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言葉の還る場所で【谷川俊太郎と俵万智の奇跡の対談!】

ゴールデンウイークいかがお過ごしでしょうか?
旅行に出かけるのも、もちろん良いですが、まったりと読書するのも素敵ですね。

今回は、「言葉」の達人である谷川俊太郎と俵万智の対談集をご紹介します!

詩と短歌という違いはあれど、言葉を扱う職業のトップ中のトップであるお二人。
共通点が多いのかと思いましたが意外や意外。
違う点どころか、真逆の点もたくさんありました。


○著者

●谷川俊太郎

詩人。1931年東京生まれ。受賞・著書多数。
国語の教科書で作品を読んだことがある方も多いはず!

●俵万智

歌人。1962年大阪府生まれ。受賞・著書多数。
『サラダ記念日』は聞いたことある方も多いはず!

「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日は サラダ記念日

○ジャンル

谷川俊太郎と俵万智のオンライン対談集

○あらすじ

言葉の達人である2人が、詩と短歌の相違点、言葉と社会、言葉と音楽、翻訳など、「言葉」を中心としたテーマについてオンラインで語り合う。
俵万智が答える、谷川俊太郎伝説の「33の質問」も収録。

○感想

・両者とも日本を代表する言葉の達人であるため、言葉に対する考えや感じ方が深い。

・2人とも言葉を扱うプロフェッショナルであるが、考え方や好きなもの、生き方がまるで違ったり、時には真逆にだったりして面白い。
しかし、それでもお互いのことをリスペクトしているのが伝わった。

・谷川俊太郎の作品に対する、作者である谷川俊太郎と読者としての俵万智の捉え方の違いなど、作品に対して作り手と受け手の立場で見た時に考えが違っていて面白かった。

・レジェンドである谷川俊太郎に物怖じせずに、素直に話したり、質問したりする俵万智の姿勢や言葉も素晴らしいし、谷川俊太郎の言葉からにじみ出る人柄も素晴らしい。

・あとがきでも触れられているが、対談集は同じ考えの者どうしよりも、違う考えの者どうしの方が、予期せぬ化学反応が起きて面白いと思うが、今回の対談集はまさにそのような感じ。

○印象に残ったこと

・言葉を疑うか信じるか
(言葉でその対象を本当に表現できているのか。言語文化によって、虹の色の数の捉え方が変わるなど)

・短歌は伝統による支えも大きく、自由律詩の立場からすると羨ましい面もある

・型がある短歌と、型が無い自由律の詩の作り方や考え方のと違い

・短歌の大きな魅力は覚えてもらえることであり、良い短歌は人の心に棲みつく(自然と言葉やリズムを覚えてしまう)

・90歳を超える谷川俊太郎の年齢に対する考え方

年輪の中心に生まれたばかりの自分がいて、一番外側に今の自分がいる。齢をとるのは年輪を重ねていくようなもの

○両者の様々な違い

●谷川俊太郎

・音楽性を重視する、音楽がないと生きていけない
・短歌を「メロディ」と捉える
・都会のようなデタッチメントを好む
・3回結婚
・ずっと東京に住んでいる

●俵万智

・音楽にあまり良い思い出がない、日常に音楽がほぼない
・短歌を「リズム」と捉える
・アタッチメントな生き方をする
・未婚
・仙台、石垣、宮崎など何度も引越している

以上です。
言葉の達人であるお二人が生み出す言葉はやはり素敵ですし、言葉からにじみ出る人柄も大変魅力的でした。
気になる方はぜひ読んでみてください!

○関連記事

今回ご紹介した『言葉の還る場所で」は松本(長野)のブックカフェを巡った時に出会えた1冊です。
よろしければ、こちらの記事もご覧ください。


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