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小児科医と24時間365日テキストメッセージでつながれる医療サービス "Summer Health" のシリーズA資金調達!【4/23発表: 米国デジタルヘルスニュース】

今回ご紹介する米国スタートアップであるSummer Healthは、2022年設立のまだ若いスタートアップです。24時間365日、テキストメッセージで相談・診察を受けることができる小児科領域のテレヘルスサービスを提供しています。通常の小児科の診療時間外でも利用できます。

一般的な風邪症状の診察に加えて、子どもの発達の相談、トイレトレーニング(トイトレ)、ねんねトレーニング(ネントレ)、授乳・離乳食・幼児食といった食事の相談、など幅広い相談・受診が可能です。

Summer Healthは、既存の小児科医の補佐的な位置づけというよりも、何かあったらまず相談する小児科のかかりつけ医というポジションを謳っており、アクセスのし易さを遠隔診療で実現させました。

同社ウェブサイトのトップ画面

保険を介して利用することもできますが、ご自身が加入している保険のカバー範囲外であっても月額わずか45ドルで誰でも利用可能です。この45ドルで子ども全員分がカバーされます。つまり、子ども当たりではなく家族当たりでのサブスク金額になっており、子どもが多いご家庭でも金銭的に優しい設計になっています。

今回の資金調達はシリーズAラウンドでの$11.65Mの資金調達になりました。シードラウンドから投資家でリードを務めた著名VCのSequoia Capitalも今回ラウンドに参加しております。その他のシードラウンドの投資家も多くフォローオン投資をしていることは良いシグナルだと思います。

また、同社の投資家の全員が子どもを持つ親であり、そして全員が同社サービスを積極的に利用している、とのことです。実際に自分たちがユーザーとして使ってみて惚れ込んで投資を決める、という流れは理想的なように思います。

なお、同社のCEOのEllenさんも3人の子どもの母親です。実体験として小児科を利用したいときに、すぐにかかることができないもどかしさを抱えていたようです。そんな彼女は2022年の創業前は、旧ツイッターやHimsというExitを果たした急成長中のテレヘルスサービススタートアップ企業で務めていたり、投資家でもあるSequoia Capitalで勤務していたこともあり経験豊富です。そして、ハーバード大のMBA(経営学修士)も卒業しているそんな彼女を中心に、同社はたった2年弱でシリーズAの資金調達も完了させて大きく成長している真っただ中におります。

About "Summer Health"

:米国
創立年:2022年
資金調達ラウンド:シリーズA
主な投資家:Sequoia Capital, 7wire Ventures, Leaps by Bayer (バイエル薬品のCVC)
総調達金額:約 $20M
サービス:小児科領域のテレヘルスサービス
事業モデル
       - D2C: 月額45ドル(別金額で提供される別メニューもあり)のサブスク
       - B2B2C: Employer (雇用主)を介して患者さんに届けるモデル
事業の現在地:2022年7月にサービス販売開始をしてから現在に至るまで数千人の保護者が利用をしており、合計で30,000回以上の利用がある。

米国における小児科領域の課題

米国では、小児医療を取り巻く厳しい現状が浮き彫りになっています。

医師不足: 米国は2036年までに最大で 86,000 人の医師不足を予測しており、小児科医の不足も例外ではないという予測がされています。

夜間や休日の診療体制の不備: 親は平均して、子供の予期せぬ病気やケガの対応のために 1日3時間以上 を費やしているという報告があります。しかし、夜間や休日の診療体制が不十分で医療提供者が減少している現状では、そのような不測の事態に十分医療機関側で対処できないことが多いそうです。

高額な緊急外来への負担: 多くの親は、夜間や休日において、小児科医に診てもらうことができないため救急外来に行くことになります。しかし、緊急外来では何時間も待たされるだけでなく、多額の自己負担費用がかかってしまいます。

親の負担と生産性の低下: 特に仕事を持つ親にとって、0歳から5歳までの子供は平均して 年間8~12回 の病気にかかります。その度に仕事が中断してしまうと、年間で 1週間以上 も仕事ができない時間が追加で発生してしまいます。

