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テルマエ・ロマン

本当に常々思うことなのだが人間という生き物は何にせよ、ちょっと間を開ければすぐに衰えるからとても困る。

東京に来てからの日々はあまりにもあっという間で、やりたいと思っていたことのあれやこれやを全て棚に上げて生活に全力を注いでいるうちに秋になって冬が来そう。

運動もしなければ細々と綴っていた3年日記も3年目にして書き溜めない日がないくらい、間隙が生まれるようになってきた。

文字を書かなくなると如実に文章を紡ぐ能力がなくなってくる。あくせく働いて寝て起きて飯食って寝て終わる、どうにもならない日々の中で生まれるどうにもならない感情を、言語化しようにも今一つしっくりこない。

週末のルーティンだったジム通いは異動のドタバタによってしっかりと破綻したので体力的にも衰えている。走れない。泳げない。重りをもてない。
そんな具合で、時間と感情を浪費してカロリーは消費しない精神的に怠惰な日常を過ごしている。これを老いと呼ばずに何と言う。

元チャットモンチーの橋本絵莉子大先生が先日40歳の誕生日を迎えられたそうで、SNSに写真を載せていた。20代後半って言われてもギリいけそうな若々しい見た目に三度見した。音楽を生業とする人々が、総じて若々しいのはなぜなのか。
それはBUMPの藤原基央にしかり、スピッツの草野マサムネ、Mr.Childrenの桜井和寿、ELLEGARDENの細美武士、B'z、YUKI、椎名林檎と枚挙に暇がない。

10個も20個も30個も年が上なのに到底そうは思えない。何度でも言うがああいう歳の取り方をしたい。音楽をやっていると、自然とそうなっていくものなのか。
やっぱり楽器でもやろうかしら。
やるならピアノがいい。それかギター。

弾けたらいいだろうなと長年思いながらもやらないのは、なにかとその他の瑣末な諸々優先させてしまうせいだ。
それは大概仕事の資格試験だったり、日々の生活のことだったりする。
そうやって目先の予定を優先させたために棚に上げられたやりたいことの大半は、社会人になって数年経つ今も荷解きされることなく眠りっぱなしだ。今だったら中東情勢を知っておかないといけないと思うし、来年はアメリカの大統領選があるからアメリカ史紐解く文庫本にも手を伸ばしたい。散々仕事で使っている半導体についていまだによくわかってないし、なにより途中で止まりっぱなしのドラクエ10を起動させてレンダーシアを救わないといけない。

断続的にやってくる仕事のくだらない試験の類は、期日がある関係でどうしてもそちらが優先されてしまう。
試験が終わって落ち着いたとして、今度は新しく何かを始める気力がなく、慣れ親しんでいるがゆえに気合いなく取り掛かれる運動と読書から始めてしまう。
そして実状は、運動と読書をする時間があったらかさんだ睡眠負債を返済するのに使われている。眠いんだもん。しょうがない。

どうせ起きて飯食って寝て終了の日々ならさっさとあれこれ考える前に色んなことをやったらいいだろうに。そうしない自分の狭量さに気づいていながらそうしない。
逆に言えばそれだけ今は本読んで運動することが自分に必要だと本能的に感じてるのかもしれない。それならそれで、まあ、いい。新しく色々手をつける前に最低限その部分が確保できるように、日中を省エネで生きていければ今はそれでいいと思っている。


そうやって半ば無の境地で会社に出社したら、在籍する課の取り組みとして「朝の3分間雑談タイム」なるものが設けられると伝えられた。

進捗が思わしくなく、そのせいでモチベーションも下がっている現状を打破すべくまずは気分から上げて頑張ろう!!という意図らしい。
努力とか明るさとか強要されるの苦手なんだよな。
いい取り組みなんだろうけど。

個人的には雑談タイムより自由に使える時間が、1秒でも長くほしい。休みがほしい。温泉旅行でも行きたい。
熱海の温泉宿に大量の本を抱えて、湯船と活字の交代浴を延々としてたい。控えめに生姜が乗った小切の冷奴が食べたい。


「いい宿はやっぱ豆腐から全然違うんすよ!!」
って、若手社員が朝から旅館の豆腐について語り出したらちょっと面白くないか。それで課の雰囲気が良くなって進捗率が上がるなら、社会的に+じゃないか。そうに違いない。温泉に行きたい。温泉街のちょっと綺麗な宿で冷奴が食べたい。
間違いない。自分は温泉に行くべきだ。

願わくばテルマエ・ロマエみたくローマに転移して、そのままコロッセオでも観に行ければいいのに。

カエサルと同じ誕生日のよしみと夏の魔法とやらの力で。なるわけないか。


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