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2023年11月27日、日本株式市況


日経400
日経平均

27日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反落し、大引けは前週末比177円86銭(0.53%)安の3万3447円67銭だった。最近の急速な相場上昇を受けて高値警戒感が強まり、目先の利益を確定する売りが優勢になった。前週末の米ダウ工業株30種平均の上昇を受けて朝方は買いが先行し、7月3日につけた年初来高値(3万3753円)を上回る場面もあった。

海外短期筋とみられる株価指数先物への買いが主導し、日経平均は高く始まった。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面が終了したとの観測が、引き続き株高要因となっている。ただ、前週末のハイテク株が中心のナスダック総合株価指数は小幅に下落したため、積極的な買いは続かなかった。

海外勢は11月第3週(13~17日)まで、日本の現物株と先物の合計で2週連続で1兆円を超える高水準の買い越しとなるなど、日本株への買い意欲は強い。だが、日経平均は11月に入って急ピッチの上昇が続き、前週末までに2700円あまり上げたため、一方的な上値追いへの警戒感も広がりやすかった。中国の景気減速への懸念などから27日の中国・上海などアジア株相場が下落したことも日本株売りを促した。

東証プライムの売買代金は概算で3兆1053億円、売買高は12億4822万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は973。値上がりは631、横ばいは55銘柄だった。


27日の国内債券市場で長期金利が横ばい圏に戻している。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末と同じ0.770%で推移している。日銀による国債買い入れオペ(公開市場操作)の減額観測や超長期債への売り圧力を受け、長期金利は一時0.780%まで上昇(債券価格は下落)した。だが、月末には機関投資家が保有する債券のデュレーション(元利金の平均回収期間)を延ばす目的で買いを入れるとの見方が根強く、長期債には次第に買いが増えた。

前週末の海外市場では欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測の後退でドイツや米国の国債相場が下落し、国内債には売りが先行。日銀が29日に実施する定例の国債買いオペを巡り、市場では「10月末の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の再修正後に購入額を据え置いていた年限を対象に購入を減らす可能性がある」(国内証券のストラテジスト)との見方もあり、持ち高調整売りを促した。

財務省は28日に40年債入札を実施する。最近の利回り低下を受け、買いを急ぐ投資家は少ないとして警戒感がくすぶっている。新発40年物国債利回りは前週末比0.030%高い1.935%、新発20年債利回りは同0.020%高い1.505%で推移するなど超長期債に売りが出たのも長期金利の上昇圧力となった。

中期債は小動きで、新発2年債利回りは同横ばいの0.060%、新発5年債利回りは同0.005%低い0.345%で推移している。債券先物相場は3営業日ぶりに反発し、中心限月の12月物は同4銭高の145円70銭で取引を終えた。



Commodity


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<3415> 東京ベース 297 +9
大幅反発。先週末に業績予想の下方修正を発表。24年1月期営業利益は従来予想の15億円から9億円に下方修正。中国現地法人の既存店舗の売り上げ回復が鈍く、下振れ要因となるもよう。中国での一部店舗の撤退などで減損損失も計上、最終利益は10億円から3億円に下方修正した。ただ、上半期までの進捗から下振れは想定線ともみられ、中国での店舗リストラなどもプラス視され、目先の悪材料出尽くし感が優勢に。

<8227> しまむら 16655 +750
大幅反発。先週末に11月の月次動向を発表している。既存店売上高は前年同月比4.3%増となり、3カ月振りのプラス転換となっている。客単価が同3.9%増となったほか、客数も同0.2%増とプラス転換。上旬、中旬は高温だったものの、下旬に入って気温が低下し、アウター衣料と実用品の初冬物や冬物が売上を伸ばしたもよう。なお上旬・中旬に関しても、70周年イベントを繰り返し集客の下支えになったようだ。

<6525> KOKUSAI 3380 +160
大幅反発。野村證券では投資判断を新規に「バイ」、目標株価を3840円としているメモリ売上構成比が高く、10-12月期以降にメモリ投資が緩やかに回復局面に入ることで恩恵が享受できるとしている。また、注力しているパワーデバイス向け装置を含め、強い中国需要も享受可能で、業績ダウンサイドも限定的とみているようだ。全体の半導体製造装置市場を上回るペースでの売上成長が可能と判断。

<4452> 花王 5675 +134
大幅続伸。SMBC日興証券では投資判断を「2」から「1」に、目標株価も6000円から7200円に引き上げた。トイレタリー・化粧品セクターの成長率期待が低下するなか、中国依存度の低さ、国内での競争優位性、値上げや構造改革といった自助努力による増益確度の高さなどから、同社の相対評価は向上していくと分析。今後5年間のコア営業利益平均成長率は10.8%と予想、セクター内におけるトップピックと位置づけ。

