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ホテル宿泊料金が上がる理由〜レベニューマネージャーの役割〜

こんにちは!2023年7月に全く問題のなかった会社を辞めて、独立しようと9月から観光コンサルティング会社Hospitality Bridge(https://hospitalitybridgeconsulting.com/)を始めた常井大輝(トコイヒロキ)です!

クライアント探しは難色を示していますが、当たり前。
実績もなければ、現状何か商品があるわけでもない。

観光業界を変えられると思っている商品は開発準備中。

まだまだ何もない卵の状態です。孵化するのはいつになるやらです。

コンサルティングとして未熟ですが、実績詰めるようまずはクライアント様を探していきます。

といっても、人手不足、人手不足と言っていても、実際にいないのはフロントスタッフやハウスキーピングスタッフ、レストランスタッフなどで、私の行う業務に関してはなんとかやっているところが多そうです。
稼働が上がらないなんてことはこの回復期にはないでしょうし、そうすると売れていないとは思わないもの。

ただ、それが売上と利益の最大化になっているかはまた別の問題。
稼働率90%-100%で運営苦しんでいる場合もあります。現場スタッフがいないため回らないのです。
ではどうするかというと、料金をあげて稼働を抑えて売上はキープするのが、今の世の中のホテル宿泊料金が上がっている要因です。

今回はプロのレベニューマネージャーが現場と運営のことを考えながら売上と利益を最大にする方法をお伝えします。教育研修でも使っていたわかりやすい例とレベニューマネージャーの頭の中を解説します。

例えば、100室のホテルが一室10,000円で販売されていました。
宿泊当日、稼働率が100%になっており、1,000,000円の売上となります。
ですが、100%の場合、ハウスキーピングの清掃スタッフは大忙し、お客様を待たせたり、清掃が雑になったりします。
コストもその分人件費がかかるので変動費が上昇。利益率は悪くなる一方でした。100室の部屋を清掃するには広さにもよりますが、およそ15,16名ほどの人員が必要になり、一人あたりの日給は10,000円〜12,000円程度となります。管理者はそれとは別に3名程度は必要であり、清掃員をサポートする人なども必要な場合含めると約20名程度になるかと思います。

100%になってしまうのが見込まれた場合、料金を徐々に上げて需要のコントロールをしなければならないのですが、レベニューマネージャーがいる場合はコントロールが効くのですが、いない場合は、気がついたら100%近くまで来ていたなんてことがあります。そうすると、いきなり料金が跳ね上がります。

そうやって調査をしていると数字の変化から他の状況の予測が立てられます。

そうならないためにレベニューマネージャーが毎日競合調査や料金の調整、在庫の調整をしているのですが、ホテル関係者の皆様、いかがでしょうか。

100%が見込まれる時何をするかというと、料金を上げます。
すると結果では稼働率80%(80室)、ADR12,000円で着地したとします。ADR(Average Daily Rate)とは売上/販売室数の評価指数であり、1室あたり結局いくらで売れたかという指数になります。

この例でいうと10,000円で売っていた部屋を12,000円で売ったということになります。ただし部屋数は100室から80室に減室しました。

売上は960,000円。40,000円の売上減になりました。清掃員人件費は10,11名分のため同じく40,000円減。人数がいるところであれば、この人件費の減少はありませんが、その分一人当たりの負担が減り、離職を防げます。現場スタッフの離職理由は人間関係、過酷な労働環境、賃金の低さ、などによります。負担を減らして無理のない余裕を持ったオペレーションを行うと、離職も防げますし、仕事が丁寧になるため、建物の管理や、維持にもつながります。フロントスタッフやレストランスタッフも繊細な気配りができるようになり、お客様の満足度向上につながります。とはいえ、これではあまり利益ベースで結果は変わっていませんので普通です。13,000円で売れたらどうでしょうか。1,040,000円の売上となり、売上も利益も向上しました。

実は理論上、稼働率は100%でなく、80%~85%程度の方が利益をもたらすと言われています。例のようにレベニューマネージャーはこの稼働を維持しつつ、どれだけ高く部屋を売れるかという使命があります。
机上の理論では簡単そうに聞こえますが、考えなければならないことはたくさんあります。
1. 自分たちの需要
2. 競合の需要
3. 移動手段の需要
4. 世間の動き
5. 政治問題
6. 景気
7. 外交問題
8. インフルエンサーなどによる旅行PRなどの展開
9. 自分たちの販促
10. 宿泊日までの残日数
その他もろもろ勘案し需要予測を立てていきます。

GW、夏休み、お盆、年末年始、シルバーウィーク、が高いというのはこの需要が高いからとみなさんもお分かりでしょう。

ですが稼働率までは一見わからないため(わかってしまうと売上高がわかってしまいます)いつ料金が上がるかわかりません。
そもそも上げない宿泊事業者もいます。

この料金で売れれば投資回収もできるし問題ない。という事業者様たちです。
しかし、もし高く売れる可能性があるのであれば、高くし、需要の低い時はそれなりの料金に設定をし稼働率をあげ、総合的にマネジメントをする必要があります。
そして、稼いだ分、例えば従業員へ還元してあげたり、施設の投資に回したりすることもマネジメントの一環ではないでしょうか。

レベニューマネジメントは売上を最大化させることです。PL上でトップラインの場所です。

ここでしっかり稼げないと、コストカットなどで利益確保をしていく必要があります。ですが、時にコストカットは逆にコストを上げることになりかねないのです。食材コストを下げたら客が離れ広告費に投入したり、人件費をカット(採用を少なく)したら一人一人の仕事の負担が増えて離職につながったり、不満が溜まったり、ゲストへの対応がおろそかになったり、するとゲストは別のホテルに泊まるようになり離れていくなどもあります。

レベニューマネージャーとはそんな経営をする上で一番重要かつ重大な役割を持ちます。経営陣が経営に専念できるようしっかり稼ぎ、安心させてあげるのが本来の役割です。

このような職が他の業界にあるかはわかりませんが、宿泊業のみならず、ダイナミックプライシングを導入している事業者にはある共通点があり、このレベニューマネジメントという考えが生まれたのです。その話はまた次回投稿します。

こんな気持ちで会社員の頃は働いていました。
世の中のホテルに一人でもこのような人材を作り、安定した経営基盤を作れるように観光コンサルタントとして活躍していきます。

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