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あの日から


目を閉じれば 悲しみが見える
耳をすませば 嘆きが聞こえる
手を伸ばせば 寂しさに触れる
傷ついたこの空の下で

壊れそうな思いを抱えて
君はいま 何を思うのだろう

不安の闇をたどる 夜は淡く響く
胸に刻みつける 私の勇気を

君の最後の言葉を

ーーーーーーーーー 10 years  (2021)
                                       Lyrics by はがね (Division15)

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震災のあと

病院に3日間泊まり
やっとうちに帰って
家族の顔をみたら涙が出てきた。

あの日に感じた思いを残したくて
ギターを持ったのだが

ショックが強すぎたのか
何にも出てこなくて
そのままギターをおいた

それから曲をなんとか残したい
この思いをなんとか閉じ込めたい

ずっと思っていた。

何ヶ月か後
やっと僕の上に言葉の断片が落ちてきた。
  

  『目を閉じれば悲しみが見える
   手を伸ばせば痛みに触れる
   耳をすませば嘆きが聞こえる
   残酷な世界の中で

   壊れそうな思いを抱えて
   君は今 何を思うのだろう』



でもそのあとが出てこない


曲の形になったのは
それから何ヶ月も後のことでだったが

それでも自分が納得する形ではなく

そのまま10年経った。

ーーーーーー

その曲は未完成のままだったが
10年目のある日

テレビで復興支援のドキュメンタリー
未だ戦っている人々がいる
そしてその戦いをつなぐものは

『亡くした人たちへの思い。』

そのことに気づいたら
言葉が僕の中に湧き上がってきた。

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この曲を歌う時は
いつだって祈るような気持ちで

そして
今日も思いを込めてギターを弾く。

僕がここにいるってことを
誰かに伝えるためにこの歌を歌う

もしかしたらあの日がなかったら
出会っていたかもしれないあの人や

名前を知らないあの人を思いながら

目を閉じれば悲しみではなく
誰かの優しさが見える

そんな日がくることを祈りながら





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