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ここまでわかった犬たちの内なる世界〜#09イヌはにおいを階層化できる〜 カレーの匂いは「カレー」ではない


前回まで2回にわたり嗅覚についてお話しました。イヌは、私たち人間の見えないものを「鼻で見る」ことができるという事実の一端がおわかりいただけたと思います。

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画像:優れた嗅覚ハウンドであるビーグルは、様々な場面で活躍している


今回も、引き続き犬の嗅覚について深掘りを試みます。


においを階層化するとは?

イヌは嗅ぎ取る能力がすぐれているだけでなく、においを分析することができます。様々なにおいが混じりあっているなかで、じゃまなにおいを無視し、特定のにおいを嗅ぎ出すことができるのです。

訓練を積んだ爆発物探知犬は、仮にテロリストが爆発物にシャネルの香水をふりかけて持ち込んだとしても、簡単に見破ってしまいます。
これはまだ序の口です。 

米国税関国境警備局(CBP)の犬部門を司るクラーク・ラーソンによれば、密輸業者がセロハンに包んだ マリファナを玉ねぎで囲んで 密閉容器に入れ、 それをガソリンで満たされたタンクに浸したとしても、 税関で働くビーグル犬なら、それでもなお薬物を嗅ぎ分けられるそうです。

なぜなら、イヌはにおいを「階層化」してとらえることができるからです。


階層化のわかりやすい例を挙げましょう。

たとえば、カレーのにおいは人間にとってはあくまでも「カレー」です。ところが、イヌには、においを構成するターメリック、クミンシード、シナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグ、ローリエ、キャラウェイ、フェヌグリーク等々の各スパイスまで嗅ぎ分けることができるのです。

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進化の秘密は「狩り」にある


このような驚くべき能力を、イヌたちはどこで手に入れたのでしょうか?

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