発達障害の基礎知識をアップデートする(第二回)~ハッタツ民の方舟 第九回(随時更新)

※筑波大学DAC(ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリア)センター作成

投薬による特性のコントロール(≠治療)

・コンサータ
脳の覚醒度を上げる
・ストラテラ
過集中をコントロール
・インチュニブ
情動(急激な感情の高ぶり)を安定
・ビバンセ
注意力を高めて落ち着きを取り戻す
・抗精神病薬(リスパダール、エビリファイ)
ASDの一部に見られる易刺激性(感覚過敏/攻撃性傾向)をコントロール
・抗てんかん薬(デパケン、ガバペン)
気分を安定
・抗不安薬(デパス等)
不安や緊張を和らげる
・漢方薬(抑肝散加陳皮半夏)
ストレス性の心身症状を緩和
・抗うつ薬
・睡眠薬

医療による投薬以外のアプローチ

「自分というキャラクターを深く理解した上で、オリジナルの戦い方を編み出せばいいんです」(ドラマ『リエゾン』より)
・武器(特性に合った道具)を持たせる
・鍛え方(ライフハック)を身に付ける
・呪文(特性を活かした能力)を発動できるようにする…etc.

リハビリと発達障害への対応の類似

(かしこさんのコメント)
事故/体の病の後遺症による「脳疾患」で…感覚過敏も然り、感覚鈍麻も引き起こされる事あります。
例えば頭と手足の協同作業を繋ぐ シナプスが壊されると「麻痺」が出るように…感覚も無くなる事あります。
・ST(言語療法)
・OT(作業療法)
・PT(理学療法)
これらの専門的医療アプローチによる 体の外から働きかける外部刺激(リハビリ)によって、新たなシナプスの繋がりが生まれる事があります。
リハビリの最たる目的は 新たな(脳神経も含む)体の各部位を繋ぐ連絡通路の開設/構築を意図的に作り出す事でもあります。
リハビリの概念/方法など 発達特性強めの方に働きかける「療育」の精神/基本概念にも活かされてます。
具体例 ソーシャルスキルトレーニング(SST) 認知行動療法、ABA…など
あくまでも私見です。

認知行動療法

(かしこさんのコメント)
医療機関では主に認知行動療法を行います。認知行動療法で使われる技法は、主に以下のとおりです。
具体例…認知再構成法、曝露反応妨害法、行動活性化療法、社会技能訓練(SST)、問題解決療法、リラクゼーション法、アサーショントレーニング、アンガーマネージメント、スキーマ療法、弁証法的行動療法など
認知行動療法の目的
あくまでも…まだ自分が持ってない視点/捉え方を知り、自分の認知のレパートリー(考え方、解釈など)を豊かにして、行動の選択肢を増やすのが目的です。
医療的アプローチを用いて、患者さん自身の認知/思考/視点を矯正する目的では決してありません。

困りごとと対策

対人関係の困った

他人を観察して対人関係のテクニックを身につける(自己流SST?)
哲学対話のように、ボールを回している感覚で、しゃべる順番とタイミングを身につける
メタ認知・アンガーマネジメント・アサーション
出力を三割に抑える
メルトダウンとパニックの対処→思い通りにならない「パニック」は発散させて対処、感覚が許容量を超える「メルトダウン」は時間をかけてクールダウン

日常生活の困った

・忘れ物、紛失物の対処法
例…予備を多めに用意する。ポカヨケ、ホワイトボードに必要な物リストを書く。物の場所を決めて、中身の写真・名前のラベルを引き出しに貼り付ける。何でもボックス(本質箱)を作る。
・遅刻、約束を守れないの対処法
例…ホワイトボードに守りたい用件と時間を書く。メモ用紙にストラップをつけて首に下げる。スケジューラアプリで予定管理する。リマインダーのセット。行動に敢えて時間的ゆとり分を含める。
・片付けができない
例…書類は、紛失したら大変な書類、そうでない書類で分ける。判断に迷う書類には保留箱に入れる。3日~7日に1回、保留箱の書類を確認して、明らかに不用な書類は処分する。
・家事ができない
例…デパ地下、スーパーなどのお惣菜に助けを借りる。冷凍食品も便利。家事代行業者、福祉サポートのヘルパー支援を利用するのもアリ。
・感覚過敏の対処法
例…服肌触りの良いもの、着心地を確かめて買う。肌着に拘ることで上に着る物が着用しやすい工夫する。光過敏対策でカラーグラス着用もアリ。聴覚過敏対策で専用イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホン、ライブ耳栓などの使用も有効。

