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5社複業で生むシナジー。テレビ局DXの可能性

株式会社DERTA(デルタ)は、地方企業や地域に根ざした課題を「デザイン」「デジタル」そして、起業家・クリエイターが所属する「共創コミュニティ」の力で解決する会社です。
2022年に設立したDERTAには、3度の起業を経験した代表の坂井をはじめ、PM・UXデザインやマーケティング・SNS戦略など、さまざまな専門領域を持つメンバーが在籍しています。

今回は、DERTA創業初期から企画・営業を担当する永井さんにインタビュー。

10年間、新潟のテレビ局で培った営業経験を強みに独立した永井さん。自身で代表を務めるMoAsobi(モアソビ)を経営しながら、複数社で働くパラレルワーカーです。DERTA参画後は、新潟県古町にある地下街「西堀ローサ」再興に向けた「古町夜市」を企画運営。営業力と人脈を武器に遊ぶように働く永井さんに、パラレルワーカーに至るまでのキャリアやDERTAの可能性について聞きました。

永井 大地
立命館大学文学部日本文学専攻出身。テレビ局にてCMや番組の営業、番組制作やイベント企画を経験。その後、新潟のインターネット広告会社を経て、独立。メディアプランニングを行うMoAsobi代表、株式会社BeGOAT プロデューサー、株式会社ネオプロジェクト メディア部部長、株式会社ノーティーワークス プロデューサーとして複業を実践。


野球漬けの学生時代

ーーー どのような学生時代を過ごされましたか。

小学生から中学生までは元気に野球ばかりしてました。そのくせ、そこそこ勉強もできた。体育祭は目立つリレーに出場したり生徒会に入ったりして。クラスの中心にいる、優等生タイプだったと思います。

ところが、受験で無理をして進学校である新潟南高校に進学。すると、校内のテストで正真正銘のワースト1位をとってしまいます。今まで勉強はできる方だったのでショックでしたが、潔く野球に打ち込みました。新潟南は、学区内の公立高校では唯一の甲子園出場校で過去にベスト8に輝いたこともある強豪校でした。そんな姿勢だったので、順当に浪人。

当時の新潟南高校は、だいたい4割は新潟大学へ、残り6割は東京の早慶・MARCHへ進学する割合でした。一浪した僕は、彼らの後輩になるのやだなという気持ちから知人がいないであろう京都にある立命館大学への進学を決めます。

高校教師として野球部のコーチになりたい思いから、大学生活は個別指導塾の先生のアルバイトに没頭しました。楽しかったですよ。関西の学生、特に小学生なんて、距離が近くて(笑)キックやパンチされながら仲良くなりましたね(笑)

小中高と幅広く担当しましたが、特に高校生を教えるのがやりがいでした。小中は教材が決まっていますが、高校はある程度講師に一任されているんです。どんな教材や教え方がこの子に合うのか、カスタマイズしながら試行錯誤できる。もちろんプレッシャーもありましたが、担当生徒の成績も上がっていくのが嬉しかったですね。

ビジネスの根幹、営業を10年

ーーー その後どんな社会人生活を送りましたか?

その後、父の病気をきっかけに母の元に戻ろうと考え、地元新潟での企業就職を決めました。元々テレビが好きだったこともあり、マスコミ業界を志望。高校野球の中継を放送するUX新潟テレビ21から一番初めに内定をもらえたので、迷わず入社を決めました。

10年勤めたうちの多くは営業を担当。今思うのは、営業ってビジネスの一番面白いところだな、ということです。

ビジネスにおいて、お金がないと何もできません。なので、営業担当として銀行から融資してもらったりクラウドファンディングなどで工面しようとする。お金を準備すること、あらゆる工夫を凝らすことはもちろん大変です。ですが、そこで工面できた千万円単位のお金は、クライアントの要望に添えればどう使うかは自由。

出演者をキャスティングしたり、番組制作に対してすべての責任と決定権を持つプロデューサーのような動きをすることもあったり。制約の少ないところが楽しかったんです。

あとはイメージの通り、営業に接待はつきものでした。年間100〜150回くらい接待していましたね。接待って、嫌いな人も多いけど、できないよりできたほうがいいものだと思っていて。場を盛り上げられる人とそうでない人。その差で選ばれるなら、できないよりできたほうがいいですよね。もちろん無理にやれとは言いません。ただ、実際にそんなお付き合いのおかげで独立後にお仕事をいただけることもありました。

テレビにおける数的根拠

ーーー 楽しみながら働かれる中、どうして転職・独立を決心したのですか?

昨今、映像コンテンツの多様化が進み、テレビの価値が問われていますよね。僕が働いていたのもまさにそんなテレビとデジタルの黎明期。

テレビでお店を紹介するとその日のうちに行列になったり、企業さんもテレビに露出すると喜んでSNSにアップしてくれたり。テレビの影響力は変わらず強い。とはいえ、この先どのようにテレビの価値を出して行くべきか、僕自身ずっと悩んでいました。実際にWebとの繋がりを意識してインフルエンサーを起用した番組を企画したこともあります。テレビがどのくらい売上に貢献するのか、数字を求められ始めていたんです。

ただ、その証明があまりできなかった。できることは視聴率をもとにこのくらいの人たちに見られました、という推定くらい。一方で、テレビCMの費用対効果を見える化するITベンチャー企業なども現れ始めました。

テレビが好き。だからこそ、ITの知見を得てテレビを外から支援したい。そんな思いで、独立を前提にインターネット広告会社に転職しました。まずはデジタルマーケティングの知識をつけようと考えたのです。

