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わたしが春日俊彰になった日

我らがドケチ隊の長、土足厳禁支払い現金一括ゲレンデオーナー、味玉は嗜好品、春道、春日俊彰。

彼は令和テレビ出演本数ランキングで3位に入る令和の視聴率男であるが(※諸説あり)、出演番組においてお茶の間の奥様方まで引かせてしまうその「ドケチ」は、決してビジネスやキャラで"や"っている訳ではない。
そこには性癖にも似た根深い独自のこだわりがある。彼のお金への執着心は一般のものとは大きく異なる。

貯金が好きだという人はたくさんいる。預金通帳の金額が増えていくことで日々の頑張りを感じられ、安心すると共に心が満たされ余裕も生まれる。


彼も貯金額が増えることに喜びを感じるタイプの人だろう。しかし彼は貯金よりも、あくまでも"お金を使わないこと"が好きなのだ。
1円でも浮かすことができればどんな手段でも使う。クーポン、タクシーチケット、ケータリング、試食、さまざまな方法で彼は節約をして、快楽にも似た喜びを得ている。
"節約家"といえば聞こえはいいが、彼の場合その浮かせたお金は未来のために貯めているわけではない。
彼は「もし自分が死んだらお墓に稼いだ札束を入れてほしい」とオールナイトニッポンで度々言っている。冗談っぽく話しているが、可能であれば本当にやりたいだろう。それくらい彼はお金という物質に対して特別な感情を抱いている。

若林さんがお父様の火葬の際にオードリーが準優勝した伝説の2008年M1グランプリのDVDを入れようとしたら職員さんに「プラスティックの類はちょっと…」と止められたという話で大爆笑していたあの春日俊彰が、自分の墓には札束を入れてほしいと言っているのだ。

わたしがクミさんの立場だったら「死んでもあいつのケチのせいで苦しまないといけないのか」と夜な夜なシクシクと泣いてしまうと思う。
春日さんは「そんなタマじゃねえだろう!」と言うだろうか。(いつだったかの #日向坂で会いましょう で春日さんが何かの件で一期生に向かって「もうそんなタマじゃねえだろう!」と言ったら加藤史帆さんが「タマ?」と聞き返していたのが面白かった。確かに日常会話であまりタマという表現は使わないかもしれない。


春日俊彰のケチエピソードは星の数より多く存在するが、むつみ荘から現在の家に引っ越したのが2019年だという事実だけでほとんど説明がつくだろう。
東野さんを筆頭に「まだあそこ住んでるの?なんで引っ越さないの?」と訊かれるたびに「住めるんだからいいでしょうよ」と彼は答えていた。
例の味玉騒動も彼は"おもしろでやってます"というニュアンスで話をするがこれはほぼガチなのである。東京ドームで味玉の雨を降らせリトルトゥースを熱狂の渦に巻き込んだあとも「味玉は嗜好品だからタバコと一緒」という言説を唱え続けている。
一方で娘さんの服に関してはあまり金額を気にしないとも言っている。クミさんは味玉を付けるだけで文句を言われるが娘さんの服はある程度好きなものを買う事ができる。この差は何なのだろう。まぁクミさんのセンスを信頼しているということでもあるだろう。
ちなみにわたしもクミさんのファッションが好きだ。若林さんのYouTube『東京ドームへの道』に出てきたクミさんはかわいかった。高級ブランドへの興味はないがちゃんとオシャレで自分の気に入ったものを着ている印象を受けた。クミさんはかわいい。春日さんもかわいい。わたしの春日家に対する印象は「かわいい」だ。
フワちゃんと星野源さんが春日家にきて春日さん作の長楽のポークライスを食べた日のエピソードなんて、かわいいの塊だった。LINEでクミさんのSOSを受けて慌てて家に帰ったら、チャチャが星野源さんの膝で甘えてたという話なんて、星野さんも含めて全員がかわいい。

