1万個のココロと向き合う時が来た
こんまり、こと近藤麻理恵さんの旦那さんの川原卓巳さんをご存じだろうか。
私も最近まで全く知らなかったのだが、尊敬するフリーライターの川内イオさんの記事を読んで、面白そうな人だなぁ、と思っていた。
その川原卓巳さんが昨年出版したのが、『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』。オーディオブックaudiobookで冒頭部分が無料視聴できたので聴いてみたところ、大いに考えさせられた。
片付けが自分を知る最短の道
川原さんは、奥様の活動をみて「片付けこそが自分を知るプロセス」だと確信されているという。
自分を知ることは自分らしく生きるための第一歩であり、自己啓発本でそのために実行するべきアクションはいろいろと紹介されているが、最も効果があるのは片付けだというのが川原さんの主張だ。
なぜだろう?
家の中を見渡してそこにあるモノの一つ一つは、過去に自分が選んで家の中に迎え入れたもの、自分の持ち物にしようと決めて持ち続けてきたもの。
毎日暮らしてきた日常の小さな一つ一つの意思決定、その結果が今の自分の家の中の風景であり、家の中のモノたちは過去の自分そのものである。
この部分を聴いて、「そうだよなぁ」と脳内ヘッドバッキングするぐらい同意した。
モノは勝手に増えたわけではない。
自分が招き入れたものだ。
自分の意思で選択してきたものだ。
私は「家が片付かない」とイライラする時、たいてい旦那さんや娘のモノに目がいく。手を付け始めるのも、たいてい彼らのモノが先だ。
それは「自分のモノ=自分の選択」と向き合うことへの無意識の逃げであるのだと気がついた。
過去に向き合えないのは未来の自分像がぼんやりしているから
私の気づきを後押しするように、川原さんはこう続ける。
家の中の片付けは過去に自分が選んだもの一つ一つと向き合い、残すか手放すかを決めること。
過去の自分を知って、これからの自分がどうありたいかを決める作業。
だからこそ、片付けは自分を知るための最短の方法であり、しかも家の中が綺麗になるのだから、ぜひやるべきだ、と。
「よし!じゃぁ、片付けをしよう!」
ここですぐに行動できるようなら、私の家は、というか、少なくとも私の私物が入ったクローゼットはすっきりしているはずである。そうではないからこそ、川原さんの記事に目が留まり、著書を探してaudiobookで聴いているのだ。
人は何のために過去と向き合う作業をするのだろう。
それは、未来に向かうためである。
片付け=過去に向き合う勢いがないということは、つまり、向かいたい未来のビジョンがぼんやりとしているからなのではないか。
自分が20数年前にイタリアに来た時に想いを馳せた。
当時の私の荷物といえば、バックパック1個とスーツケース2個だけ。短期滞在ではなく、数年単位で暮らしていくというのに、だ。後から別送で荷物を送ってもらうこともなく、モノが少ないと空港に迎えに来た同僚が驚いていた。
だがそれほど「自分はどこに向かいたいのか、自分に最低限必要なモノは何か」がはっきりしていたといえる。
1万個のモノ=過去の自分の選択とどう向き合うか
川原さんによると、おそろしいことに、家の中にあるモノの数は一人につき1万個から2万個とのこと。
つまり片付けとは単なる掃除ではなく、こういう作業らしい。
すべて一つ一つを手に取り、心の声、身体感覚に従って向き合い、1万回から2万回の残すか手放すかの決断を繰り返す。
なるほど、片付けが難しい訳だ。
決断に瞬発力がある人は、一つ残すor手放すの決断に30秒もかからないだろう。モノが1万個あったとして、30秒x1万個=5000分=83時間。1日1時間を片付けに充てたら約3か月で終わるが、一つ一つが自分の過去の選択と向き合う作業だとすると、そう毎日コンスタントにできることではないような気がする。
それでも、最近「片付け」という言葉がやけに気になり、こうして川原さんの著作に辿り着き、思考の整理のためにこのnoteを書いているぐらいだから、私は片付けがしたい気分なんだろう。
未来の自分のビジョンをクリアにしたい。
それが自分の無意識の希望なのだ。
片付け=未来へ向かう作業
ざっくりとクローゼットや本棚を眺めると、いままで自分が何が好きだったかが見えてくる。それは、懐かしくて愛おしい想い出たちだ。
好きだったモノたち。
そう、「だった」なのだ、過去なのだ。
某アーティストの名曲のように「ムダなものに囲まれて暮らすのも幸せ」だった時期があるが、当時の自分には旦那さんも娘もいなかった。
残念ながら家のスペースに限りがある以上、そのスペースを過去のために残すのか未来のために開けておくのか、自問すればすぐに答えは出る。
未来に残すモノたちを選ぶ。
それは自分がこれからも持ち続けたい価値観を決める作業だ。
10年後、20年後、自分はどんな人でいたいのだろう。
焦らず、ココロの声聞きながら、一つ一つのモノとゆっくり向き合うことで選んでいきたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?