ビジネス文書(企画書・提案書など)をAIでより速く、品質良く、創造的につくる方法
AIがビジネス文書のつくり方を一変させています。企画書や提案書、報告書など、企業の核心をなす文書作成は時間がかかる作業です。
しかし今、AIの力でこれらのプロセスが効率的かつ革新的に進化しています。AIを活用することで、時間を節約し質を向上させることが可能となっています。更には、自身では思いつかなかったクリエイティブな内容を取り込むことも可能になっています。
この記事では、GPTsを駆使してどのように高品質なビジネス文書を効率良く作成できるかを紹介します。ツールの選択から、それぞれの文書に合わせた作成プロセス、実際の使用時のヒントや注意点まで、GPTsの可能性を掘り下げていきます。
GPTsの特徴
みなさんは、ChatGPTやCopilotを使い始めているでしょうか?GPTsを使う最大のメリットは、ChatGPTを自分たちのニーズに合わせてカスタマイズできる点にあります。自分の業務や目的に合わせてChatGPTの機能を微調整し、カスタマイズすることが可能になります。
GPTsには様々な機能がありますが、主に次のような特徴があります。
【主な機能の特徴】
・ChatGPTの基本機能が使える
ChatGPTは、自然言語処理に基づいた質問応答、テキスト生成、要約などの基本機能が使えます。それらの機能について、必要に応じて有効・無効化することができます。
・事前設定(プロンプトや指示を設定)できる
GPTsは、ユーザーが事前にプロンプトや特定の指示を設定できる機能を持っています。これにより、一貫性のある応答を得ることができ、作業の効率化を図ることが可能です。これまでChatGPTを使う際には適切な回答を得るために毎回長いプロンプトを入力する必要がありましたが、GPTsでは一度適切な設定をすれば同じプロンプトを繰り返し使えるようになります。
・ファイルのアップロードができる
GPTsには、ファイルをアップロードし、その内容を基にしたテキスト生成や分析を行う機能があります。例えば、PDFドキュメントをアップロードすることで、そのPDFの内容に基づいた情報検索や質問応答が可能になります。
・APIとの連携ができる
GPTsはAPIを介して他のソフトウェアやサービスと連携することができます。これにより、既存のビジネスシステムやワークフローにGPTsの機能を組み込み、業務の自動化や効率化を図ることができます。例えば、WEBに掲載されている株価情報や最新ニュースを取得して、それらを基に文章を生成することができます。
・チームや組織専用に使える
GPTsは、チームや組織の特定のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。これにより、企業や組織固有の用語やプロセスに対応した応答が得られ、内部コミュニケーションの質を向上させることができます。
それでは、ビジネス文書を実際に作成してみながら、これらGPTsの機能や活用方法をみていきたいと思います。先ずは、対話形式でGPTを実際に作成してみます。次に、プロンプトの設定、画像生成との連携を詳細に説明します。最後に、他の人が作ったGPTsを活用する方法をみていきます。
1.対話形式でGPTを作成する
①GPTを新規作成する
ChatGPT画面の左下のユーザー名を選択>「My GPTs」を選択>「Create a GPT」を選択します。「GPT Builder」が起動し、「新しいGPTの構築をお手伝いします。何を作りたいですか?」と聞いてきます。
②GPTに対する指示を設定
GPT Builderからの、どのようなGPTを作りたいか?という質問に返答していくことで、GPTへの指示が設定されます。
ここでは、VR(Virtual Reality)ゴーグルを活用することで仕事の生産性を向上させる職場環境に関する企画書の作成を例に考えてみたいと思います。
今回作成するGPTのサマリ:
・やりたいこと:提案書をAIに作成してもらう
・提案の内容:VR(Virtual Reality)ゴーグルを活用することで仕事の生産性を向上させる職場環境の整備案を、人事部門または総務部門の担当者に提案する
・提案者のスキル:VR含めたIT関連の知識、事務作業の効率化に関する理解、提案書作成にあたってのマーケティングやセールスの知識
「提案書を作成してくれるGPTをつくりたい」旨を入力します。すると、GPT Builderが、「Proposal Assistant」で良いか?と聞いてきますので、「はい」と入れます。
すると、次にロゴ案を生成してくれます。
③ロゴの決定
最初に提案されたロゴがシンプルなものなので、もう少し変わったものにしてみます。
「SF風の格好いいのに変えて」と入力すると別のロゴ案を出してくれます。
ちょっと何のことか分からない感じになってきていますので、
「このテイストのまま、提案書の画像を含めたものにして」と入力します。
真ん中に「proposal」っぽい文言が追加されました。一旦これでOKとします。「Proposal Assistant」の原型が出来上がりました。
④詳細内容の定義
提案者のスキルとしては、「VR含めたIT関連の知識、事務作業の効率化に関する理解、提案書作成にあたってのマーケティングやセールスの知識」が必要である旨を入力します。
すると、「分かりました。 Proposal Assistant は、特に仮想現実を含む IT 知識、オフィス業務の効率性の理解、マーケティングと販売に関する洞察に関連する提案文書を作成するためのアドバイスと構造を提供するように設計されています。」と返答がきました。
