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僕はかつて天才だった

僕はかつて天才だった。

自分の可能性を信じ
まだ見ぬ理想の未来を追い続けていた。

僕にだけ与えられた才能があり
誰も僕の代わりにはなれないと信じていた

思考を止めないこと
迎合しないこと

孤高
唯一の存在

そうありたいと思っていた

だけど

あの日
僕は大切な物を見失い
堕ちた

かつてこの心にあった翼は折れ
プライドは傷だらけになり
僕は何をしていいのかわからなくなった

僕は隠れるように
この世界の悪意から逃げるように
かつて自分が望んでいた未来を

捨てた

その後 長く続いた失意の日々の中で

たくさんの人と出会い
たくさんの価値を知り

自分が誰かと同じ
「人間」であることに気づいた

「僕は特別な人間ではない」

その瞬間から
僕は天才ではなくなった。

僕は天才でなくなった代わりに
優しさの価値を知った。
誰かを思い、祈ることの強さを知った。

長い休息の後
僕はまた旅を始めることにした。

自分自身の可能性を模索する旅から
誰かの中にある可能性を育む旅へ

自分を鼓舞するように生きるのではなく
誰かを勇気づけるように生きること。

僕が今 生きている意味は

他の誰かを思うこと、にある。

この旅の価値を信じ
歩いていくことにしよう。

成功とか失敗とか
そんな打算をしている時間は
もう僕には残されていない

この旅の行先が絶望だったとしても

僕はこの残酷な世界のどこかにいるあなたに
ありがとう、を伝える旅を続ける。

僕の思いを伝える旅を続ける。

天才でなくてもいい。

優しければそれでいい。

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