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初めて未就学児童へ運動指導しました!

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

先日、とあるこども園へ運動指導に行ってきました。
未就学児に対する運動指導は、
僕にとっては初めての経験。

指導対象が変わると、
指導方法も変わります。

なかなか難しいですよね。

未就学児への指導を通して、
気づいたことを書いていきたいと思います。

指導対象は”レディネス”がない状態

指導対象が運動学習を行う準備ができている状態を、
”レディネスがある”と言います。

今回の対象は、未就学児(年長)。
”レディネス”が十分にあるとは言えません。

<肉体面>
・骨格が未成熟
・筋力が未成熟
⇨これから成長していく段階

<精神面>
・指示の理解が限定的
⇨これから学習していく段階
・集中の持続が限定的
⇨集中できるのは年齢+1分程度

など。
これは当たり前のことですよね。
肉体的にも精神的にも、
これから発達していく世代です。

従って、未就学児に運動指導する人間が気をつけることは、
・課題の設定
・環境の構築

この2点になります。

少しだけチャレンジングな課題設定

未就学児が対象なのに、
大人と同じような課題を
提示するのはおかしいですよね。

未就学児の身体能力を考慮して、
それに見合った課題を設定。
そこには”達成したい目標”があります。
目標達成のためにエクササイズを考えます。

未就学児の場合だと、
対成人のような”ゴリゴリ”のトレーニングとはいきません。
”楽しい!”と思えるような課題が必須。
楽しいという感情が、
”内発的な動機づけ”につながり、
運動学習の継続につながります。

対象を想定して、エクササイズはチョイスしたつもり。
・目標達成のために、トレーニング要素は意識。
・内発的動機づけのために、楽しさも意識。

この辺の設定づくり。
僕にはあまり経験がありません。。。
僕の場合、指導対象の多くが高校生以上。
ほとんど成人です。
未就学児指導の現場経験が圧倒的に少ない。
未就学児に対してのプログラム設定は、
”さじ加減”が正直、いまいちわかりません。。。、
ここは探り探りでしたね。。。

運動学習参加が促される環境づくり

実施したい課題を、
安全にかつ効率よく行うためには、
環境をセッティングすることも重要です。

今回は、
・子供達がわかりやすいように外的集中を活用。
・安全面を考慮し怪我のリスクを軽減。

の2点は特に考えました。

この辺は幼稚園なので、
いろいろな機材をお持ち。
・ソフト平均台
・スポンジブロック
・ディスクコーン
・ゴム紐
・スポンジボール
など、ぶつかったり、踏んだりしても、
怪我の発生率が低いものばかり。

これらを目標物にして、
・飛び越えよう!
・すり抜けよう!
・当ててみよう!

といった感じで設定。
言葉で説明ではなく、
デモンストレーション(視覚)で説明します。
このほうが、理解もスムーズだし、
子供たちも目標物を基準に動作をしやすいはずです。

あとは、人員配置。
年長クラス担任の先生や補助職員の方が
サポートしてくれたので、
指導者1名に対して園児が5名前後の割合。
これも進行する上でとても助かりました。


実際に実施した課題

一応、どんな内容を行ったのか、
概要だけですが、お伝えしたいと思います。
今回の指導では、
コオーディネーションの7つの能力
のうち、主に、
・バランス
・リズム
・連結(四肢の連動)
・分化(力の調整)

の4つの能力を意識して、
運動を実施してみました。

①アニマルムーブ
動物の動きを真似して移動してみる。
主に、バランス(体幹保持)と連結能力を意識してます。

②障害物(ゴム紐)連続ジャンプ
ゴム紐をはり障害物とし、
課題のジャンプ動作を一定のリズムで行います。
内在するリズムを意識してます。

③ボール渡しリレー
いろんな姿勢・動きでボールを後ろの人に渡して行きます。
手渡ししたり、距離をとって転がしたり。
バランスと力の調整を意識してます。

④転がしドッジボール
レクレーション要素が一番強いもの。
とにかく楽しく。
反応の能力が求めらますが、
コオーディネーションがどうというよりも、
ピークエンドの法則を意識しました。
とにかく楽しい!と感じてもらい、
運動が楽しいものだったと印象付けたかったので。

幼少期の運動習慣は重要

対象は、年長クラスの児童。
1クラス30名弱。
訪問したこども園は、学年2クラス。
30〜40分程度を2セッション実施でした。

訪問したこども園の園長先生が、
体育教諭のバックグランドある方。
「子どもたちの能力を伸ばすためにも、
 常々、子どもたちに協調関係をさせたい!」
という考えをお持ちの方。
今年は、縄跳びを中心に、
ご自身で園児たちに指導もされていたそうです。

たまたま、僕たちが
”ライプチヒ・コオーディネーショントレーニング”
を学んできたことを知っていただき、
今回の運動指導のお話に至りました。

コオーディネーショントレーニングにおいては、
”トレーニングの感受期”
ということが定義さえれています。

それによると、概ね、
5〜11歳くらいの期間
が、協調運動が伸びる期間となっています。

この辺は、他の研究結果などともリンクします。
有名なところで、スキャモンの発育曲線。
これによると、
5歳までに神経系の80%が成長し、
12歳までに神経系の発達は100%に達する

とされています。

幼稚園〜小学校の期間に
さまざまな身体活動を行うと、
受容器が鋭敏になり、
脳と体の情報交換が活発になります。
これは、その後の発育・発達。
スポーツ活動だけでなく、
勉強においてもプラスの影響が
出るのは間違いありません。

また、難易度を調整し、
少しチャレンジングな課題に取り組んだ時に、
困難を乗り越えて、成功したことが、
成功体験、達成感を得ることになり、
自己肯定感を高めることも期待できます。

協調運動を子どもたちに実践している
園長先生のような方が増えると、
僕としてはとても嬉しいです。

まとめ

初めての未就学児への指導。
正直、高校生に指導するときよりも疲れました。。。
課題と環境、それぞれの設定で、
いつもと勝手が違うので、
いろいろと気を遣いました。。。

今回の参加者たちは、
園長先生や担任の先生の普段も指導もあり、
結構、運動ができるメンバーだった印象。
課題に普通に取り組んでくれて、
多少の個人差はありましたが、
多くのメンバーが僕の予想よりも
上手に身体を動かしてくれていました。

幼稚園の取り組みなど、
それぞれの背景から
多少のバラツキはあると思いますが、
未就学児の実際の動作や、
リアクションを見ることが
できたのが大きな収穫。

今後の未就学児への運動指導に
フィードバックしていきます。

今回は、スポット的な運動指導の場。
もし、指導回数(接触頻度)が増えていけば
漸進的に運動学習の内容を変えていけるので、
より子供の能力を伸ばすサポートができるかなということを
再確認することができたのもよかった。

理論と実践。
フィールドワークの
重要性
を感じた場面です。

そして、最後に子供たちから
「楽しかった」
「もっとやりたかった」
という言葉が出て一安心。
この”楽しい”という感情が、
子供達が”自発的に運動に取り組む動機”
になってくれることを望みます。


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