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【エッセイ】自我同一性の展開

「自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ」

かの有名なビルゲイツの言葉である。

ゴールデンウィーク、何人か友人に会った。

思い出話に花を咲かせる。

あの人は今はああしてるだの、あの人は結婚しただの。

しかし、その時私は心に寂寥感を抱いたことを白状しなければならない。

彼らはあまりにもいきいきとして見えた。

彼らはあまりにも充実して見えた。

それに比べて私はなんだ。

何もないではないか。

このまま終わっていくのであろうか。

だがしかし、その考えは軽薄だったようだ。

表向きは充実そうにみえても、実際がそうとは限らない。誰しも多かれ少なかれ悩みはあるはずだ。何か抱え込んでいることもあるかもしれない。

そんなことも知らずに、あたかも自分以外みんな幸せだと言わんばかりに勝手に決めつけて、自らを卑下していた。なんとナンセンスなことだろう。

私は自我を保つ為に、「他人」という物差しを使って測っていたのだ。

そりゃあ、手元も狂う訳だ。

「自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ」

自分は自分だ。
私は私の人生を否定しないと誓おう。

他人と比べず、自分らしく生きる人に、私はなりたい。

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