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381 頑張れ吉村知事2「0歳選挙権」


はじめに

吉村知事が公約に入れるということで、現在注目を集めている話題があります。それが、0歳にも選挙権を与えるというものです。
以前から、子ども選挙権という主張はいくつかある選挙改革の話題の中の一つとして認識していましたが、改めて国政政党が公約に掲げるとなるとその重みも変わってきます。
賛否両論ありますが、未来志向に立ってこれまでの常識にとらわれることなく民主主義の在り方を探究していくことについては、エールをおくりたいと思います。

現状認識

日本は、他国に類をみない少子高齢化が加速している国です。この国では、多くの民主主義の国とは違う人口ピラミッドの形をしています。各年齢層の人口比率がいびつなものとなっています。そのため、現在でも高齢者の意見が通りやすいシルバー民主主義などと呼ばれるような状態が続いています。国会議員を見ていても、65歳以上の方が多かったり女性が少なかったりと現状においても日本の民主主義の在り方にいくつかの課題は見えています。
急速な高齢化の中で、若い世代の意見をどのように取り入れていくべきなのかという視点が、今回の0歳児選挙権の根本にあるように思います。
現に、日本の選挙権の拡大の歴史を見ても25歳、20歳、18歳と年齢だけ見ても全ての国民にできるだけ平等に選挙権を与えるような流れであることも見てとれるわけです。

0歳選挙権

0歳選挙権というものは、ドメイン投票制と言い、これまでも議論が重ねられてきているものです。簡単に言えば、0歳の子どもはまだ選挙や立候補者の主張の内容を認識して、投票することができません。そこで親が子供の代理としてその分も投票するというものがこの制度です。
0歳児から17歳までの子どもたちの投票の分まで親が代わりに投票することで、55歳以上の有権者率と拮抗することができます。拮抗することで、若者世代が関心を持つような社会保障の在り方の議論が進むかもしれません
例えば、75歳以上の医療費1割負担を3割負担にして、現役世代の保険料を引き下げるといった思い切った議論は、今の有権者の構成では難しいでしょう。ドメイン投票制はそうした問題を解決する手段の一つとして議論されているということです。
もちろん、この議論には反論もあります。一人一票の平等の観点や子どものいる家庭の政治的な力が増すのではないかという観点など様々です。民主主義は完成したものではなく、今後も様々な国がその進歩に努め、あり方を模索していく価値のあるものであるという認識に立たなければ進歩はないのでしょう。

前例主義を打ち破れるか

日本は、産業の面でも教育の面でも、そして民主主義の在り方の面でも前例主義を打ち破れるかどうかという問いを今、突き付けられています。
明治近代化以降、日本は世界の政治や憲法を手本にしてきました。しかし、超高齢化という日本が世界に先んじて直面した現状課題においては、その対応を進める政策を真似る相手はいません。
私は特定の政党を応援するものではありませんが、0歳選挙権を公約に掲げる政党が出てきたことは、私個人とすれば政治と金の問題で嫌気がさし、薄れつつあった政治への関心を高めてくれるものでした。
新しい資本主義という言葉を現在、岸田首相は掲げています。これは、成長と分配の好循環を生み出そうというものです。一方で今回の0歳児選挙権に関する議論は、全世代がどのように政治に主体的に関わることができるかという新しい民主主義の議論なわけです。この2つの新しい考え方は、密接に関係するように思います。
主権者教育が進む中で、私たちは子どもたちに民主主義というものをしっかり学ぶ機会を提供すること自体をもう少し真剣に考える必要があるように思います。今回の吉村知事の発言は、そうした意味では重要な議論のきっかけになるように感じます。

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