KaoRu IsjDha

1980年生まれ、2002年よりチェコ在住。絵描き、その他ワラジ数足。ポートフォリオ …

KaoRu IsjDha

1980年生まれ、2002年よりチェコ在住。絵描き、その他ワラジ数足。ポートフォリオ https://kaoruishida.com noteから生まれた連載小説の本はhttps://dinoru.booth.pm/ で販売中

マガジン

  • 墨で鳥-水墨画練習帳

    水墨画、特に鳥の絵の記事の収納マガジンです。

  • その名はカフカ V

    長編小説『その名はカフカ』収納箱その⑤です。その④はこちら→https://note.com/dinor1980/m/m3bce3df2f830

  • コーヒー豆氏の話

    コーヒー豆氏の活躍する記事を収めています。

  • 言語に関するあれこれ

    言語や語学学習についてあれこれ書いた記事を集めてあります。

  • その名はカフカ IV

    長編小説『その名はカフカ』収納箱その④です、その③はこちら→https://note.com/dinor1980/m/m036e5e244740

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常設展示のお知らせ

原画展示のお知らせです。 「常設」と言うからにはこれから先、展示先の予定変更がない限り、ずっと展示される、ということです。とは言え販売展示なので、作品が売れたら新しいものを額装して追加します。 ……え、なんか、すごくない? ええ、私にとっては大事件ですよ!格好つけて「!」なしで書き始めてしまいましたがっ!ここからは「!」連発で!進めていきたいと!思います!(しつこいな……!) それで、場所はどこなんだい? チェコ共和国の首都プラハです。プラハ1区です。同じ通りの東には米大

    • 墨でアオサギ / 敬称募集

      ここのところカラスに沼りながらハイタカくんに翻弄されていたワタクシですが。 またしても「墨で鳥」に帰って来ました、アオサギが……! 水墨画の鳥をお披露目する「墨で鳥」コーナーも、アオサギがいなければ始まっていなかったのではないかというくらい重要な鳥。定期的に顔を出さないと本人(本鳥)も気が済まないのかもしれません。 では、まずは墨でアオサギ、新作をどうぞ。 (大きさはいずれも書道半紙24 x 33 cm) 何だか、私のアオサギ、安定してきてません?……って自分で言うのも何

      • 中編『十一月に』追記~鴉はやはり沼であった

        蓋を開ければ「カフカの番外編」であった中編小説『十一月に』。 全六話で隔日で投稿しましたので、何だかあっという間の連載でしたが、正直、楽しんでいただけた方がいらっしゃったのか、自分では全然判断がつきません。 執筆を開始したのは『その名はカフカ』第四部Modulaceを終了した直後4月25日で、5月6日に最後まで完成させてから投稿し始めました。 もともと「カフカの連載を終えてしまった寂しさを紛らわすため」に書き始めたのですが、前々から書きたいと思っていた部分を扱ったこともあ

        • 十一月に 6

          十一月に 5  十一月も終わりに近づき、朝の冷え込みが更に厳しくなった。この冬は暖冬になると何度か耳にしたが、店の前の車道に陽だまりができるようになる九時くらいまでは正直あまり外には出たくないな、と思いながらヴィート・スラーンスキーはピアノ展示室のデスクから車道に面した大きなガラス窓を通して外を眺めた。展示室には季節に関係なく一年を通して直射日光が入らないよう考えて建物自体が造られている。  父のヴォイチェフが病に倒れた五年前からヴィートは一人でこの中古ピアノの修理販売店を

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        常設展示のお知らせ

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          7本
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          8本
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        記事

          十一月に 5

          十一月に 4  展示室の中で鳴り響く玄関先のベルの音は、工房まで聞こえる。わざとそれくらい大きな音にしているのだが、この日来客の予定がないヴォイチェフはベルの音を聞いても、片眉を上げて横目で壁の柱時計を確かめただけで、作業する手は休めなかった。もう一度、ベルが鳴った。しかしヴォイチェフは仕事を続けた。時間は午後四時を回ったところで、普段からこの時間帯は一番仕事に集中できることもあり、接客の予定は入れないようにしている。予期せぬ訪問など、相手にする理由はない。しかし一分ほどの

