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【著者書き下ろし】「わらしべ長者」に隠された新社会人へのメッセージ

こんにちは、『座右の寓話』著者の戸田智弘です。
5月26日に『人生の道しるべになる 座右の寓話』を出版しました。これは、2017年に出版した『ものの見方が変わる 座右の寓話』の最新刊になります。

本の形式は前作と同じで、77の寓話を紹介しつつ、それぞれの寓話に私が解説を加えていくスタイルです。前作との違いは何かというと、第1弾では寓話や譬え話がほとんどだったのに対して、第2弾ではそういうものだけでなく昔話や神話、逸話、心理学実験、思考実験などをたくさん取り上げていることです。では『人生の道しるべになる 座右の寓話』の中から二つの話を紹介しましょう。

わが家を広くする方法

一つ目は「わが家を広くする方法」という寓話。ユダヤ人の男性がラビ(ユダヤの聖職者)の家を訪ね、狭くて汚い家、口うるさい妻、言うことを聞かない子供たちへの不平不満をぶちまけます。ラビは男に、飼っているヤギを家の中に入れて生活しなさいと言います。その通りにすると家の中はめちゃくちゃになります。困った男はラビの家を再び訪ねて、自分の家の中の様子を話します。それを聞いたラビは次なる指示を出して・・・・・・というように話は進んできます。

馬鹿馬鹿しくて愉快な話でありながら、ここには確かな教えが含まれています。自分はいま幸福か、不幸かは、どこに基準をおくかで決まってきます。自分が不幸せだと嘆いている時は幸せの基準値が高すぎないかを考えてみるのもいい。この寓話は私たちにそんなことを教えてくれます。

わらしべ長者

二つ目は「わらしべ長者」という昔話。誰もが一度ぐらいは聞いたことのある話でしょう。

貧乏な若者が観音様に「どうかお金持ちになれますように」とお願いするところから物語は始まります。観音様は男にこう言います。「ここを出て最初につかんだものが、お前をお金持ちにしてくれるだろう」。歩き始めた男は、道ばたに落ちているわらしべを見つけます。男はそれを拾って歩いていると向こうから一匹のアブが飛んきました。男はそのアブをつかまえると、持っていたわらしべに結んで歩き始める。そうすると向こうから人がやってきて・・・・・・というように話は展開していきます。男はいろんな人から物々交換を持ちかけられ、最後はお屋敷と畑を手に入れます。

この昔話は若者を勇気づける話だと解釈できます。若いうちは誰もがたいした能力を持っていません。持っていなくても、取りあえずいま持っている能力で社会の中に飛び出していくしかありません。自分なりに頑張っていると、自分の能力と見合うようなものに出会い、それを完全に自分のものにすれば、また次にそれと見合うようなものに出会うことができる。そうやって人生はどんどん開けていくものです。だから、臆病にならず社会の中に飛びこんでいって「人生という道」を元気に歩いて行こう。こんなメッセージがこの昔話には隠れているのではないでしょうか。

寓話は、悩みや課題を解決するヒントをくれる

寓話や昔話というのは「子供向けの荒唐無稽の話だ」として自分から遠ざけるのはもったいないように思います。私はみんなに寓話や昔話の大人読み、深読みを勧めています。子供の頃に読んだ寓話や昔話をあらためてじっくりと読んでみると「実によく出来ている話だなあ」と感心すると同時に、話の中に含まれている深い教えを発見できることも少なくありません。

『ものの見方が分かる 座右の寓話』を出した後、周りの人に「一番のお気に入りはどの寓話?」と聞いて回りました。人によってけっこうバラバラだったのに驚きました。ちなみに私の一番のお気に入りは「ロバと親子」(第15章)という話です。この寓話から私が読み取ったのは「他人から嫌われることを恐れるな」という教訓でした。

『人生の道しるべになる 座右の寓話』での一番のお気に入りは「ジャナカ王とアシュタバクラ」(第6章)です。気分が落ち込んだとき、この寓話で学んだ「起きたことは最高! 起きなかったことも最高!」という呪文を唱えるようにしています。笑い話でありながら、実によく出来ている話で重要な教えが含まれている。そういう話が私は好きです。

人生に悩みは尽きません。私たちは年齢を問わず、何らかの課題を抱えて生きています。寓話や昔話はそういう悩みや課題を解決するヒントをくれるでしょう。あなたのお気に入りの寓話を見つけてみてください。

もっと詳しく知りたくなった方は

座右の寓話シリーズでは、古今東西語り継がれてきた寓話を集め、その解説を載せています。どの寓話も「わかりやすい教訓」と「人生の深い知恵」を得ることができます。

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