<2317> システナ 305 +27
急伸。いちよし証券ではレーティングを「B」から「A」に変更し、フェアバリューも320円から380円に引き上げている。ソリューションデザイン事業の回復遅れなどから24年3月期利益予想を下方修正しているが、同事業の底打ち、その他の事業の想定以上に好調な推移などから、25年3月期以降の業績予想は上方修正している。来期、再来期と2ケタの営業増益を見込んでいるようだ。今期をボトムとした業績回復を評価。

<5210> 日山村硝 1510 +193
急騰。持分法適用関連会社であるアルガラス山村の全持分を、同関連会社に譲渡すると発表した。これまで出資比率69%、議決権比率50%であった。新型コロナの影響により生産立ち上げが遅れたことなどで同関連会社の業績は低迷、生産立ち上げ後も事業計画達成が困難な状態が続いており、今後の同社の負担軽減につながるとの見方が先行。なお、持分譲渡による特別利益で、今期最終損益は90億円から107億円に増額。

<5491> 日本金属 919 +95
急伸。固定資産の譲渡、並びに業績予想の修正を発表している。本社ビルを国内法人に12月に譲渡、譲渡益42億円が発生するもよう。資本効率の向上、財政基盤の強化及び成長投資資金の確保が譲渡の目的としている。24年8月には新本社に移転するようだ。これにより、24年3月期純損益は、従来見通しの15億円の赤字から一転、17億円の黒字見通しに引き上げている。資産リストラによる収益回復期待などが先行へ。

<4334> ユークス 765 -150
ストップ安比例配分。24年1月期の業績下方修正を発表。営業利益は従来予想の16.2億円から1.8億円にまで引き下げ。最終損益は11.9億円の黒字予想から一転、14.2億円の赤字となる見通し。不具合発生などにより、トレーディングカードゲーム「DCデュアルフォース」の売上が減少。特別損失として、資産計上していた開発費を減損処理する。業績下方修正に伴い、年間配当金も従来計画の42円から10円に減額。

<7550> ゼンショーHD 8338 -404
大幅続落。521万8000株の公募増資、並びに、78万2000株を上限とするオーバーアロットメントによる売出の実施を発表。同社の公募増資は2014年以来9年ぶりに。調達した資金は、具体的な案件は決まっていないものの、国内外のM&Aに充てる方針という。発行価格は12月5日から8日までの間に決定。増加株式数は発行済み株式数の約4%であり、希薄化や目先の需給への影響を懸念する動きが先行。

<4581> 大正薬HD 6545 +1000
ストップ高比例配分。MBOの実施を発表。オーナー家が代表を務める企業がTOBを実施、TOB価格は8620円で先週末終値を5割超上回る水準に。TOB価格へ完全サヤ寄せを目指す動きが先行している。TOB期間は27日から24年1月15日まで。買い付け総額は約7100億円となり、日本企業のMBOでは過去最大となるもよう。非上場化によってネット販売や海外事業を強化、経営を立て直していく方針のようだ。


・ファナック<6954>ロボ制御装置11年ぶり刷新、国際規格を世界初取得
・ソディック<6143>溶融せん断粘度測定装置を開発、射出成形機に後付け
・日産自<7201>英で新たにEV2車種生産、投資積み増し5610億円
・みずほ<8411>中国で証券会社設立申請
・長瀬産業<8012>ブラジル精油加工社を買収、食品市場など開拓
・豊田通商<8015>使用済みアルミサッシの選別加工会社を設立
・ホンダ<7267>米に電池セル研究拠点、オハイオ州立大など協力
・トヨタ紡織<3116>新中計、30年度営業益1500億円
・シチズン<7762>グループ会社、レシートプリンター8年ぶり刷新、印字速度1.7倍
・メルカリ<4385>“新作ゼロ”のファッションショー、持続可能な消費啓発
・日本製鉄<5401>茨城に試験電炉、水素還元製鉄、早期に
・岩谷産業<8088>純水素型燃料電池を導入、中研のCO2を40%減
・ENEOS<5020>森林由来クレジット推進、北海道森町と連携


MSCIは14日、MSCI・ACWI指数の組入銘柄の入れ替えに伴い、46銘柄を追加し、69銘柄を除外すると発表した。11月30日の取引終了時点で実施する。MSCI・ACWI指数は、MSCI世界指数とMSCI新興市場指数を合わせた先進国および新興国・地域の中・大型株で構成する。

  日本株では、サイバーエージェントとGMOペイメントゲートウェイ、博報堂DYホールディングス、京王電鉄、小林製薬、栗田工業、LIXIL、日本ガイシ、パーソルホールディングス、ウエルシアホールディングスが指数から外れる。



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