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犬の目線で考える。

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もし犬が言葉を話せたら、こんなことを伝えたいのかもしれないな。そんなイメージでワンテーマごとに深掘りを試みるマガジンです。 ときに動物福祉の視点も入れながら、行動や習性、人との… もっと読む
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記事一覧

"知的不服従"というイヌの能力

先日、ニュースサイトを眺めていたら、気になるタイトルの記事が目に留まりました。 早速、開いてみると、まずは、災害救助犬には、どんなイヌが向いているのかについて述べています。 犬種は限定されていないということです。なぜなら、瓦礫、土砂、雪、水など、救難場所や活動が多岐にわたり、大型犬の体力が必要な時もあれば、狭いところに身軽に入っていける小さめのサイズが求められることもあるからです。 性格的な適性としては、臆病なイヌはNGだとされています。 その理由は、普段とは違うものもの

犬にとって尻尾は"心の窓"

いきなりですが、皆さんに質問です。 でも、どうか身構えないでください。 イヌのしぐさのキホンのキともいうべきごく簡単なことをとり上げます。 【Question】次の2枚のイヌの写真を見比べてください。イヌのしぐさについて、上の写真と下の写真で、特徴的に異なっている点は何ですか? 下の空欄【  】を埋める形で答えてください。 (漢字だと2文字、ひらがなだと3文字) イヌの【  】の位置 なーんだ。簡単すぎて拍子抜けしたぞ という読者もきっといらっしゃることでしょう。

断尾によってイヌの身に起こること〜"個人情報"がダダ漏れなんですけど

イヌは尻尾を動かすことで、表現に幅を持たせていますが、尻尾の信号を自由に送れないイヌが多数存在しています。 人間が尻尾を切ってしまうからです。 断尾の習慣のある犬種は、プードル、ヨークシャー・テリア、ドーベルマン、コーギーなど50種以上に及びます。 尻尾を切るのは、何のためなのでしょうか? 断尾の歴史を紐解く: 冗談のような本当の話 古代ローマ時代には、狂犬病の予防になると信じられていたといいます。まったく科学的根拠を欠いた迷信ですが、実際に、子イヌの尻尾を噛み切る人

「毛皮の下はオオカミ」説の終わり方(続編)〜時代遅れのリーダー論に長いお別れを

前回は、アルファ神話がどのように生まれ、どこに問題点があるのかを明らかにしました。 今回は筆者の体験を踏まえ、まずは持論を述べていきます。 イヌの「しつけ」本の中には、「イヌは人間の家族にランキングをつけて、階層での自分の地位をあげるために、やっきになっている。イヌが四六時中、飼い主を見ているのはそのためだ」という意見もあります。 これもまったく非科学的なこじつけといわざるを得ません。 この主張の前提になっているのは、イヌと人間が同じ群れに属しているとイヌは思ってい

「毛皮の下はオオカミ」説の終わり方〜 犬にとって迷惑千万のアルファ神話がなぜ広まったのか?

これからする話は、できれば、筆者と皆さんの認識をすり合わせておきたい重要なテーマなので、なるべくわかりやすくお話するつもりですが、万一、難しいなと思ったら、飛ばして読んでいただいてもかまいません。 アウトラインは、次のような並びです。 1️⃣犬との生活で大切なのは「どう従わせるか」ではなく
「どう幸せにできるか」 2️⃣非常識が常識になる犬にまつわる誤解 3️⃣体罰を助長したリーダー論 4️⃣オオカミのリーダーは、「お父さん」「お母さん」とほとんど同義 5️⃣ な