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たまにはつまらない映画の話を

アマゾン Prime Video のレコメン機能に従って映画を観ていたら、観た映画全部ロードムービーになってしまっていた、と前に書きました。

このときは、たまたまいい映画ばかりだったのですが、そんな芋づる式映画鑑賞法を反省しましてね。
最近は、観たい映画を自分の勘で選ぶことにしたんですよ。
そしたら、つまらない映画ばかり観る羽目になりました。

例えばこれです。『Where The Crawdads Sing』

湿地の娘 (Marsh Girl)。
幼い頃に家族に見捨てられた少女が、湿地帯の一軒家で独り生きてきた。
駄作ではないです。それどころか、ゴールデングローブ賞にノミネイトされたくらいなので、世間の評価は高かったのでしょう。
でも、わたくし的にはイマイチでした。

主題は、人の社会から弾き出されてノケモノにされた子が自然と共に生きたお話なのかと思いきや・・・
そこへ恋愛、ミステリー、裁判が絡んで、結局これナニ映画なんですか?
長~い原作小説を 2時間に収めて失敗したパターンでしょうか。

恋愛要素入れてもいいけどね。その描き方があまりに陳腐です。
字も読めない粗野な娘にフツーの恋愛させてどうする。
それに、ミステリーっぽい結末にする必要あったの?(原作はミステリーがメインだったのかもしれませんが)
さらに、裁判のシーンを延々と見せられるのも興ざめ。
彼女をノケモノにしてきた住民たちが陪審員になっていることで、ムラ社会の醜悪さを描きたかったんだろうけど。

1960年代のアメリカ南部のお話とはいえ、設定がムチャクチャすぎませんか?
6歳の娘を捨てて出て行く親兄姉っている?
そんな子を「湿地の娘」と蔑んで遠ざける村ってなに?
そんな村で金持ちのボンと付き合うとかありえる?
悲劇的なストーリーにするために、極端な設定をあれもこれもと詰め込んだとしか思えませんでした。
ただ、湿地の生き物たちに学んだ彼女がメスとしてのしたたかさを体現した主題にはシビレました。

続きまして、こちらの作品。『愚行録』

これはヒドかった・・・。
観る価値なし、以上。
と言いたいところですが、あまりにヒドいので、むしろ観てほしいです。

これまた極端な設定詰め合わせ系ですよ。
登場人物全員クソ設定は、意図したことなんでしょうが、もう少し婉曲的な演出の仕方があるだろうに。わかりやすすぎてクスッともできません。
例えば、社員飲み会での女子の行動。気になる男子社員に料理を取り分けるとか、いつの時代ですか?
わざとベタなパターンにしたのでしょうけど、こういうのは三文ドラマだけにしてほしい。

慶応大学の内部生・外部生の身分制とか。
一種のあるあるなんだろうけどさ。そこまで愚劣に描く必要ある?
日本の女子をバカにするにもほどがあろう。
全女子が怒っていい案件だと思う。

男女の愚かしさを描きたいのはわかるんですよ。
でもね。演出のセンスがないせいか、可笑しみのようなものが感じられず、見ていて不快でしかない。(それが狙いなのでしょうけど)
おそらく、バカでもわかる演出だから面白くないんでしょうね。

演出以前に、脚本の問題がありますね。
ドラマ性が薄っぺらくて浅い。
わかりやすさを追求してか、極端な変人を動かして、あるあるなエピソードをなぞっただけのシロモノ。
本作のような、胸糞悪い人物ばかり出てくるようなあざとい設定の映画しか作れなくなっているのではないか。
まともな脚本を書ける人がいないのだろうか。
もしかして、日本の映画界って終わってませんか?

妻夫木よ。出る作品は選んだほうがいいぜよ。

これらの作品に共通するステレオタイプも気になりましたね。
父親は必ず暴力を振るう生き物なのか?
若い男はみんなそんなにヤリたいのか?
酒と煙草はワルモノの象徴記号なのか?
女はそんなにマウントを取りたいのか?
そんな弱い動機で人を殺せるものなのか?

こういった短絡な思考が見え隠れするものにはロクな作品がないように思えました。

とまあ、ずいぶん辛辣なことを書いてみましたが、万人にウケる映画がないように、万人につまらない映画もないでしょうから、本作を楽しんだ方もおられることと思います。
このたび、私はいい映画を選ぶ目がないことに落ち込みました。
その反省をもとに、今後の映画選びの方針を決めました。

✅原作小説のある映画は避ける
✅あらすじを読んでから選ぶ
✅当分、日本の映画は観ない

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