"mint-condition"、若しくはessei"ささつ"

2020のS/Scollectionを貫いたのは、驚くほどのmint-greenだった。

そんな今年の春と夏が、何処かで延長しているように、朗読劇『佐伯沙弥香について』の舞台全体を、彩度を落とした"pistachio"が覆っている。舞台領域に立ち入ると、たなびくveilに花弁を象る照射が当たり、lock-down下の東京に、まるで存在しなかったかのような、2020年の桜と薫風が、ここに密やかに溢れ出している。

人を好きなるとは、その人自身気付いていない所作や癖に、自ずと気付いてしまうこと。"本当"のことは、それがホントであればほど、相手には伝えらずに留まること。流れる時間の速さが、"わたし"とは違うこと。

薄いブラウス越しに伝わる体温。
手を繋いだだけでそれが誰だか判ってしまう、慈しみ。
それだけで想いが伝わってしまう、酷薄。

キスする側と、される側。
近づけば近づくほど、"一"にはならないparadox

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