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開発者からの便り③~コーヒーの科学②~

ディレカの開発者である田村喜久雄が生前、HPに掲載していたコラムを
noteにて再掲いたします。

科学を知ればコーヒーが変わる!
第二弾:「ゲノム解析とおいしさを科学する」
~田村喜久雄のコーヒー愛が止まらない!~

(2020年6月HP掲載)

コーヒーノキ属の代表種。
①アラビカ種、アラビカ種はエチオピア高原が原産です。
②カネフォーラ種と「ロブスタ」種は同じ種です、ベトナム、インド、ブラジルの一部などが原産地です。
③リベリカ種、西アフリカが主な原産地です。
この3種がコーヒーの三原種と呼ばれています。

2014年9月にフランスとアメリカを中心とする国際的な研究プロジェクトがScience誌に一報の論文を発表しました。
コーヒーノキのゲノム解読が完了したのです。解祈に用いられたのはアラビカ種でなく、カネフォーラ種「ロブスタ」でした。アラビカ種のゲノム解読も現在進められています。

解読チームはさっそくコーヒーゲノムからカフェインの合成に関わる候補遺伝子を全てピックアップし、チャやカカオと比べた結果、コーヒーの遺伝子群だけが他の埴物との大きな違いがあることを突き止めました。これはコーヒーが進化する過程で、カフェイン合成能を独自に獲得したことを意味します。

植物にとってカフェインを作ることが、一種の「収斂進化」である可能性が示されたのです。アラビカに遺伝子導入すれば、新しい耐病品種が作出できると期待されます。ゲノム解読によって、コーヒーの植物学的研究は新たな局面を迎えたといえるでしょう。
 
「おいしい・まずい」はコーヒーだけではなく、全ての食べ物、飲み物に共通する概念です。我々が感じる「おいしさ」の中心になるのは「味」であり、それを感じるために備わっている専門の感覚が「味覚」です。ヒトが感じる味には、甘味、苦味、酸味、塩味(鹹味)うま味の種類の「基本味」があり、このうち、ヒトは甘味やうま味を「好ましい味」と認識します。

味覚は自然界に存在するさまざまなものの中から、何を食べて何を食べないかを上手に選択できるよう進化してきた感覚だと考えられています。また総合的な「おいしさ」には、味以外の要素も重要です。特に味、香り、テクスチャー(食感、ロ触り)は「おいしさの三要素」と呼ばれ、これら3つが合わさった「風味」が「おいしさ」の中核を担っています。

「コーヒーのおいしさ」日本で用いられる「コーヒーの味ことば」認知度の順に並べると、焙煎した/香ばしい香り、まろやか/すっきりした苦味、コクなどが上位にランクインします。味の複雑さから生れる「コク」や「マイルド」「芳醇」「まろやか」など全体的な印象を表す表現は非常に豊富です。

「コーヒーのおいしさ」とは「香ばしさと苦味を中心に酸味とその他のさまざまな要素か渾然一体となって生まれる複雑なおいしさ」だと言えるでしょう。美味しい水で淹れた美味しいコーヒーを飲んで多くの人々に愛され、そして多くの人々の幸せづくりに貢献できますよう。

・・・其れではまた次回!

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