地域や所得差による小児医療へのアクセスの悪さ: 米国の33%もの子どもが小児医療が(ほとんど)提供されていない地域に住んでいるか、親の所得が低いために小児科にいつでもかかれる訳ではないという状況に置かれています。


サービス概要

同社は、24時間365日、テキストメッセージを通じて小児医療を提供する便利なサービスです。発熱や発疹などの子どもの健康に関するどんな些細な心配でも、15分以内に小児科医に相談できます。

また、相談後にすぐ処方箋を近所の薬局に送ってもらい医薬品を入手することも可能です。同社に所属するかかりつけ医の診察後に専門家への紹介が必要だと判断した場合は、同じく同社に所属する栄養、授乳、睡眠などの専門家をすぐ紹介してもらうことが可能です。通常、紹介先の専門医・ケアチームにかかるまでに数週間かかることもありますが、同社サービスは幅広い小児科の専門家が集まっているのでその問題はありません。

テキストベースで小児科医にすぐ相談ができる
リストから小児科医や小児にまつわる専門家を選んでチャット相談・診察ができる。

現在のところ、最も多い保護者からの相談・診察内容は以下の通りです。

  • 授乳や幼児食の導入など、栄養に関する質問

  • 結膜炎や発疹に関する診察

  • アレルギーや食物関連の過敏症についての相談

  • ねんねトレーニング(ネントレ)の相談

なお、テキストベースの診察・相談機能に加えて、アプリ上で、子どもの発達段階に関する情報、推奨される定期検診の日程、お子様・保護者のニーズに合わせた個別化された情報、すべての診察記録 (ご家族全員の記録をまとめて確認できます)の確認ができるなど、便利な機能が備わっています。

テクノロジーを活用した効率化

技術面では、同社は生成系AI を活用して、医療従事者の管理業務の強化に取り組んでいます。同社は OpenAI と提携して、医師が作成した詳細な記録から GPT-4 を使用して自動的に診察記録を生成する機能を開発しています。この記録は GPT-4 による自動作成後に小児科医によってすぐに確認され、その後、保護者とアプリ上で共有されます。

診察後、添付のように診察メモをアプリで共有してくれる。
恐らくこのテキストの下書きを生成系AIが書いているものと思われる。

強みと魅力

同社は、お子様の健康をサポートする様々な魅力と強みを備えています。

速やかで心強いサポート

  • 平均応答時間わずか2.2分:急を要する質問にも平均2.2分で回答します。自宅で病院に向かうために準備して家を出るまでの時間と同じくらいの短時間で回答があるため、比較的早くに安心感を得ることができます。

  • 84%の相談がテキストで解決:84%の子どもの健康に関する相談はテキストメッセージで解決できます。不要な通院を回避し、保護者の貴重な時間を節約することができます。

幅広い専門知識とサポート内容

  • 6つ以上の専門分野をカバー (今後も更に拡大予定):一般的な小児科診療に加えて、救急外来、睡眠指導、栄養指導、授乳相談、発達の相談など、さまざまな専門分野のサポートが受けられます。

  • プラットフォーム上で対応可能な疾患カバー範囲は82%:同社サービスは幅広い疾患に対応しており、バーチャル診療の能力向上に向けて日々進化し続けています。

同社ウェブサイトに記載されている、数字で見る同社の魅力について①
同社ウェブサイトに記載されている、数字で見る同社の魅力について②

最後に

同社は、お子様の健康に関する悩みを気軽に相談でき、迅速な対応で安心感を与えてくれるサービスです。また、不要な通院を減らすことで保護者様の負担を軽減し、働く保護者にとっては仕事の生産性を向上させることもできる点は、保護者だけではなく雇用主にとっても大きな利点になるのではないでしょうか。

おしまい。

※このブログ記事は、個人的な趣味で書いているものであり、あくまでも情報シェアのみを目的としています。

参考記事

https://www.hims.com/

参考;前回記事


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