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「五十にして天命を知る」

私は、昨日まで、どうしても不思議な感じに囚われていた。

今やっている作業は、柿の蕾落とし。摘蕾(てきらい)という作業。

1つの枝にできた4つか5つの蕾を、2つの枝にひとつだけ厳選して残す作業である。

プチプチプチと、人差し指と親指をつかって、ただひたすらに落としていく単調作業である。


同時に、枝に生えている余計な枝も落としてね。と、アルバイトさんに伝えている。

冬の剪定のあと、まとめて生えてくる「いらない枝」。こんなにたくさん・・・。
このままだと、薬剤散布をしようにも意味がない。


にもかかわらず、どうしても手が回らない不器用なグループもあるわけで・・・。

毎年だと私が二度手間だけど、あとから回ってた。

私も摘蕾をしないと、間に合わないし。

だけど、今年は、二刀流でいくことにした。

いらない枝を、先にとって回り、時には蕾を採っていこう・・・。

脚立の使い方を工夫する必要があったり、木の枝に乗って取る必要があるところは、へたすると放りっぱなしにされるので、私が採りますよとばかりに回ることにした。

本来の「摘蕾作業」に比べれば、忙しい。


後から追いかけてくるアルバイトさんが仕事をしやすいように、枝をすくことも同時進行。
作業がはかどるからか、後から後から追いかけてくる。


効率がよいのかもしれないけど、私は忙しい・・・。
常に脚立をもって動いている状態だ。
時々はハサミを使うけど、枝をひきむしってばかりいるので、肩はパンパン。肩こりエゲツナイ。


だけど・・・アレ?!


なんか、時間たつの早い・・・。

それに、めちゃくちゃ元気!

仕事をしている間も楽しい。


柿を育てるために、どう枝を処理しようか。
柿が無事大きく育つには、どの蕾を残そうか。


大きな柿が育つことを想像するとワクワクする。

どう仕事を進めていこうかと考えることが、楽しい。


それに・・・。摘蕾作業には必ず必需品だった「ウォークマン」も、今年は一度も持ってきていない。

「ウォークマン」を聴きながらの作業は、単調な作業を軽くし、時間を早めてくれるが、今はむしろ邪魔な気がする。


もうこの作業に入って1週間以上経つのに、「ウォークマン」なしで、こんなに時間が経つのが早いのは、なんでやろ?


仕事が楽しいから?


柿の木が減って負担が軽いから?


「作業をこなす」ことではなく、「作物を育てる」ことにフォーカスして作業をすすめているから?


こんなに身体が軽いのは・・・。

これってもしかして、「天命を待つ」だとかそういうこと?


その「方面」の勉強は、苦手で疎いにも拘らず、降って湧いたような「語句」が天から舞い降りたのは、日光の元で仕事をしているからであろうか。


当時の心境が、シンクロしている『気』がしたその言葉。

なんか、聞いたことがある・・・。


10分の休憩時間のあいだに、スマホで調べてみた。


おーっ!「孔子の論語?」

何か、昔、習った気がする。


「論語」とは、孔子という偉い人の教えを記録した書物らしい。

その書物の中に書かれている、孔子自身が、一生を振り返りながら、自分の人間形成の過程がかかれた、「論語」を口語訳すると、

・15で学問に志し
(15になると、情熱や探求心を持ち始め)    

「中学を卒業するよね・・・」

・30にして立つ
(30になると自立して、社会で活動し)

「私の場合は、子供を産み終わって、育児に家事に仕事の人生スタートしたよね」

・40にして惑わず
(40になると迷うことがなくなり)

「そうそう!40でやっと大人になった気がした!」

・50にして天命を知る
(50になると、自分の天命(運命や使命)を理解するようになる)


おおぅっ!
自分の人生の目的や役割を理解するようになる!

へぇぇぇーーーーーーーーーーっ!

天命を「待つ」ではないけど、50で天命を「知る」んや!
わたし、五十二やから、ちょっと遅かったけど!


私も、孔子の一生に準えて年を重ねているのか!

仕事が楽しくて、時間が経つのが早いっということは・・・!


わぁっ!ほら!もうお昼やん!


さぁ!みんな、もうお昼にしようか!


えーっ!
奥さん、お昼まであと一時間ありますよっ!
びっくりしたぁっ!


ウッソーっ!
あまりに時間が経つのが早いと思ったら・・・!
ごめん!ごめん!あと1時間や。


アルバイトさん達へ焦って、返事を返す。
時間を間違えるなんて初めてのことで、本当に焦った。

五十にして、天命を知ったはず・・・なのに・・・。
あれは・・・。


スマホで知った続くことば・・・。

・60にて耳順ふ(したがう)
(他人の意見を受け入れ、柔軟にかんがえるように)

「えーっ、私頑固やからな・・・。あと8年・・・。もっと柔軟に!」


・70にて心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰えず(こえず)
(70になると、自分の思うままに行動できるようになるが、常に正しい道を逸脱しないように心がけた)

「70になってやっと、自分の思うままに!
年取って若い時とくらべて、どんどん出来ひんようになることも多いかもしれんけど、なんかそう言われると楽しみ」


今もわりと自分の思うままに生きてる気がするけど、年とるのも悪くないのかな・・・だなんて、思っていた昨日。

「何事も楽しんでやりなさい。楽しんでやることで、思わぬ力が発揮されるものなのだ。」という、意味が込められた論語もあるということを知り、孔子の教えそのものが「天命」だと感じた昨日。


孔子の教えをスマホでいくつも知り、ちょっと賢くなった気がした昨日・・・。


なのに、対して今日は、やたらに時間が長く感じた。

昨日までの軽やかさはどこに・・・。

わたしの「天命」は・・・。


久しぶりにやってきた、うだるような暑さにやられそうになりながら、やっとのことで定時を迎える頃にはヘトヘト・・・。(明日は雨でお休みでよかったよぉ😭)

そういえば、昨日までは、テレビで言われていた「夏日のような暑さ」とは無縁で、カラッとした暑さで、そう気温も上がらず気持ちよかった。


身体が軽やかに感じたのは多分・・・。


だけど、今回加えて知った「人事を尽くして天命を待つ」という中国のことわざのように、懸命に農作業を推し進めたあとは、あとは秋を待つだけということなのか・・・。

降って湧いた「天命を待つ」という言葉も、あながちいまの状態とシンクロしたことは外れてはいなかったんだ。


今年は、やたら「カメムシ」が多い・・・。


どうか、カメムシ被害が最小限に済みますように。


「孔子」「論語」「中国のことわざ」
私が普段書かないことだけど、こうして記事に残すと、もっと賢くなった『気』がするし、印象に残りそう(笑)

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