【思考実験】ソーシャルビジネスと福祉(就労系)の掛け合わせについて
どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。
ちょっと興味を持ったことからソーシャルビジネスと福祉(就労系)の掛け合わせについて考えてみることにしました。
いま、日本では労働者不足だとか人手不足として多くの事業者が雇用できるかできないかについて大いに悩み、苦労してることは報道等で喧伝されている通りです。
おそらく、ぼくの見立てではありますが、この問題は事業者が立ち行かなくなり事業者の統廃合や、そもそも事業継続を諦め破産や廃業をすることで供給側(労働者)の数に応じた需要数へと減少していく、つまりは自然淘汰的に解決していく他にないのではないかと悲観的な方向で考えています。
その一環として事業者側は就労する人たちの母数を確保することと、ちょっと立ち入った複雑で専門的な知識やスキルが必要な業務を行える人材を外部から確保する必要が出てきて、外部から求めるばかりではなく自社の人材も多様な経験を…と副業や複業といった働き方を認めざるを得なくなるのではないか、なんてことも期待を込めて想像していたりします。
一方、賃金において健常者枠で雇用される人たちに比べて少なくなってしまう障がい者枠で雇用される人たちについても変化が訪れるだろうとも考えていて、事業者は仕事の担い手が少なくなっていく中で、猫の手も借りなければやっていけない状況になっていく中、専門的な知識やスキルを保有する障がいのある方々に救いの手を伸ばす構造になっていくのではないでしょうか。
この点って、ソーシャルビジネスとしての切り口も見えてきそうだなってことから思考実験的に考えてみようと思います。
障がい者の現状と特別な技能やスキルについて
まず、日本における障がいのある方々の現状について触れていきます。
内閣府の統計によると、日本の人口に対する障がい者の割合は、手帳を保有している人の数がおよそ1,160万人で総人口(1億2400万人)の約9.3%に上ります。その内訳は、身体障 害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。) 109万4千人、精神障害者614万8千人となっているそうで、ただし、これは手帳所持者の数であり、実際の障がい者数はさらに多いと推測されます。
障がい者の就労状況において、どんな職業に就いているのかを厚生労働省の障害者雇用実態調査結果(令和5年)から職業別に雇用者数の割合を見ていきます。
まず、身体に障がいのある人が就いている職業は、事務的職業が 26.3%と最も多く、次いで生産工程の職業 (15.0%)、サービスの職業(13.5%)の順に多くなっています。
知的障害のある人たちだと、サービス系の職業が 23.2%と最も多く、次いで運搬・清掃・ 包装等の職業(22.9%)、販売の職業(16.8%)の順に多くなる形。
精神障害のある方の場合では、事務的職業が 29.2%と最も多く、次いで専門的、技術的 職業(15.6%)、サービスの職業(14.2%)の順に多くなっている。
こうやって見てみると、身体と精神に障がいのある人たちはホワイトカラー的な仕事に就いていることがわかります。詳細まで見ていくと随分と長くなってしまうので詳細は省きますが、専門的な領域でスキルや技能を保有していることが窺える結果と言えるのではないでしょうか。
ただ、事業者側は障害者雇用についてどんな態度なのかというと、それぞれの障害ごとに「積極的に雇用したい」とか「雇用したくない」といった意見があるものの、一番多いのは「わからない」としている点は注目すべき点です。というのも、結局、何をしたらいいのかわからないこともあるのと同人、障がいのある人たちがどんな技能やスキルを保有しているのかがわからない、といったところからマッチングができていないのでしょう。
ここで少し視点を変えてみます。
障がいのある方々に向けて福祉事業において就労支援がありますが、そこに在籍する人たちの平均工賃は、就労継続支援A型事業所で月額83,551円、B型事業所で月額17,031円(2021年)と、一般の労働者と比べて低い水準にとどまっています。また、障がい者の能力を適切に評価する体制の不備や、職場環境の問題もあるのでしょう。
でも、「障害がある=特別な技能やスキルを保有していない」わけではありません。たとえば、あるプログラマーは、Excelのマクロを駆使して業務工程を自動化する能力を持ちながらも、その技能を評価してくれる環境がなく、精神疾患から障がい者認定を受けるに至ったケースを身近な知人の例で知っています。