          十一月に 5

          十一月に 4

          十一月に 3 「私服の警察の人なんて、本当にいるんですねえ。私、ドラマの作り話だと思ってたんですよお、そうやって私服の刑事さんが『警察の者だが』って言ってバッジ見せるの」  興奮気味にまくしたてる若い女に内心うんざりしながらも、シモン・ストラカは無表情のまま、女が話し終わるのを待った。女は肩まで伸ばした赤い髪を揺らしながら、更に 「でも、お一人なんですね。ほら、ドラマとか映画とかって、よくペア組んでるじゃないですか、刑事さんって」 と続けた。  昨日の午前中に届け出があった

          十一月に 4

          コーヒー豆、票集めにチョコり出る。

          らべあろ企画の常連様たちには「あ、やっぱり」と思われたこと確実、ですが、この度らべあろ企画『四季王の座は誰の手に!』の投票所へコーヒー豆氏と共にご案内いたします! 今度の企画は何なん?と思われた方も、どうぞ清き五票を投じ、出口でコーヒー豆氏からスロヴァキア産のスイーツを受け取ってから、その下の私と豆氏のグダグダをお読みいただければ、と思います。 尚、投票の締め切りは5月14日(火)日本時間午後8時です。 まだ迷えますが、どうぞ忘れず投票所へ足をお運びください(でないと豆氏の

          コーヒー豆、票集めにチョコり出る。

          十一月に 3

          十一月に 2  夜どんなに遅く寝床に入っても翌朝五時にすっきり目が覚めるようになったのは、二十年前にかつて夫であった男と別居を始めた頃だったかもしれない。もう正確には思い出せないが、イレナはこの日の朝も五時ちょうどに目覚めると、瞬時に起き上がって、座ったまま大きく伸びをした。  窓の外はまだ真っ暗で、カーテンを開けて確かめてみることはできないが、今日も寒いのだろう、雪が少しばかり積もっているかもしれない。そんなことを思いながら掛け布団をはねのけると、ベッドの側に揃えてあった

          十一月に 3

          十一月に 2

          十一月に 1  いつになく図書館が混んでいるのは急激に外が寒くなったせいだろう、と憂鬱な思いを抱きながら、カテジナは肩が触れ合いそうなほど近くに座っている隣の席の少女を見やった。今カテジナが座っている簡素な造りのテーブルは四人掛けだが幅が狭く、通常なら知らない人間とは同席したくないくらいの大きさだ。カテジナが通う高校のすぐ側にあるこの市立図書館は、図書館としてはとても小さい。カテジナはプラハ市内に点在している市立図書館の中では旧市街広場の近くの中央図書館が一番好きだったが、

          十一月に 2

          十一月に 1

           今年の秋はいつにも増して順調に冷え込んできたな、と思いながらヴォイチェフ・スラーンスキーは工房の小さな窓から細かな雪が舞うのを眺めていた。まだ積もるほどの寒さではなく、雪は地に落ちると同時に姿を消した。  十五年前のビロード革命直後にやっと独立して開いた中古ピアノの修理販売店は平屋建てで、建物の前半分が数台のグランドピアノが置いてある接客用の展示室、後ろ半分が展示室と同じくらいの広さの修理工房という造りになっている。四十代も後半にして一人で新たな事業を始める、という事実に躊

