33歳人妻が16歳の少年に恋した話 57 いけない年明け

2022年→2023年。年明け。

フラッグ君から連絡が来た。

「あけおめです」
「喪中だから言えない、ごめん」
「あ、そうか、ごめんなさい」
「ううん」

フラッグ君から1枚のスクリーンショットが送られてきた。

5人の若者がそれぞれ区切られた画面に写り談笑している写真。
zoomか何かだろうか。

「なにこれ」
「年越し通話中!相変わらず騒がしい」

毎年、年越しの際はこうして仲の良い友達とリモートで通話しながら年越しするらしい。
今時の若者は家族みんなでリビングで年越しをしないのか。衝撃だった。

改めて世代差を感じた。

よく見たら上段の左側に写っているのはフラッグ君だ。
いつもと違った見た目だったので全く気が付かなかった。

いつもはセンターで分けている髪の毛を前髪クリップで左右に止めて、黒縁のメガネをかけていた。
これがフラッグ君のおうちモードの姿なのだろう。
超かわいかった。

「え…メガネかけてる…かわいい…」
「なんで笑かわいくないよ」
「もう実家戻ってきてるの?」
「ちがう、おばあちゃんち」

まさかのおばあちゃんの家からリモートで参加。

せっかくなかなか会えない遠方のお祖母さんの家にいるんだから、年越しぐらい一緒に過ごせばいいのにな、と思った。

この感覚がもう年寄りなんだろうか。

「そういえば今月のイベントの後、例の派閥に呼ばれて集まり行ってきます」
「そうなんだ」

1月の半ばに、応援しているスポーツチームの必勝イベントなるものが開催される。

一緒に行くか聞いてみたが、彼はいつもの如くお母様と共に行くそうなので、会場で会えそうな時間があったら会おうということになっていた。

そのイベントの後に、例の派閥の集会があるらしい。
去年彼が勧誘されて加入した派閥。迷惑集団と呼ばれて一部のサポーターから嫌われているあの派閥。

少しだけ心配になった。

「ていうか5日と6日さ」
「何?」
「あのこさん家にポッキー用意しといてよ」
「なんで?」
「ポッキーゲームしよ」
「え???」

ポッキーゲーム???

16歳の少年がポッキーゲームを知っていることにまず驚きだったが、家でポッキーゲームって。

彼の魂胆が見え見えである。

「いいけどほんとそれだけだからね」
「僕が何か期待してるとでも思ってるんですか」
「そりゃあ思ってるよ」
「例えばどんなこと?」
「教えない」
「言えないんだ笑」
「言えないんじゃなく言わないの。大人をおちょくるんじゃないよ」
「とりあえず楽しみにしてます笑」
「私も」

内容云々は置いておいて、年明け早々好きな人と連絡を取り合えるというのは穏やかで幸せな気持ちになるものだな、と思った。

と同時に、彼が家に来たら一体何が起こってしまうのだろうと少し不安になった。

ちょっぴり期待もしていた。

続く

関係ないけど、今日は老舗の和菓子屋さんの娘さんから美味しい最中をもらったのでいい日。最中と聞いて真っ先にミルクボーイ思い出しちゃった。

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