仕事の困った

例…ナビゲーションブックを作成する。肌着に拘ることで上に着る仕事着が着用しやすい工夫する。通勤、勤務中も光過敏対策でカラーグラス着用の合理的配慮を申請する。聴覚過敏対策で専用イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホン、ライブ耳栓などの使用も申請する。パーテーション(仕切り)設置で集中しやすい環境用意をお願いする。

学業の困った

例…サポートブックを作成する。学校で使用する靴、ジャージーなどは肌触りの良いもの、着心地、履き心地を確かめて買う。肌着に拘ることで上に着る物が着用しやすい工夫する。場合によりタブレット使用、使いやすい筆記用具などの許可申請をする。聴覚過敏対策で専用イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホン、ライブ耳栓などの使用も有効。パーテーション(仕切り)設置、カームダウン方法などの共有もする。

家族の困った

例…家の中にカームダウンの部屋もしくは専用スペース(※)を用意する。相談支援所に電話相談する。医療機関提供の親子教室、集団療法の活用もアリ。福祉デイサービス利用もアリ。家事代行業者、福祉サポートのヘルパー支援も活用できるように手続きする。

※専用スペース(ダンボール、1人用テントも🉑)を作り、中にお気に入りのリラックスグッズ/飲み物などを用意して置く

受けられる支援

「福祉は申請主義」「基本的にこちらから申し出なければ動いてはくれません」「何をどう利用できるのか知らない方が多いと思います」(ドラマ『リエゾン』より)なので、こちらから申請しないと話が進まない
「使える制度は全て使うようにしましょう」(ドラマ『リエゾン』より)
・自立支援医療(負担が一割)
・障害者手帳(初診から半年)
・療育手帳(障害者手帳とほぼ同じ)
・障害年金(初診から一年半、遡及請求可能)
障害等級1級/2級の方
「障害基礎年金+障害厚生年金」
障害等級3級の方
「障害厚生年金」のみ受給
自分でも請求できるが、社労士の手を借りることも可能(成功報酬でやってくれるところもある)
詳しい受給要件については要確認

・ヘルプマーク
助けを求めやすくなる
・ソーシャルスキルトレーニング(SST)
・自立生活援助(ヘルパー)

発達障害支援センター(名称は自治体による)
各自治体にあり、療育・就労などの支援の窓口になる
初回面談まで数ヶ月待たされる場合がある

相談支援事業所(相談室)
障害がある人の生活の困りごとに対して幅広く対応している窓口
地域密着型で、当日に電話相談できるフットワークの軽さがある

ソーシャルスキルを身に付けるには

・アサーション
・カウンセリング
・ソーシャルスキルトレーニング(SST)
・厚生労働省の訓練プログラム

合理的配慮

「お情け」でも「当然の権利」でもない、共存するためのメソッド

サードプレイスとしての自助会

生きるには最低でも家庭・職場(学校)の他にサードプレイスが必要
家庭や職場(学校)でストレスを溜めやすいハッタツ民にはさらに必要
自助会はサードプレイスであると同時にピアサポート(当事者同士による支え合い)の場でもある
原則は「言いっぱなし・聞きっぱなし」
※病院も福祉支援も療育も服薬も然り、自助会にも相性はあります。当事者だけでなく…病院、福祉事業所などで主催する自助会もあります。自分の中の正解を探してみましょう。実施形式はスペース・ディスコード・ダイアログなどのネット経由、趣味も交えたオフ会まで様々です。
日本最大の発達障害の当事者グループ「さかいハッタツ友の会」

