「転ばないおまじない」は腰痛にも効く 2023・7・1

柔道整復師の免許を取って整骨院を開業するまでしばらく整形外科のリハビリ室で勤務していました。午前中の患者さんはたいていご年配の婦人で、腰か膝の痛みが主訴というパターンが多かったです。
 
それで、足首に白い糸を巻いておられる方がかなりの割合でおられました。「これ何ですの?」とお訊ねすると、「お大師さんの杖」と教えてくださいました。転ばないまじないなんだそうです。お大師様の縁日、毎月21日に足首に木綿の白い糸を巻きます。もし転びそうになっても、糸が身代わり?に切れて守ってくださるといいます。
 
結構ローカル色の強い風習のようで、私が勤めていた整形外科があったのは大阪市の住吉区、開業したのは同じ大阪市内の西淀川区だったのですが、西淀川では足首に糸を巻いている方はほとんどおられませんでした。
 
あるとき、手技を勉強に通っていたカイロプラクティックのセミナーで、足首にある距骨(きょこつ)という骨を調整して身体のバランスをとる手技を教わりました。距骨を調整すると、左右で違っていた脚の長さが揃うのですよ。それで、「これはお大師様の杖とおんなじ理屈やな」と考えた私は患者さんの足首にサージカルテープを貼ってみました。
 
患者さんの足首に「お大師様の杖」と同じ要領でサージカルテープ(紙バン)を貼ると、なんと脚長の左右差が無くなります。骨盤を調整した後に貼付すると、歩き方が安定します。先日も骨盤の痛みがなかなか改善しないで困っておられた方に骨盤調整とこのテーピングを処方したところあっという間に痛みがなくなってしまい、たいそう喜んでいただきました。
 
足裏に全身の状態が反映されるという治療法(リフレクソロジー)がありますが、足の骨(足根骨7個、中足骨5個、趾骨14個)の関節にもほかの部位とのシンクロニシティーがあるようです。
 
さて、発達障害の治療で有名なK先生とおっしゃる精神科医がおられます。一般的な治療法だけでなく、さまざまな民間療法を診療に取り入れておられるのですが、なんと発達障害の子供さんの足首をカイロプラクティックの手法で調整しておられるといいます。歩行が安定すると脳のしんどさも改善するということのようです。ちなみに足首に糸を巻くまじない、地方によっては中風(=脳卒中)のまじないとされているところもあるようです。距骨と頭の関係に古人は気づいていたのかもしれませんね。
 

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