ここでは、広告代理店と一緒にテレビとYouTube広告の連動企画を試みたりしました。初歩的ですが、当時の新潟だと一歩踏み出していた。この会社では短期間にぎゅっと実務を経験させてもらい、2021年10月にメディアプランニング事業を軸に個人事業主MoAsobi(モアソビ)として独立。その後、株式会社化しました。

いま、とっても楽しいです。あらゆることを仕事にできるので、今までで一番自由ですね。

期待に添いつづけられるのが複業

ーーー MoAsobiとDERTAだけでなく複数社において複業を実践中ですよね。

今は5社と業務委託契約をしています。関心の幅も広がり、テレビやWeb広告に限らず経営面のお手伝いをすることもあります。Webメディアのコンサルやデジタルマーケティングの営業代行などがメイン。他にも、全国のテレビ局と新規事業立ち上げ支援なども行っています。

これらはプロジェクトごとにチームを組んでいます。人脈に助けられていますね。自分が手を動かし始めるとたちまちパンクするので、意思決定と取りまとめ役になることがほとんどです。実務がない代わりにずっと頭を回転させている忙しさがありますね。

この複業において意識しているのは、ビジネスマッチングです。

例えば、A社のテレビ局との仕事で地方に行くことがあります。出張先では、ニーズが合いそうであればB社の営業の話もしてみるので一石二鳥。すべての活動でどの仕事に結びつくかを考え、無駄のない動きを試みています。

テレビ局時代は、解決できるリソースはテレビのみ。それ以外の提案を求められたときに歯がゆい思いをしたこともありました。一方今は、クライアントのどんな要望にも応えられる。制約なくジャンルに手を出して、切れるカードをたくさん持っていたいですね。

大好きな地下街、西堀ローサの再興

ーーー DERTAではどんなことに取り組んでいますか?

DERTA CEOの坂井が、高校の同級生で。元々好きだった新潟古町の地下街、西堀ローサを盛り上げたいなとSNSに投稿したら、坂井が10年ぶりに絡んできてくれて。「めっちゃいいね」と賛同してくれたんです。

天気の悪い新潟でも雨風の影響を受けない地下街であり、近隣の商業施設とも連携していて回遊性もある。しかし、経営不振により閑散としている現状。もったいないよね、何かやれないのか、という話で盛り上がりました。

その後DERTAに誘ってもらい、参画後は西堀ローサの再興をめざした「古町夜市」を企画しました。

苦労したのが、地下街である西堀ローサは商業施設というより道路の区分であり管轄が国だったこと。様々な制約があるなか、DERTAには新潟市議会の議員さんを紹介してもらい障壁を一つずつ取り除いてもらったり、クラウドファンディングに向けた支援をしてもらうなど、僕は突っ走るだけ。という状態を作ってくれました。そのおかげで2022年12月、ようやく古町夜市開催に漕ぎ着けることに。

ところが残念ながら、開催日は最強寒波の到来予報が発令される事態に。新潟地方気象台・NEXCO東日本が会見を開き不要不急の外出を控えるよう呼びかける超悪天候に見舞われました。運営としても無理な来場は控えるよう告知しながらも、実際に足を運んでくださった方々のおかげで、2023年10月に第二弾の開催にも至りました。

▼イベント当日の様子を含むダイジェストムービー

DERTAのような存在は全国に必要

ーーー 今後DERTAで挑戦したいことや、感じる可能性は?

DERTAとして、テレビ局におけるDX支援の可能性を感じています。

日本の媒体別広告費の推移を見ると、インターネット広告費が、2006年に雑誌、2009年に新聞、さらに2018年にテレビをそれぞれ上回っています。紙媒体は以前よりインターネット広告に超されてしまったためデジタル化を強く意識していますが、テレビは広告代理店が頑張って営業してくれるおかげか、心なしか危機感が薄い。

テレビが衰退すると代理店も困る。業界全体が危ない今、テレビ局のDX支援は、僕がデジタル領域に強みを持つDERTAに入ってできることの一つだと考えています。

加えて、DERTAのような企業は、新潟に限らず全国に必要だと思っています。複業人材からなる構成で、地域のクリエイターが集まるコミュニティを運営している。

営業視点でいうと、コミュニティに目をつけている企業はとても多いんです。単純にセミナーを開催するよりも、コミュニティに向けてセミナーをする方が商品の訴求力が高いからです。一方で、コミュニティの構築は簡単にできるものではありません。なので、実際に営業先でDERTAに関心を持ってもらうことも多く、DERTAでやっていることは新潟から全国に支社があってもいいくらい意義のあることだと感じています。

自分の体験が付加価値になる時代

ーーー 最後に、いま自身の武器を見つけられずにいる方へメッセージをお願いします。

時代に逆行するようですが「家にいるな」ですね。リモートワークはすごくいいことだと思っています。ただ、AIが実用化されはじめ、多くのものがそれってAIでいいじゃんと言われる今。自身の体験がより重要になっていると感じています。

Webメディアの編集長をしていて思うのは、記事自体はAIでも書けてしまうということ。付加価値として、ライターの体験や独自取材などからオリジナリティが出せるかが大切なのです。そういった視点は自分の体験からしか生まれてこない。いかに自分だけの体験を積み重ねられるかがこれからは勝負なんです。

そこに気づかず、家でのほほんとしてるとAIに代替する人材になってしまう。リモートワークを活用すれば、京都に行って枯山水や石庭を見ながらPCで仕事ができる時代です。自分自身の足を使い、目で見て、肌で感じて、いろんな体験をしてほしいなと思います。そして多様な人に会ってビジネスの幅を広げていって欲しいですね。

ぜひ、自分の足で新しいチャンスを獲得してください。