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【顧客はどんなときに会社のブランドを感じるのか?】会社のブランドについて考えるワーク①

今月、広報担当者や事業責任者、経営者必読の書籍超実践!ブランドマネジメント入門 愛される会社・サービスをつくる10のステップが発売されました。企業のブランドの基本から活用まですべてがわかる、注目の一冊です。本記事では、その一部を紹介します。

ブランドとの接点はブランドタッチポイント

私たちは何かを購入したり、利用したりするとき、実は様々な経過を経てその決断をしています。近くの店舗で商品を買うとき、家族でレストランに行くとき、入学する学校を選ぶとき、海外旅行をしようとするとき……、私たちは多くの情報に触れ、それを自分なりに処理しています。
例えば、飛行機で旅行をする場合を考えてみま しょう。

テレビ・新聞・SNS などで広告を見た
➡ 飛行機での旅行をしてみたいと思う
➡ ネットで調べる
➡ いくつかの航空会社のホームページを調べる
➡ 比較する
➡ 航空会社を決める
➡ チケットを予約する
➡ 詳しく聞きたい場合はコールセンターに電話をする
➡ コールセンターの人と話す
➡ 当日、空港まで行く
➡ 移動の途中、航空会社の広告を見かける
➡ 受付カウンターに行く
➡ 待合室に行く
➡ 機内に入る
➡ 客室乗務員から挨拶される
➡ 自分のシートに座る
➡ 座席のパンフレットなどを見る
➡ 機内サービスを受ける
➡ 機長の挨拶を聞く
➡ 機内エンタメを楽しむ
➡ 現地に到着する
➡ 客室乗務員に見送られる
➡ 空港に着く
➡ カードメンバーなどの場合は、後日、自分あてにメールが届く、情報誌などが届く……

これらのすべてがブランドとの接点、すなわち「ブランドタッチポイント」なのです。

ブランドタッチポイントの模式図(レストランの事例)


ブランドは細部に宿る

街で素敵なレストランを見つけました。外観もおしゃれだし、雰囲気もよさそう。今度、家族の誕生日に行ってみようと思って、ホームページを見ました。全体的に落ち着いていて洗練された感じを受けます。料理もおいしそうです。期待は高まります。

家族の誕生日当日、お店に行きました。

ホームページから受けた印象とは少し違います。店内が雑然としていて、少し狭い印象です。ウェイターに料理の中身を聞いても、いまひとつ要領を得ません。
肝心のお料理。決して美味しくないわけではないけれど、期待していたほどではありません。

食事を済ませるとシェフが挨拶に来られました。お料理にはこだわりがあるようですが、実際のところ、それほど熱い想いは感じませんでした。もしかして「誕生日」のサプライズがあるかもと思いましたが、それはなく、そのまま店を後にしました。

期待していただけに、少しがっかりしました。

この例では、事前の期待が高まっていた分、最終的に失望感を味わいました。このようなケースは決して珍しいことではありません。この場合、少しずつブランドが損なわれているのです。

「思っていたのと違う」「こんなはずでは」と思われてしまったら、‘ 頭の中’ に確固たる存在感を築くことはできません。たとえブランドタッチポイントのひとつずつは小さくても、そのひとつずつがブランドイメージの「貯金」につながっているのです。

いくら広告やホームページのデザインが良くても、肝心の商品、店舗、サービスの質が伴っていない、あるいは逆に、それらの質が良くても、伝え方が拙かったり、従業員の対応が悪ければ、結局のところマイナスの印象を与えてしまいます。

ブランドタッチポイントのすべてに目を配ること、一貫性を持たせること。少し大変ですが、その姿勢が大事です。ブランドは細部に宿るのです。

ブランドタッチポイントは「カスタマージャーニー」としてまとめる

顧客がブランドタッチポイントに触れるルートをカスタマージャーニーと呼びます。カスタマージャーニーは自分たちのブランドを見直すきっかけになります。

カスタマージャーニーの例(航空会社の場合)

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WORK あなたの会社のブランドタッチポイントをできるだけ多く挙げてみましょう。

( 上條 憲二 著『超実践! ブランドマネジメント入門 愛される会社・サービスをつくる10のステップ』より一部抜粋。一部、書籍の表現と異なる場合があります)

会社のブランドについて考えるワーク②へつづく➡


■著者

上條 憲二(かみじょう けんじ)
愛知東邦大学経営学部教授・日本ブランド経営学会会長・日本マーケティング学会理事。外資系広告会社執行役員を経て、世界的なブランドコンサルティングファームであるインターブランドの日本法人でエグゼクティブディレクターとして企業のブランド戦略に携わる。その間、大手住宅メーカー、ゼネコン、自動車会社、旅行会社、航空会社、放送局のブランド戦略を担当。2014年より現職。研究者であり、コンサルタントであり、現場の実践者という「3in1の存在」として、「ブランドをマネジメントするのではなく、ブランドでマネジメントする」を趣旨とした「ブランド経営」の重要性を日々説いている。「日本ブランド経営学会」の会長を務めるとともに、日本マーケティング学会・リサーチプロジェクト「健康経営ブランディング」研究会メンバーでもある。主な著作(共著)として、『ブランディング7つの原則』(2012.7日本経済新聞出版)、『21世紀のマスコミ 広告』(1997.9大月書店)がある。

■今回紹介した書籍

超実践! ブランドマネジメント入門
愛される会社・サービスをつくる10のステップ

広報担当者・事業責任者・経営者必読。
ブランドの基本から活用まで、これ1冊ですべてがわかる!
インターブランドジャパンCEO 並木将仁氏推薦!
「ブランディング」で会社はもっと強くなる!!ブランドマネジメントであなたの会社は、もっともっと愛される会社へと生まれ変わることができます。


■目次

はじめに
C h a p t e r 1 基本を知る

 そもそも「ブランド」って何? 「ブランド」のキホンのキ
C h a p t e r 2 機運をつくる
 まず、何をすべきか。組織の土壌を耕すポイント
C h a p t e r 3 組織をつくる
 どうすれば組織は動くのか。組織を動かすポイント
C h a p t e r 4 環境を見つめる
 自分たちはどこにいるのか。問題意識共有のポイント
C h a p t e r 5 進む方向を考える
 どんなブランドを目指すか。方向見極めのポイント
C h a p t e r 6 ブランドの基盤をつくる
 ブランドコンセプトって何だ? その決め方のポイント
C h a p t e r 7 「伝え方」をつくる
 「見せ方」「言い方」「社内浸透」「社外発信」策定のポイント
C h a p t e r 8 「らしい活動」を考える
 「ブランドらしい活動」づくりのポイント
C h a p t e r 9 ブランドをデビューさせる
 ブランドをスムーズにデビューさせるポイント
C h a p t e r 10 成果を活かす
 「ブランド価値」を高めるポイント
おわりに

『超実践! ブランドマネジメント入門愛される会社・サービスをつくる10のステップ』


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