話を春日さんのケチに戻す。

少し難しいのがオードリーが2人とも"いい家に住んでいい車に乗っていい服を着て"的なベタな金持ち憧れがないコンビなので、お金を使わない春日さんの気持ちを若林さんがある程度理解できてしまうため、春日さんは余計なストレスを感じることなく『むつみ201』という城に何年も住み続けることができた。

しかし彼のケチが転じて災いとなるケースもある。その代表的な話が2017年4月8日のオールナイトニッポンで語られている。

若林「(昔春日が)髪をセットするワックスを買うのに商店街のドラッグストア4店舗どこが一番安いか400メートルぐらいの商店街よ。全部の薬局に入って調べて、10円だけ安い薬局を見つけた。自転車で回ってたんだけど、カゴに置いていたカロリーメイトが全部盗まれるっていうね。はははは」
春日「そして大声を出すっていう」


わたしはこの話が大好きだ。確か炎天下の時期で、汗をびっしゃりかきながら10円のために商店街を自転車で駆け巡った結果、1個200円するカロリーメイトが盗まれてしまうという結末が昔話みたいで良い。
【ケチの敗北】
【二兎追って一兎のみ得る】
【シンプルにかわいそう】
色んな感情が味わえて何度聞いても笑ってしまう。カロリーメイトもきっと一番安い店で買ってカゴに入れていたはずなので4個5個は盗まれたのだろう。その辺もオールナイトニッポンで話していた気がするが昔のことすぎて忘れてしまった。


◻︎


わたしは春日さんと違ってお金がある時はドンと使ってしまうタイプで、10万単位でお金を貸してる人もいる。(いつか返してね^^)お金を貯めることに対してあまり執着がない。かわいい服がほしいし、部屋をいい匂いにしたいし、うまい酒もたくさん飲みたい。
もちろんお金はあるに越したことはない。お金欲しい。お金欲しいです。
でも、10円節約できるからと言ってわざわざ他の店に行ったりはしない。

そんなわたしが今日、春日さんのカロリーメイト事件と似たような経験をした。

ここから少し重たい話になるが、わたしは鬱病(統合失調症という説もある)の状態がここ数ヶ月本当によくなくて、殆ど仕事が出来ておらず、ベッドから動けない日々が続いている。
そこでいつもお世話になっている心療内科の熊みたいなビジュアルの先生と相談した結果、障害者手帳を取得して週に2日でも3日でもいいから負担なく働けるところで心身を慣らしてみましょう、という話になった。

障害者手帳と聞くとギクッとするが、病気を隠して働くよりも最初から「わたしは手帳持ちです」と会社側に伝えて働いた方が何かトラブルが起きた際にお互い対処しやすいだろうと思い取得することにした。
「病気持ちの人はちょっと…」と断られるケースもあるだろうが、それは仕方のないことだ。健常者の同じペースで働けない可能性が大いにあるわけだから、こちらもリスクは負わないといけない。

自分が障害者であることを認めるのは不思議だ。
"まともではないな"と思って生きてきたけれど、障害者とは違うと思っていた。でも、心療内科で書いてもらった診断書が手元にあり、これを役所で申請して完了さえすればわたしは一人の障害者として生きることになる。
日本という国は障害者でも生きれるように法が整備されている。もちろん全員が生きれるわけではないと思うが、わたしのように不安定な精神で、網膜剥離によって片目が見えなくなった人間でも、頑張りようによっては生きれる社会なのだ。日本に生まれてよかった、と言わなかったらこの国を作ってきた先人たちに失礼だろう。

そんなことをブツブツと考えながら書類を用意していた。必要な書類は
・健康保険証
・診断書
・マイナンバーカード
・証明写真
だった。上の3つはすぐ用意できたが、証明写真は手元にないため外出して撮らなければならず、明日撮ろう明日撮ろうと思いながら3ヶ月弱が経過してしまった。
昨日ふと診断書の有効期限が3ヶ月だということに気づき、慌てて写真を撮った。駅前によくある証明写真用の機械は500円かかるので貧乏なわたしは節約のためにスマホのアプリで自撮りをして、コンビニで印刷をする方法を選んだ。証明写真のサイズは4×3センチ。
印刷代は60円なので440円も節約できた。素晴らしい。

