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アーティスト#2 宇多田ヒカル


地に足のついた夢想家

初めて聞いたのは小学生のとき。サッカーの試合帰りに友達のお父さんが運転する車で「Flavor of Love」が流れて、イントロで、「うお、なんだこれは」と衝撃を受けた。
ただ、そのあとCDを買ったりリピートして聴く機会もなく、改めて引き込まれたのは「初恋」だったと思う。
「将来、国家公務員だなんて言うな 夢がないなあ」
「みんなの願いは同時には叶わない」
など、彼女の歌声は優しく澄み切っているけれど、メッセージはしっかりと現実を受け止めている。綺麗ごとの言葉で飾られていないからこそ刺さるし、安心して夢を見ることができる。辛い現実のなかでも、想像力次第で美しく強く生きていけるのだという彼女の歌は、エヴァンゲリオンの主題歌にぴったりだなと思ったし、個人的に宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも通じるものを感じる。
今回も、おすすめの3曲を紹介する。

1. 真夏の通り雨

蝉が鳴いて、ヒマワリが揺れて、海が見えてきて…。夏のノスタルジーの「イデア」がゲーム「ぼくのなつやすみ」だとしたら、この曲がその対義語になる「現実の解」だと思う。
「海街 diary」も僕のなかではイデア寄りで、この曲の世界観はすごく手の届くところにある懐かしさなんだと感じる。

2. Good Night

これは「ペンギンハイウェイ」とセットだと思う。
この作品しかり、ジブリしかり、ひと夏の冒険という単語に弱いので、子供心をいつまでも忘れたくないときに聴きたい。
全然関係ないが、小学生のころは「ズッコケ三人組」がすごく好きだった。読んでた当時は、こんな体験がしたいなあと焦りもあったが、いま思い返すと夢見がちな性格になれたのはこの本のおかげもあったのではと思う。

3. One Last Kiss

映画館でこの曲が流れてきたときの、なんとも言えない気持ちが蘇る。
漫画は全部読んだし、アスカの悲惨な結末ではトラウマにもなりかけたし、カヲル君のTシャツもなぜか持ってるし、思春期がエヴァと重なっていてよかったなあと思う。
ハッピーエンドで良かったなという気持ちと、こんなに気持ちよく終わっていいのかという困惑と、けどとうとう解放されたなという安心感が強かったかな。
あと、Aメロのルーブルのくだりの歌詞はどこで思いついたんだろうかといつも不思議に思っている。


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