これって、スキル保有者を適切に評価することができない事業者の問題でもありますが、そういったスキルや技能を保有する障がい者を支援することができない社会的な問題、課題だと言えるでしょう。
ソーシャルビジネスによる解決策
障がい者の能力を活かし、就労における課題を解決するための有力な手段の一つが、ソーシャルビジネスだってことが今回の主題です。
ソーシャルビジネスとは、社会問題の解決を目的とし、ビジネスの手法を用いて持続可能な事業を営む取り組みのこと。
国内外のソーシャルビジネスの事例を見ると、その可能性の大きさがわかります。たとえば、日本で代表的な障害者とビジネスの掛け合わせを行なっている企業として「ヘラルボニー」が挙げられます。ヘラルボニーは知的障害のある作家の作品をライセンス化し、それを大手企業と次々にタイアップささせることで知的障害のある人たちの社会的な価値を高めています。
他にも、「ベネッセアーツ」は、障がい者アーティストの作品を企業に提供するアートサービスを通じて、障がい者の社会参加と経済的自立を支援しています。また、アメリカのトムズシューズでは、「One for One」モデルとし、販売した靴1足につき1足を途上国の子どもたちに寄付しています。
こういった事例を踏まえて、福祉分野におけるソーシャルビジネスの意義を考えてみると、大きく2つあることが見えてきます。
一つは、障がいのある人たちが持つ社会的に埋もれている能力を引き出し、社会参加を促進すること。もう一つは、福祉サービスの質の向上と、新たなサービスの創出。
ソーシャルビジネスは、社会的な課題や問題に対しビジネスの手法を取り入れることで、効率性と持続可能性を高め、より多くの障がい者に質の高いサービスを提供することを目指すこと。
今回、障がい者の能力を活かすためのソーシャルビジネスのアイデアとして提示したいのが、先述したようなマクロが組むことができるなど一般の就労者よりも高いスキルや特別な技能を持つ障がい者を対象として、ITや専門的な分野でのアウトソーシング事業。
これによって専門的な知識やスキル、特別な技能を保有する障がいのある人たちが高給を得ることができることにつながるため、障がい者の社会進出を促進することができることに加え、その特別な能力を保有する人たちが稼ぐことによって次なる候補者の育成に繋げることができるのではないでしょうか。
内閣府が2010年に行なった調査では、日本のソーシャルビジネス市場規模は約2,400億円と推計されており、今後も純増していくことが予想されますから、決してビジネスとしてもバカにできるものではなく、むしろ、リスキリングなどの文脈で言うと大いに可能性があると言えます。
障がい者の能力を活かすために必要な取り組み
ただ、障がい者の能力を十分に活かすためには、企業や組織における評価体制の整備と職場環境の改善が不可欠です。上記している通り、障害者雇用の方針について「わからない」としている事業者が半数以上を占める現状において、そもそもどうやって評価したらいいのかがわからない事業者が多いことになります。そんな中にいくら特別な技能を保有する障がいのある人たちを送り込んだところで宝の持ち腐れになってしまう可能性が大きいでしょう。
だからこそ、先ほど書いたような「ビジネス」として「商材」として障がいのある人たちの特別な技能やスキルを事業者に向けて売り出すことを定常化していくことができれば障がいのある人たちへの認知自体が改められるでしょうから、社会的な意義があると言えます。
就労支援系の福祉とソーシャルビジネスの連携を強化することは障がい者の在り方を変える大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。
おわりに
と、好き勝手書いてきましたが、障害福祉系のサービスは基本的に国からの補助金等が交付されることによって運営する事業者にとってみたらストック型のビジネスにすることができます。
それを足がかりにして、障がいのある人たちが抱く得意領域ごとにサービスを展開することによってマッチング先が見つからないといった不幸な事態を改善することが期待できるだけでなく、社会的な意義のある事業とすることもできるのではないでしょうかって言う夢想でした。
ただの妄想なので、細かい点を指摘されたとしても何にも思いません!
ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)
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