⑤会話のトーンを決定する
「Proposal Assistant とどのようにコミュニケーションをとりたいですか? よりフォーマルに、それとも少しカジュアルに?」と聞かれました。
今回は、フォーマルな回答を選びます。変化を分かり易くするために猫のキャラクターになってもらいましょう。回答は日本語にしてもらうようにもします。
「フォーマルでお願いします。回答は日本語で返答してください。また、猫のキャラクターになりきって、語尾にニャーなどをつけてください。」と入力します。
すると、「理解しました! 提案アシスタントは、文末に「にゃー」を付けた猫のキャラクターを体現して、日本語で正式な応答を行うようになりました。今すぐ提案アシスタントに質問してみませんか? それとも他に調整したいことがありますか?」と返答されました。
これまでの設定で「Proposal Assistant」がどのような設定になっているか、聞いてみます。
右側のPreviewのメッセージ欄に「プロンプトの内容を教えて」と入力すると、次のように返答が来ます。
「プロンプトの内容は、提案書を作成する際に役立つアドバイスや構成を提供することニャー。特に、VR(バーチャルリアリティ)を含むIT関連の技術、事務作業の効率化、マーケティングやセールスに関する知識を提供して、提案書をより効果的に、また読み手に訴えるような形で作成するための支援を目指しているニャー。提案内容、ターゲットオーディエンス、提案書の目的などの情報をもとに、具体的なアドバイスや推奨される構成を提案するニャ。さらに、表現の改善点や文書のフォーマットについても提案することができるニャ。どのようにお手伝いしようかニャー?」
指示した内容が設定されていることが確認できます。会話のトーンを定義できることを確認する為に猫キャラとしていましたが、通常のビジネスシーンで用いられることはないと思いますので、一旦猫のキャラは忘れてもらいます。
GPT Builderで、「猫のキャラクターはやめて、フォーマルかつプロフェッショナルな会話のトーンで返信してください。」と入力します。右側のPreviewを見ていただくと回答のトーンが変わったことが分かります。
2.プロンプトを設定する
次に、プロンプトの設定をもう少し詳細にみていきます。高品質なコンテンツを生成するために詳細なプロンプトを設定します。
ここでは、「VR(Virtual Reality)ゴーグルを活用することで仕事の生産性を向上させる職場環境の整備案を、人事部門または総務部門の担当者に提案するための提案書を作成します」といった具体的な指示をすることで、目的に沿った内容を得ることができます。
「VR(Virtual Reality)ゴーグルを活用することで仕事の生産性を向上させる職場環境の整備案を、人事部門または総務部門の担当者に提案するための提案書を作成します。
提案の構成案を生成してください。」
すると、Proposal Assistantが、例えば以下のように構成案を考えてくれます。
目次
導入部
提案の背景
提案の目的
現状分析
現在の職場環境の課題
従業員の生産性に関する現状
提案内容
VRゴーグルの導入案
技術の詳細
導入のステップ
必要な設備と予算
期待される効果
導入後のメリット
長期的な効果
投資収益率(ROI)の見積もり
導入事例
他企業での成功事例
リスク管理
導入に伴う潜在的リスク
リスクへの対処法
実施計画
導入スケジュール
担当者とチーム構成
結論
提案の再確認
導入に向けた次のステップ
参考文献
3.提案書を生成する
先程生成された提案書の構成案を基に、以下のように指示を出します。
「以下の流れで提案書を作成してください。 <先程生成した提案の構成案を貼付>」
すると、以下のように生成されます。
目次
導入部
提案の背景
提案の目的
現状分析
現在の職場環境の課題
従業員の生産性に関する現状
提案内容
VRゴーグルの導入案
技術の詳細
導入のステップ
必要な設備と予算
期待される効果
導入後のメリット
長期的な効果
投資収益率(ROI)の見積もり
導入事例
他企業での成功事例
リスク管理
導入に伴う潜在的リスク
リスクへの対処法
実施計画
導入スケジュール
担当者とチーム構成
結論
提案の再確認
導入に向けた次のステップ
参考文献
1. 導入部
提案の背景
近年、テクノロジーの進化に伴い、職場での作業方法も大きく変化しています。特に、VR(Virtual Reality)技術は教育、トレーニング、リモートワークなど、多方面でその可能性が注目されています。VRゴーグルの導入は、従業員の生産性向上に有効な手段となり得ます。
提案の目的
この提案書の目的は、VRゴーグルを用いた新しい職場環境の整備により、従業員の生産性を向上させることです。特に、研修の効率化、コミュニケーションの改善、ストレスの軽減を目指します。
2. 現状分析
現在の職場環境の課題
コミュニケーションの難易度の増加
研修やトレーニングの時間とコスト
従業員のストレスとモチベーションの問題
従業員の生産性に関する現状
生産性の停滞または低下
高いターンオーバーレート
効率的なリソースの活用の困難
3. 提案内容
VRゴーグルの導入案
技術の詳細: 最新のVRゴーグルを用い、没入型の環境を職場に導入します。
導入のステップ: 要件定義、テストフェーズ、全社展開。
