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中之島美術館へ、福田平八郎展

今年、雑誌「日経おとなのOFF2024年絶対見逃せない美術展」を買った。
今まで、ネットで情報を集めていたが、
紙の情報でゆったりと自分と美術との「間」を楽しむことにした。

専門家でも何でもないし、大した画家の名前も知らない。
けれど、Don’t  think, feel! 超有名な言葉通り、
何となく、惹かれるものを大切にしたと思っている。
音声ナビも一度利用してやめた。
いかにも先入観になりそうな知識を頭に詰め込んでも私には意味がない。
この世で、いかに感性を磨くことが出来るか!それが生きる課題であるし、
どんなことでも何回でも何度でも経験すれば、何となくわかってくるはずだ。
だから、たくさん、本物を見たい! 言葉じゃない世界に言葉は要らない。
見倒して、見倒して、自分の肌で感じ取るまでになれたら。。いいわ〜。

今年は、モネの当たり年らしく、どこでもモネ、モネ、モネ
一般的な感性なのか、実際、自分もモネが一番好きな画家だ。
モネの絵は、素直に鑑賞出来る。悲しみを感じない。幸せの色づかいは、優しい。
彼の絵で、緑色をすぐに思い浮かべるのは、日傘の女の絵が好きだからかもしれない。何よりも、モデルとなった女性とモネの愛情溢れる関係性に心が和む。

もしも。。妄想は自由。自分がそのモデルのような立場でいたら、
と、ひとときの淡い夢が見れる。うたかた(泡沫)うつつ(現)
うつつ(現実)にうつつ(現)を抜かすって最高! 
夢見る夢子の願いを叶えてくれる鑑賞の仕方だ。何でもありちゃう?

しかし、今回、16日の土曜日に中之島美術館で、選んだのはモネ展ではなく、福田平八郎展の方だった。チケットは、平八郎展が1800円、モネが2300円、両方鑑賞する場合は、100円ほど値引きになる。う〜ん、100円か。。と思ったのが正直な感想。ならば、平八郎の絵をじっくりと見てみよう。モネはモネ。
どこにいようと、私にとってのモネなんだ。

滅多に見れないチャンスとあって、外国人も多かったし、へえ〜そんなに有名なの?と思うほど入場者が多かった。「平八郎」と言うサイン文字は、丸みを帯びていて、それが彼の人柄か。とっつきにくいタイプでもない気がした。
絵を見て、絵だけを感じるわけでもない。その向こう側に感じるものがあるから、
好きになり、ファンになるんだ。

平八郎は、魚釣りという趣味もあってか、生涯を通じて、水に興味を抱き、描き続けた人だと説明パネルがあったが、とにかく、驚いたのは、水の表現の仕方。
わけもわからない日本画だけど、感じてしまった。凄い!
こんなタッチは見たことなかった。 写実主義らしいが、まるで水だ。

絵に描いた水ではなくだ。Water!
水ほど、形がひとときも同じものはなく、絶えず形を変えている。
だからこそ、平八郎の興味は尽きなかったようだが、
池の鯉の描き方に驚き、まじまじと見た。水がそこにある!
主役は鯉だろうけど、水だ!水に惹きつけられる。そこに池が、水がある!

そして、彼が魚釣りで感じた水の動きを描ききった作品で立ち止まった。 

漣(さざなみ)〜Ripples 

事前にパンフレットや写真を見てても、伝わってこなかったものが、
本物を目の当たりにして、何もかも変えていく。体験するって、こういうことなんだよな〜。一見、単なるキーボードの「〜」がいっぱいあるだけのものに見えるが、時間が経つにつれて、その中にどっぷり入ったような感覚になり、もっと、もっとその中に入っていきたくなる。麻痺したかのように、ずっと私の体も漣の中で、同じリズムで漂ってる気になった。
何となく、外国のバカンスも想像した。人々がゆっくりと、凪の海の中で漂ってる風景だ。それは、とても大きな大きな作品だった。

他にも有名な「白い雲と青い空」を描いた作品など、皆さん唸って鑑賞していた。それぞれに好みはあるだろう。だけど、私にとっては、
それは、何となく遠い日の自分に重ね合わせたところがあるのかもしれない。

ある日の生物の授業で、葉っぱを観察して書くことになった。
先生が評価してくれたのは、たった私一人の葉っぱの観察図
他の皆の葉っぱは、「絵」だと言った。
ただ、綺麗に描く技術がなかった。そのまましか写せなかった。

もちろん、絵画になると、反対の結果になる。
皆と同じような筆使いで、葉っぱを描くことにすごく抵抗があった。
それは葉じゃない!と自分なりに筆使いを考えてみるが、葉っぱにはならない。
また、ある写生大会で、海を描いた。
うまく波を描きたかったが、その波を「〜」で描いたが、嵐の如く荒れた海になってしまった。15歳の私には、技術など無く、平八郎と同じように、そのまま描きたい感覚だけがあったかもしれない。(とても恐れ多いことを書いています)

帰りに漣のA4ファイルとポストカードと、漣と新雪のしおりを買った。
しおりの裏面には、最果タヒさんの言葉が載っていた。
いい言葉だったとしても、私には自分なりに感じる余白が欲しかった。
まあ、それにしても家に帰り、後から色々思うこともあるが、何故か、英語の出品作品リストを手にしたらしく、ここもアホやな〜と思いつつ、また眺めている。




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