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「考えすぎ」の活かし方

私は、ものごとを考えすぎてしまう性格です。この性格によって悩むことも多いため、「考えすぎてしまうのは、自分の弱点だなあ…」と思ってきました。

でも、仕事をするようになってから、「考えすぎることは、決して悪いことではない」と感じることが増えました。

「考えすぎ」な性格を、自分をくるしくさせるのではなく、ものごとをよくするために使えたら。弱点ではなく、長所だと思えるようになるのではないでしょうか。

「せっかく持った特性なのだから、弱点として捉えるのではなく、何かのために活かしたい!」

今回は、「考えすぎ」をいい方向に使うため方法を、自分なりにまとめてみました。


①書いて整理する

私は、放っておくと常に考えごとをしてしまいます。それだけならいいのですが、つい頭のなかがごちゃごちゃになり、「うわあああ」と混乱しがちです。よくない…。

そんな癖を自覚してからは、「考えたことを、書いて整理する」ようにしました。思考を書き出すことで、「今考えるべきこと」「今じゃなくていいこと」が整理され、頭のなかがすっきりするからです。

思考の整理にはいろいろな方法があると思いますが、私がメモとしてよく使うのは、Mac搭載のメモ機能。「タスク」「アイデア」「記事のネタ」「雑考」などでページ分けをして、思考をぶわーっと書き出します。

複数の案件が立て込んでいるときは、タスクを文字で視覚化しておくことで、「今どこまで終わって、あと何が残っているか」がわかるので、わたわたせずに済みます。解決したらチェックして消していくのも、「終わったー!」という達成感があって気持ちがいいです。

ちょっとしたアイデアも、思いついた段階でなるべくメモするようにしています。忘れないようにするためなのはもちろんですが、「いいアイデアを思いついた!」とそのまま頭のなかにとどめておくと、頭の容量を圧迫し、他のことを考える余裕がなくなってしまいます。メモして思考を頭の外に出すと、その分余白が生まれます。そうすることで、アイデアの芽を枯らすことなく、あとでゆっくり育てることができます。

(ちなみに、頑張った金曜日の夜に、「お前は頑張った」とメモを残しておくと、月曜出社した際に「先週の自分は頑張ったんだな…」と思えるので、おすすめです)


②活かせることを見つける

これまで、考えすぎてしまう自分の性格を変えなければ…と思うこともたくさんありましたが、働くなかで、その特性が活かせるのではと感じる場面もたくさんありました。

とくに、今携わっている、制作の「企画・戦略フェーズ」。クライアントらしさを表現するために、独自の「価値」を見つけて言語化し、制作コンセプトを立案する作業です。
この過程では、文章力だけでなく、マーケティング思考力や市場理解力が求められます。つまり「広く、深く、多視点で」考える力です。もう既に考えられていること以上のことを、考える必要があります。「考えすぎ」が、プラスに活かせるのです。

このフェーズに関わるようになってから、マーケティング思考を積極的に取り入れるようになりました。最初から「マーケティングするぜ!」と思っていたわけではありませんが、クライアントらしさを十分表現するために、何を考えてどう整理すればいいか試行錯誤した結果、マーケティング思考の重要性に気がついたからです。

マーケティングには「3C分析」や「SWOT分析」など、いくつもの思考の「フレームワーク」があります。それらをもとに考えることで、クライアントの強みを見つけ出し、伝え方の切り口を見つけやすくなります。思考を枠に当てはめることで逆に狭めてしまうのでは、という考えもあるかもしれませんが、「枠」があるからこそ、意図的に思考を広げたり、視点をずらしたりといったことが可能になります。

フレームワークについては、株式会社ベイジさんの以下の記事がとてもわかりやすいです。

これらの思考法を適宜組み合わせながら方向性を整理することで、制作の段階では、もっと頭をやわらかくし、表現の工夫をすることに時間を割くことができます。

「マーケティングって、横文字だしビジネス感強いし、ちょっとこわいしなあ…」と思っていた時期もありましたが、「相手のことを多方面から知って、最適な施策を見つける」ための方法だと思うと、次第に楽しくなってきました。「考えすぎ」てしまう人にとって、いろいろな切り口から考えることが求められるマーケティングは、特性を活かせる領域なのかもしれません。