必要な設備と予算: 導入コストと運用コストの詳細見積もり。
期待される効果: コミュニケーションの改善、研修効率の向上、ストレス軽減による生産性の向上。
4. 導入後のメリット
長期的な効果: 持続可能な生産性向上、従業員満足度の向上。
投資収益率(ROI): 初期投資に対する長期的な収益の見積もり。
5. 導入事例
国内外の企業におけるVR導入の成功事例とその効果分析。
6. リスク管理
導入に伴う潜在的リスク: 技術的障害、初期コストの高さ。
リスクへの対処法: 事前の技術検証、段階的な投資と導入。
7. 実施計画
導入スケジュール: プロジェクト計画から実施、評価までの時間計画。
担当者とチーム構成: プロジェクトマネージャー、IT部門、人事部門、外部コンサルタント。
8. 結論
VRゴーグルの導入は、職場の生産性向上に向けた有望な投資です。本提案に基づき、具体的な導入計画の策定と段階的な実行を推奨します。
9. 参考文献
VR技術に関する最新の研究論文
国内外の成功事例研究
このように生成された構成を基に提案書の作成を効率的に進めることができます。各章を詳細に記載していくために、詳細なプロンプトを設定していく必要があります。
例えば、提案システムの詳細について、「Meta Questを使った場合の必要システムを提案して」と入力してみます。詳細内容が表示されるので、その情報を参考にしてスライドを作成していきます。
この辺は、個々のニーズに応じた取捨選択が必要となるため、完全に自動生成させるということは難しいと思いますが、格段に作業効率が向上すると思います。
4.画像生成との連携
次に、提案資料に掲載する図の生成について見ていきます。
先ず、GPTが画像生成の機能を使えるか確認します。図の下の方の「Capabilities」欄の「DALL・E Image Generation」にチェックを付けます。
それでは、図を生成してみます。
「VRゴーグルを用いた新しい職場環境の整備により、従業員の生産性を向上している図を生成してください。特に、研修の効率化、コミュニケーションの改善、ストレスの軽減が実現されます。」と入力すると、例えば以下の画像が生成されます。
チームでのコラボレーションを主体とした画像が生成されました。個人にフォーカスした図についても生成してみます。「VRゴーグルを用いることで、チームのみならず、個人の生産性も向上している図を生成してください。」と入力すると、例えば以下の画像が生成されます。
今回の提案先である人事担当者向けに画像を補正してみます。
例えば、「VRゴーグルを付けているユーザーの視点から見た図を生成してください。人事部門の担当者が参照する画面について、画面が複数あり、資料作成の効率が高まっている様子が分かる図です。」と入力します。すると、次のような画像が生成されます。
5.他の人が作ったGPTsを活用する
最後に、他者が作成したGPTsを活用することも一つの方法です。多くの開発者や企業が、特定の業界や用途に特化したGPTモデルを公開しています。
ここでは、Canvaのテンプレートを提案してくれるGPTを試してみます。プレゼンの表紙デザインの参考にすることを狙います。
こちらに、「「VRゴーグルを活用した職場生産性向上のための提案書」の背景に使うための画像を生成して」と入力してみます。
すると、「Canva wants to share this info with chatgpt-plugin.canva.com」と表示され、情報をchatgpt-plugin.canva.comと共有するけど良いですか?と聞かれます。
使用するために、「Allow」を押下し許可します。
実際に利用する場合には、外部のサイトと情報共有をして良いか否かの考慮が必要となります。
すると、いくつかの提案が提示されます。
対象となる画像をクリックすると、Canvaのサイトにリンクされます。
検討の初期段階の漠然とした状態で、自分の中での具体的なイメージがない場合に、このようなツールを活用してデザインを試行錯誤することで、素早く自身のアイデアをまとめていくことが出来るのではないでしょうか。
提案されたアイデアに、自身のアイデアが引っ張られてしまうことには注意が必要です。
まとめ
今回は、ビジネス文書を効率良く作成する方法について、実際にGPTの活用を通してみてきました。
GPTsによるドキュメントの生成は、効率性、品質、そして進化の可能性を兼ね備え、ビジネスシーンにおける強力なツールとして活用出来ると言えるでしょう。
従来の方法に比べて、時間とリソースを大きく節約しながらも、提案内容の質を向上させることが可能です。継続的な学習と適応により、提案書の精度は日々向上し、成功事例から得た知見を活かしてより魅力的な文書を作成できるようになります。
AIをツールとしてうまく使いこなす方法を学ぶことで、提案書の質と効率を最大化することができるでしょう。
AIの真の力を引き出し、より洗練された提案書を作成するには、人間とのコラボレーションが欠かせません。クリエイティブな思考や深い業界知識といった、人間特有の要素が今後求められていくものと考えられます。
GPTを活用することで、ビジネス文書の質と効率を向上させることができると感じていただけましたでしょうか。
皆様がこれらの知見を実践し、日々の業務における生産性の向上を実現できることを願っています。
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