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犬の生態あれこれ

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犬と人の幸せにつながる、犬の生態に沿った暮らしを。その一助となればうれしいです。 こちらのラインアップでは、1000〜2000字程度の短めの記事をご用意しています。 コンテンツは… もっと読む
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noteに『犬の生態』を書く目的。

19年間、犬について学んでいます。 ほとんど独学です。 犬から教わってきました。 なぜnoteに『犬の生態あれこれ』を書くのか、リストにして手短にお話しします。 1️⃣犬の感覚世界に興味が尽きない 2️⃣自分自身の知識を整理する 3️⃣この機会を利用して科学の新たな進展をインプットする 以上を前提として、1つのテーマごとにコラムを書き綴り、 その集合体としてnoteマガジンを作成する。 これが、動機です。 折れない7本の柱 執筆にあたり柱を立てます。 この『

犬はクサイもので変装する〜 奇妙なふるまいの謎を解く

それにしてもイヌってやつは、人間には理解しがたいような奇妙キテレツなふるまいをする連中だなあ―――。 こんな思いをさせられたのは一度や十度ではありませんが、なかでもきわめつけはかれらの化粧です。 変わり果てたゴールデンレトリーバーの姿を目にした筆者は、一瞬たじろぎました むむっ、これなんだ? 5頭のイヌたちが得体のしれない緑褐色をまとい、その被毛からはえもいわれぬ香りが漂っています。 筆者が以前 フィールドにしていた八ヶ岳山麓の牧草地では、周囲4キロ四方に民家が皆無と

イヌの同性愛はごくふつうのこと?

「同性愛」は様々な動物で見られます。 哺乳類を始め、鳥類、は虫類、両生類、昆虫、線虫まで1500種類以上の動物で、たとえば、マウント、歌やその他の信号による求愛、生殖器の舐めや精子の放出など同性愛的な行動が見られると報告されています。 データを見る限り、自然界では、同性愛は不自然なことではなく、ごく自然な現象と言えそうです。 野生下での同性愛的な行動がしっかりと報告された初めての動物とされるキリンは、性行為をするカップルの約90%が雄同士だといわれています。 キリンの

犬はどのくらいグルメなのか~味蕾にかかわる意外な事実

いよいよ“食欲の秋“の到来ですね。そこで今回のテーマは、味覚について。 イヌは味覚オンチといわれることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。 細胞学的には、 草食動物>ヒト>イヌ>ネコ 味覚が発達しているかどうかの目安になるのが、味蕾の数です。味蕾というのは、舌の上面にある味覚の受容器のことで、その形が花の蕾に似ているところから名がつけられています。 ヒトの味蕾は約1万個あり、甘み・塩味・酸味・苦味の4つの味を識別できます。一方、イヌの味蕾は、ヒトの5分の1以

「服従」を犬の心で考える

イヌが相手の前で仰向けになってお腹を見せるのは、「あなたに服従しているんです」というサインである――。イヌの飼い方のマニュアル本には、例外なくこんなふうに説明されています。 お腹という攻撃されるといちばん弱いところをわざわざさらすのだから、服従の意思表示をしているというわけです。 なるほど、人間の目から見れば、相手のご機嫌を伺うようなこのポーズは媚びた卑屈なしぐさに映るかもしれません。 ここで私たちは自問する必要があります。「服従」(あるいは「支配」)という便利なラベル

神はなぜ、濡れた鼻を犬に与えたのか

皆さんもご存知のように、イヌの鼻は濡れています。濡れているのには、もちろんわけがあります。 そのわけは、鼻を使って世界についての情報を集めるというイヌの生態と大きくかかわっています。 イヌの鼻が乾いても大丈夫か? 鼻が濡れている理由の前に、 大事なことをひとつ確認しておきますね。 イヌの鼻が乾いていると病気になると信じている人が多いかもしれませんが、 AKC(アメリカンケンネルクラブ) によると、 ✅湿気と乾燥はイヌの健康のバロメーターではない ということです。

イヌが草を食べるのは、 クライマーが山に登るのと同じ理由?

散歩中に道ばたに生えている草をムシャムシャ……。 少し移動してまたムシャムシャ……。 Twitter上から食べっぷりのいい姿を拾うのは、 たやすいです。 「Dog Eat Grass」で 検索すれば 、牛馬に引けを取らない“草はみ犬“が続々と出現します。 一方こちらは、牛馬とともに草をはむ(?) 数多のイヌが草を食べています。 犬種の特性などについての調査・分析で実績のあるベンジャミン・ハートらがインターネットを使って植物を食べるイヌの飼い主を対象に調査したところ

あなたはイヌが額から汗を流している姿を見たことがありますか?

もしも、タイトルで示した、 「あなたはイヌが額から汗を流している姿を見たことがありますか?」 という質問を100人にしたら、100人とも「いいえ」 と答えるはずです。 イヌが額に汗をかくことはあり得ません。 人間は暑さを感じると、全身に汗をかくことで体温を下げています。 一方、イヌは汗腺が足の肉球の周辺くらいにしかなく、汗をかけるのは足の裏くらいのものです。足の裏だけ汗をかいても体温は下がりません。 そこでイヌはどうするか? 舌を出してハアハアあえぐのです。 パ