発達特性を持つ子供の支援

療育と呼ばれる領域

医療機関の主な療育

・カームダウンとマインドフルネス
・言語聴覚士による遊びを通した感覚統合とSSTの複合療法
・ST(言語療法)
・OT(作業療法)
・PT(理学療法)

福祉事業所などの主な療育

・TEACCH
・ABA(応用行動分析)
・遊びを通した集団療法(感覚統合とSSTの複合療法)
・生活のリズムを掴む/整える習慣
・運動アプローチによる感覚統合
・コグトレ(認知作業トレーニング)
療育の利用条件は、自治体ごとの判断と方針に委ねられる部分が大きい傾向がある。

自治体Aでは担当医の診断がないと受けられないが、自治体Bでは医師の意見書と役所発行の「通所支援受給者証」取得で受けられるなど…支援受給可能な条件の違いがあるので要注意。

発達障害者の就労

クローズ就労(普通の就労)orオープン就労(手帳が必要)
ハローワークには発達障害者雇用トータルサポーター・雇用トータルサポーター(大学等支援分)が配置されている
職場定着のためのジョブコーチ支援
就労継続支援A型・B型
ナビゲーションブック(就労パスポート)
ジョブスキルトレーニング

カサンドラ症候群

主にASD者のパートナーが陥る、コミュニケーションや情緒的な絆を育むことの難しさから、不安や抑うつに陥る状態のこと

「死にたい」にどう対処するか

生産性を第一とする優生思想が間違っていると教えることはできても、内面化された優生思想が本人を苛む
※二次障害の症状としての希死念慮と、思想としての「死にたい」の区別に注意

宇宙人と呼ばれる

特性から発生する理解のされなさ

工場労働が発展して知的障害が発見され、サービス業が発展して発達障害が発見された

部族のダンス→音ゲーコミュニケーション

「定型の方々はテンポ良くコミュニケーションをとってはりますどすなあ」
……ここまでやったら結局イヤミになるが(もちろんギャグですよ)、定型側が不愉快に感じる物言いについては再考の必要があるかもしれない。定型とハッタツが分断されて対立して喜ぶのは真の敵「定型社会」である。

音ゲーコミュニケーションへの対処

あえて「自分らしさ」を貫いても、意外と残ってくれる人はいる
アサーションで相手を尊重する
「相手の話を聞いている」ことを示す、相手に気持ちよくしゃべってもらう

会話において重要視する感覚の違い

会話において、ASD者は「会話の内容」を、定型は「相手の反応」を受け取っている?
そしてASD者にとって「相手の反応」はノイズですらあるので不快だったりするし、定型は内容に意味を持たせていない場合もあるので、ディスコミュニケーションが発生しがち

ASD特性の強い方の中には…見えにくい、掴みにくい、不確定要素も高い「気持ち/雰囲気/反応を読み取る」よりも、証拠に残る文字(確定/安定要素も高め)に安心感を感じてる可能性も?
ASD特性を持つ方の中には「韻律(※)が掴みにくい/聞き取りにくい」方もいます。強く表れると「APD(聴覚情報処理障害)」の診断名がつく場合もあります。
※韻律(プロソディ)…イントネーション(音の上げ下げ・抑揚)、音の長さや強弱、区切る位置など言語の音の特徴を表す総称。

アサーションで相手を尊重する

「相手の話を聞いている」ことを示す、相手に気持ちよくしゃべってもらう

天気の話をする理由

近いところに住む方には比較的共感も得やすい共通話題「天気」の話。天気の話キッカケで、相手の会話の出方/体調/趣味などを探ることもある。相手が会話をすぐ切り上げる場合…主な理由として…心身の調子が悪い?用事と時間が迫ってる?など今ゆとりが持てないので話を切り上げたい、が考えられる。
相手の事をまだ知らない時点で「興味、関心、趣味、共通の知識など」で会話をする事は…かなり賭け(ギャンブル)に近いものがある。褒め言葉も、段階と時間を経て、慎重に「相手に敬意を持って」探る、接すると人間関係が円滑にいくかも?

発達障害と聴覚情報処理障害

ライフハック集


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