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わが街の伝統産業  宮崎県・日南市

第46回 宮崎県日南市 〜九州の小京都・飫肥藩の城下町は殿様に絶賛された厚焼き卵と飫肥杉の街

 宮崎県南部にある日南市。人口は約5万人の街。江戸時代に伊東氏飫肥藩5万石の九州の小京都といわれた城下町。今でも、宮崎県でも屈指の観光地となっている。その中でも、飫肥藩の時代から約300年続いている「厚焼き卵」が地域の特産品となっている。

 この「厚焼き卵」。実は卵というよりも和風プリンのような口あたりで、濃密で上品な味わいとなっているデザートのような感覚なもの。当時から飫肥藩を治めていた伊東氏の殿様に献上され、絶賛されていたものだ。表面の輝きや大きさのインパクトが観光客の人々の目をひき、飫肥を代表する観光土産にもなっている。

 「厚焼き卵」は、卵20個を溶かして、白砂糖、みりんに塩を加え、重さが5キロを超えたものを縦18センチ、横も18センチ、深さが6センチの銅鍋に一晩寝かせる。これを七輪を使った直火焼きで弱火で1時間で焼き上げたものが「厚焼き卵」の完成である。

 完全な手づくりなので、大量生産ができない。今でも地元の人々に対して、お正月や結婚式などのハレの日の逸品として提供するなどして受け継がれている。

 飫肥を代表する日南市は、「厚焼き卵」以外にも飫肥杉を中心とした林業も盛んに行われている。飫肥杉も伊東氏が治めていた飫肥藩時代に植林され、約400年の歴史がある。南九州の高温多湿な気候で育ち、樹脂を多く含んで弾力性があり、湿気に強くて腐りにくい。

 加えて、曲げに強く、衝撃によって割れることが少ない。よって、飫肥藩時代には幕末の伐採期に瀬戸内海沿岸の造船地帯で大量に取引がなされ、木造船の造船材として使われてきた。

 明治時代から大正時代を経て、昭和40年代までは西日本の木造船の大半に利用されていたが、現在では木造船の生産がなくなり、主に柱や板などの建築構造用材として使用されている。1991年(平成3年)からスギ素材生産量が日本一となっており、地元を代表する地場産品となっている。

   提供:伝統産業ドットコム
#日南市 #飫肥杉 #厚焼き卵 ♯小京都 #和風プリン

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