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お酒がおいしいところは水もおいしい!<若水、寒の水とちょこっと発酵>

明けましておめでとうございます。
平素より株式会社TAMURAをご愛顧いただきありがとうございます。

1月1日に発生した石川県能登地方で発生した地震で被害にあわれたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。
また亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族様にはお悔やみ申し上げます。

TAMURAの「irie」のお米は能登のお米です。このお米を作ってくださっている川原農産さんが今回の地震で被災しました。ご自宅が全壊とのことで、被害の大きさを改めて思い知りました。

地震直後すぐに連絡しましたが、数時間後に普段はとても明るい川原さんから「ダメっぽいです」とのご返信を受け、あぁかなり大変な状況なのだとわかりました。

ちょうど昨年の10月に能登の川原さんの田んぼを訪れたばかりでしたので、脳裏には日本の懐かしい風景がたくさん残る、風光明媚で美しい能登が蘇りました。

あの景色が今しばらく見られないのは悲しいことで、一日も早く川原さんはじめ能登のみなさんの生活が戻られることを心より祈っております。



石川、富山は共に水がとても良いところです。日本酒もおのずとおいしいものが多くなります。

石川のお酒で有名所は「天狗舞」、個人的に好きなのは「手取川」。
富山もいいお酒そろってますよね。「勝駒」にはドはまりしていた時期があります。

ところでご存じですか?
もともと良い水が、さらにそのレベルを上げる時期があります。

それが1月。


「元旦=若水(わかみず)」

昔の人は元旦の最初の水汲みをとても大事にしていました。
この習慣は日本各地にあったそうです。

元旦未明に、春の初水(はつみず)汲みに行くのですが、この水を「若水」と呼んだそうです。

万葉集には「変若水」と書いて「おちみず」と読ませる例もあるそうで、「おち」というのは若返りを言う言葉だそうです。


できるだけ遠くに汲みに行くことが吉とされ、水を汲みに行く途中で人と会っても話をするのは厳禁。
汲んで持ち帰った若水は、年神様にお供えしたり、お餅を作ることに使った。
若水迎えは水、餅、これに伴う信仰であり、若水は一年の邪気を払うことができると信じられていた。


若水が大切にされていたのは、”水、餅、これに伴う信仰” とあるところから、水は水神、餅は穀物の神様かあるいは御饌(みけ)の神様の置き換えなのでしょう。

できるだけ遠くに初水を汲みに行くのは、おそらく「客人(まろうど)」信仰に近いのかなと思います。

客人信仰とは、めったに来ることのない客人を神様のように尊く招き入れ、手厚くもてなすことです。遠くからであればあるほど、客人は貴重で神様に近い存在となるのですが、根底には黄泉の国=この世のものではないという考えがあるのかもしれませんね。

若水迎えは水という神様をお迎えする作法に通じるものであることがうかがいしれます。


「旧正月=寒の水(かんのみず)」

二十四節季の小寒から大寒の間に汲む水を「寒の水」と呼びます。

新暦の現代ですと1月5日から21日頃の水となります。
この水はもちろん湧水や井戸水のこと。

一年で最も寒いこの時期の水は、雑菌や不純物が少ないため腐りにくいといわれており、京都のおばあちゃんに昔聞いたときは、かき餅は寒の水で仕込むのが当たり前だったそうです。

さらに火事除けのおまじないにも使われており、地域によっては「大寒の丑の日の朝に汲んだ寒の水を保管しておくと、1年火事から守られる」との言い伝えがあるところも。

寒さが一番厳しい季節なので、空気中にも雑菌が少なく、寒の水の時期は食べ物や飲み物の仕込みにはもってこいで、いまでも日本酒はこの時期が仕込み頃です。

日本酒は発酵ものなので、発酵が緩やかに進むこの寒い時期に、ということもあるようです。早く発酵してお酒になってしまうと味に含みが薄くなってしまいますから。

お酒つくりに適しているのは軟水。硬水は雑菌が繁殖しにくいけれど、それだと発酵にも向かなくなってしまいます。

軟水でかつ雑菌が繁殖しにくく発酵に適する水・・・となるとこの寒い時期の寒の軟水が一番となるわけです。

発酵は適度な湿度も必要になるので「にほん」という土地が持つ風土と豊かな水が発酵文化の土台と特色を支えているということになります。

中臣寿詞(なかとみよごと)という祝詞には、

『水は神々の世界から齎(もたら)されるものだ』

と伝えているそうで、心身の活力を漲らせてくれる真の水は本当に貴重です。

元旦から水を神様やご先祖様にお供えする日本(にほん)の心は古来からの習わしからきています。ここには後世に伝えていきたい水に対する想いがたくさん詰まってます。

日本(にほん)には残しておきたい尊い日常がたくさんありますね。


今回は発酵も絡めながら、1月の水について書いてみました。


この写真は昨年10月に能登に行く飛行機から見えた富士山です。神々しいくらいきれいでした。





          





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