そして期限があと1日に迫った今日、ようやく役所に行った。診断書等を出し、もろもろの書類を記入していると役所の係の女性に「写真ってこれですか?」と訊かれた。
「え、そうですが?」と答えたが、内心"マズい"と思った。写真サイズは4×3センチで正しいが、紙が写真用のものではなくペラペラの普通の紙だったのだ。

「ちょっと確認してきますね」と女性が席を立ち別の女性と話はじめた。ドキドキしながら待つわたし。
しばらくして女性が帰ってきて「やっぱりこの写真ですと登録できないみたいでして…」と言われた。
「あぁ、そうですか、でも期限が迫っていて」とわたしは一応ゴネてみた。
「明日までですね、今日はもうこちらの終了時間が迫っていて難しいのですが、今日お写真だけ撮ってもらって、明日またいらしていただくことは可能ですか?」
そう言われたらもう返す言葉がない。
「そうします、お手間をおかけしてすいません」
そう言って役所を出たわたしは、普通の紙じゃなく写真紙でも印刷できるはずだよな?と思いスマホのアプリを弄って調べた。
やはり写真紙の印刷もできるようだった。しかし値段が200円かかる。でもまぁ失敗分も含めて260円。駅前の機械より240円節約できる、と思い2キロほど歩いてコンビニに向かった。
サイズの明記がされていないのが不安だったが証明写真用アプリで撮っているのだから大丈夫だろうと思い200円を払いプリントした。
やたら時間がかかるなぁと思ったら、なんとハガキサイズ目一杯にわたしが写った写真が出てきた。
これではアイドルの生写真だ。"精神疾患おじさんの生写真"はあまりにも需要がなさすぎる。オーマイである。

周りのお客さんに見つからないように生写真を慌ててカバンに隠し、わたしはまたスマホを弄った。どうやらこのコンビニ(セブンイレブン)の印刷機だと証明写真サイズの印刷ができないらしいことがわかったのでそこからまた2キロ歩いてローソンまで移動した。
今度はサイズも4×3センチで紙も写真紙と印刷機に表示されていた。また200円払いプリントした。三度目の正直で4×3センチサイズの精神疾患おじさんが4人並んだ写真がちゃんと出てきた。
とりあえず良かったと安心したが、合計460円払っているし、結構な距離を歩いている。駅前の機械で撮るより40円節約できたが、スマホを弄って調べた時間や移動距離を考えるとどうも得した気持ちにはなれなかった。

これは春日さんのカロリーメイト事件とよく似ている。今日わたしは春日俊彰になったのだ。最初から証明写真用の機械で撮影していれば、昨日の時点で障害者手帳の申請は済んでいたはずなのだ。
生写真サイズの写真が出てきたときは思わず大きな声を出しそうになった。ぎりぎり堪えたけど。チクショー!!

さて、明日の申請はうまくいくだろうか。しっかり書類を確認してから家を出よう。


◻︎


今、役所から出てきた。
無事に全ての手続きが完了した。手帳が届くのは早くても8月らしい。これから3ヶ月どうやって過ごそうかを今考えている。外に出て毎日働ける自信はまだないので、家で出来る仕事を探してみよう。
どこかの媒体でエッセイ書けないかなぁ。これはわたしの夢でもある。面白い文章が書けているかどうかは分からない。わたしは面白いと思っていても他の人には刺さらないかもしれない。そうだったら今書いてるnote自体が無駄になるのだろうか。いや、それは自分次第だろう。

オードリーだって昔はネタがつまらなかったと本人含め色んな人が言っている。今更オードリーに追いつきたいなんて全く思わないが、わたしは端くれでもいいから文筆家を名乗ってみたい。
不安定なわたしだからこそ描ける世界がある。そこには自信がある。わたしの人生はわたしにしか歩めない。それを教えてくれたのもオードリーだ。


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