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綺麗に晴れた空 
久しぶりに
鼓動が高鳴るよ
君を思い出すから

この街を離れた
手に入らない未来さがして
なにかとひきかえに
失った思いは

今もまだ君は
この街の中で
暮らしてるんだろう
どんな日々だったのかな

この街の片隅
捨てた記憶が揺れた
少し息苦しいのは
あの痛みに近づくから

君に会いたいと思っていたんだ
君の声が僕の心をさす
ありふれた日々に錆びついた夢も
少しの孤独も全部引き換えにして

君に向かう
あの坂道の風はまだ あの日のまま

君は「変わったね」と言ってくれるだろうか
君の声が僕の鼓膜をうつ
それとも「変わんないね」と言ってくれるだろうか
あの頃の僕を君は覚えていてくれるだろうか

君に会いたいと思っていたんだ
柔らかな笑顔も その髪の色も全部
ありふれた日々に失った夢も
語った未来も 若さゆえの過ちも

君に向かう
あの坂道のスピードはまだ あの日のまま

   ーーーーーーー君に会う日(2021)
          Lyrics by はがね(Division15)

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秋田県の山奥の片田舎で
高校3年生までの18年間を過ごした。

高校2年の夏に
僕はアメリカに渡ることを決意した。

当時はまだ高校を卒業してすぐの留学なんて
一般的ではなかったけど
誰とも違う突拍子なことをやりたい
そんな思考でアイデンティティを構築していた僕には
とても自分らしい良い行動のように思えた。

あの頃の僕は世界を知らぬまま世界に憧れていたのだろう。

恐れずに言うならば
僕は自分の育った街が大嫌いで
ここ以外のどこかならばどこでもいい
とにかくこの街から出て行きたい

そう思っていた。

留学を決めてから僕は全く勉強なんてしなくなり
音楽と読書、詩作などに励み

「絶対的な真実とはなんだ」
「僕は一体誰なんだ」と

哲学者を気取って背伸びしていた。

そして渡米した。

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その後 紆余曲折あり
僕は医学を志し
日本に帰ってくることになる。

医者になり
家族をもち
父が亡くなり
実家は都市計画で平地になり

ますますあの町とは疎遠になる

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近年のSNSブームで
全く絶縁状態だった仲間たちと
少しずつ交流するようになってきた。

あの街を捨てるように出て行った僕に
友人申請をしてくれる仲間が多いことにびっくりしつつ
少しの懐かしさと好奇心を持って
何十年かの時を経て繋がっていく不思議な感覚

全く会っていないのに
まるでずっとそばにいたかのように

僕の存在は誰かの記憶の中にあるのだと
そんなことを思った。

その記憶は多分ずっとアップデートされていない
あの頃の僕を留めたままの存在

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「ずいぶん年取ったしだいぶ変わったんだよ」

そんなことを思いながら
でもあの頃の僕に会うことができるのも
また楽しいことなんだと気づいた。

生意気だったけど
一番綺麗でギラギラしてたあの頃の僕に
もう一度会いにいく。

君は今の僕を見て

「変わんないね」と言うだろうか

それとも



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