　　　　　４
欠員　　　　　　　　　　８

　ここに都民ファーストの会と立憲民主党が１議席ずつ加わることになったのだが、その結果、自民党と都民ファーストの会が２７議席で並ぶこととなった。つまり第一会派が２つということになってしまった。これは都議会始まって以来の事態だという。今後は両会派が協議しながら議会を運営していくことになるのだろうか。
　すでに都議会の任期は半分を過ぎている。各党とも次の都議選に向けて動きが加速していくことだろう。今後も都議会の動きからは目が離せそうにない。