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144 優秀なエンジニア不足


はじめに

マイナンバーカードのトラブルが続き過ぎています。私の周りでも実際に、別の相手に間違って個人情報がひもづけられてしまったという話を聞いています。
ついに、政府の個人情報保護委員会が9月20日、つい先日、デジタル庁をマイナンバー法と個人情報保護法に基づいて行政指導する事態になりました。今日の教育コラムでは、この事態について少し考えてみたいと思います。

発生している事象

コロナが流行していたころ、正確には2019年から2020年にかけて、国からの給付金が各家庭や個人、または企業に支給されました。その際、我が国がいかにアナログであったか、また、そうしたお金を配るために膨大な公費がかかったことを皆さんは承知していることと思います。
今後も、様々な国の給付金を受ける場合などにマイナンバーは有効なわけですが、別人の預貯金口座が別人のマイナンバーに誤ってひも付けられて登録されるケースが次々と発生しています。
一般的な企業であれば、再起不能なほどの信用問題となり、倒産してもおかしくない事態をデジタル庁が起こしています。少なくとも私たちの国をデジタル化していくかじ取りを任されているこの省庁においてこうした事態になっているのですから、日本のデジタル化の道はまだまだ厳しいと考えてよいでしょう。

発生した原因

マイナンバー法を所管する官庁が指導を受ける異例の事態となった原因は、登録方法のシステムの組み方にあります。
一人一人登録をしていく際に、ログアウトせずに次の人がデータを入力すると別人のデータに上書きされる仕組みだったのです。登録手順のシステムの組み方で防げる問題であったわけです。簡単に言えば、最初に登録する人の次の人が登録手続きをするという過程の中で、登録完了をしたら自動的にログアウトするようにしてしまえばよいわけです。
完了ボタンを押したら、ログアウトも同時にしてしまう。それだけで誤操作は防げます。誤操作が発生する可能性を限りなく無くすことが、こうした個人情報に関わるシステムを組む際の肝なわけです。
国を挙げての大事業において、このような初歩的な誤操作の可能性を残しているシステムをデジタル庁の推進する事業において用いていること自体が日本の情弱ぶりを世界に示しているわけです。
つまり、今回の原因は、システムエンジニアの人材不足というわけです。優秀な人材は、海外に流失している昨今のエンジニア市場において今後、こうした人材不足は加速していくはずです。ただでさえ、少子高齢化が進み日本において、人材不足は様々な場所で生じていきます。

人材不足の果てに

人材が不足するとAIやロボットに頼る、またはデジタル化を進めていく方向で対応していくわけです。日本の行政のデジタル化もマイナンバーカードと保険証の一体化もこうした社会の変化に対応していく一つの方法です。
しかし、私たちの国では、データを登録するという基本的な行為ですらまともにできていない状況がいま起きています。行政のあまりの不甲斐なさに対して行政が立ち入り検査をするというこの事態を、個人情報保護への意識の問題としてデジタル庁は反省していますが、私はそうは思いません。
これは、人材育成とエンジニアを保護する国の政策の過ちであったと考えています。人的誤操作によるミスが起きないようなシステムを組んでさえいれば起きない事故であることは明確である以上、私たちは安全で安心なシステムを組める、エンジニアが育つような土壌をつくっていかなければいけないのだと思います。


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