          十一月に 1

          墨で黒考良と紫陽花

          ええっと、記事タイトルと見出し絵が、ちぐはぐでないんかい? ……ごもっともです、しかし本記事も「墨で鳥」、メインディッシュは最後にご用意しておりますので、まずはザザッと蓮と紫陽花の墨の作品をご覧いただければ、と思います。 いずれも大きさは書道半紙(24 x 33 cm)です。 紫陽花を描いていて、思ったのです、紫陽花って言えば、ねえ、穂音さん著『ミズ・ミステリオーザ』でしょう、と。ミステリオーザ婦人のダーリンのお名前はオルテンシア、イタリア語で紫陽花。 そして、覚えてい

          墨で黒考良と紫陽花

          『その名はカフカ』Modulaceに関するあまり長くない追記

           本記事は先日連載を終了しました『その名はカフカ』の第四部Modulace(転調の意)の解説記事です。  今年二月から約二ヶ月間に渡って連載しました全22話を納めたマガジンはこちらです↓  これまでの解説記事よりは長くならないはず……と思いながら書き始めましたので、連載をお読みくださった方にサラッとお付き合いいただければ幸いです。  本記事で「その名はカフカって、何?」と思われた方はこちらからどうぞ↓ 執筆の速度と投稿頻度 今回も第三部Disonance同様、書き始めて

          『その名はカフカ』Modulaceに関するあまり長くない追記

          その名はカフカ Modulace 22

          その名はカフカ Modulace 21 2014年12月ブルノ  ハルトマン病院長とレンカの契約更新のための会議は2006年以来、毎年六月の第一日曜日に、会場は病院内の会議室ではなく、病院長の自宅で行われていた。妻に先立たれ、子供たちも独立した後は病院の近くに構えていた邸宅が無駄に大きく感じられて、今は街はずれに以前の邸宅の半分ほどの規模で、庭が敷地の七割を占める家に一人で住んでいる。それでも人の出入りが多い家だが、レンカとの会議の際には庭先に配置している警備員以外は誰も

          その名はカフカ Modulace 22

          墨でメンフクロウとハイイロチュウヒ

          今年二月の一大イベント「ハイタカ、庭で捕食す」以来の墨で鳥。 今回はメンフクロウとハイイロチュウヒです。 ……鳥同盟の長の「お主も単純な奴よのう、雑用係」という声が聞こえてきます。汗 と言うのも、つい最近メンフクロウは長殿の御記事のスキリアクションに、ハイイロチュウヒは御記事扉絵に登場し、いずれも私がコメント欄で騒いだからでございます。 先週から今週にかけて本当に時間がなかったワタクシ、今週の墨絵教室のお手本を準備する段になって「モチーフのテーマが思いつかない」とパニックに

          墨でメンフクロウとハイイロチュウヒ

          季語の美しさにもだえ詠んでみる~春の覇者決勝戦

          本記事はらべあろ企画『春の覇者はわたしで決まりよ』決勝戦への参戦記事です。 ……へ?決勝戦って、言いました? 決勝戦って、予選を勝ち抜いた選手が出るヤツ? あ、はい、分不相応ながら、そんな流れになりまして。 ちょっと待った。アンタ、二回戦に超勘違い句を投句してなかったか? ええ、そりゃあもう、あの十七音自体に「間違い」などはないはずなんですが、それを詠んだ背景がね、なんともこっ恥ずかしいものでして(寝る前に投句して朝起きたらウミネコ編集長から非常に紳士的に救命ボートが出され

          季語の美しさにもだえ詠んでみる~春の覇者決勝戦

          その名はカフカ Modulace 21

          その名はカフカ Modulace 20 2014年11月リュブリャーナ  ただ待つ、というのは辛いものだな、という台詞を頭の中で何度か繰り返し、スラーフコはハンドル越しにメーターパネルに表示されている時刻を確かめたが、まだマーヤが車を離れて五分くらいしか経っていなかった。  この日のためにマーヤとスラーフコはヴクの同僚の仲介で中古車を手に入れ、リュブリャーナまでやって来た。目的が目的だけに、スラーフコの仕事用の車は使う気にはなれなかったし、レンタカーも足が付きそうだとマー

          その名はカフカ Modulace 21