③話す時間をつくる

一人で考えていると、自分の思考の癖から抜け出せず、ドツボにはまってしまうことがあります。だからこそ、自分の考えを誰かに話すことがとても大切です。

とはいえ私は、自ら自分の考えを誰かに話すのが得意ではありません。でもエルには、メンバーに「自分の考えを話す」時間がたくさんあります。一日一力や週末雑談会、案件中のチームミーティングなど、考えを共有する時間が、習慣的にたくさん用意されています。自分から話そうとするのはハードルが高い自分にとっては、とてもありがたい…。「今は話していい時間」と思えるだけで、だいぶ話しやすくなります。

メンバーに自分の考えを話そうとすると、「今自分が何を考えているのか」「どうすればそれが相手に伝わるか」を考えることになるため、思考の整理につながります。メンバーからの意見ももらえるので、「なるほど、そういう考えもあるのか」「この切り口だけに絞らなくていいんだな」と、視野も広がります。

ちょっとした不安も、早めに話すのが得策です。「この表現であっているかな?」「案件の進め方は合っているかな?」といった悩みは、一人で考えていても解決しません。また、自分ひとりで深刻に考えていた悩みが、話すと意外と小さく思えることもあります。

考えすぎるとつい、「こんなことを話していいのか…」と不安になってしまうので、習慣的に話せる時間があることや、「話してみよう」と思える人がそばにいること、そして、実際に話してみることが、とても大切な気がします。


④考えない時間をつくる

最近、いいアイデアや解決策を考えるためには、「考えない時間」が必要なのではないかと気がつきました。

絶えず考えてひいひいしているときよりむしろ、たくさん寝た日曜の翌日や、頭を空っぽにしてコメディ映画を見たあとの方が、気持ちよく、落ち着いて考えることができるな…と。

そうはいってもつい考えてしまうなあ、と思ったので、意図的に「考えない時間」をつくることにしました。会社の帰り道は、「考えるモード」をオフにしてみることに。

その習慣を始めて気がついたのは、目に映ったものをありのままに捉える時間が増えた、ということ。寒い、あたたかい、月が眩しい、など…。「考えない」時間は、今感じたことを素直に受け入れられるのだと実感しました。

「考えない」時間をつくると、「考えたい」という前向きな思いが湧いてきます。考える時間の質をよくするためをつくるためには、「考えない時間」が必要なのだと思います。

(最寄り駅に着くまでには、「考えるモード」が復活してきます)


⑤「集中的に考える」時間をつくる

何も考えない時間をつくるのと並行して、「集中して考える」時間をつくることも意識するようにしました。

人間の集中力には限界があります。少し前までは、何かを生み出すときには「絶えず考えていなければならない…」と思っていたのですが、集中力30%の状態で5時間考えるのと、集中力120%の状態で30分考えるのとでは、後者のほうが圧倒的にいいアウトプットができることに気がつきました。

とくに昨年、キャッチコピーの勉強をしたときに痛感しました。一日中ずーっと考えていれば、いつかふっといい案が浮かぶのではないかと思っていたけれど、実際にかたちになったのは、「考えようとして考えたとき」に思いついたものだけでした。今はコピーを考えるとき、一日のなかで「超集中する時間」を意識的につくるようにしています。

コピーに限らずどんなクリエイティブでもそうですが、「この時間は、集中して考えることに使おう」と決めることで、いいアイデアが浮かびやすくなるのではないかと思います。


弱点を前向きに活かすと、長所になる

「弱点だと思っていたことが、見方を変えれば強みだった」

それはよく聞くことばですが、実際に見方を変えるのは、とても大変なことです。特性というのは癖のようなもの。意識しないとつい、弱点を弱点のままにしてしまいます。
でも、「弱点をうまく活かそう」と考えると、少しずつでも、いい方向に活かしていけるのではないかなと思います。

大切のは、自分の特性とどう付き合って、どんなかたちで活かせるかを見つけること。私は、「考えすぎてしまう」特性を、自分をくるしめたり不安にさせたりするためではなく、ものごとをいい方向にもっていくために使っていきたいです。

そして、メンバーそれぞれの特性も尊重していたいです。いろんな考えや感性を持った人が集まるから、一人では作れないものを作ることができます。

明日からも特性を活かし合いながら、みんなでいいものづくりができますように。



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