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重言!? 真夜中のミッドナイト

サンドウィッチマンさんのコントに出てくる架空のラジオ番組名『真夜中のミッドナイト』を始めて聞いた時には、脳ミソが痺れました。有りそうで、絶対に無い”それらしい番組名”が絶妙です。

実はこのような意味が重なる表現は昔からあって、重言じゅうげんと呼ばれています。重言のわかりやすい例は、「馬から落馬する」や「頭痛が痛い」などです。多くの場合は誤用と見なされますが、意味を強調したり語調を整えるための修辞技法として”あえて”用いられる場合もあります。先程の例の正しい表現は以下の通りです。

 △馬から落馬する ⇒ 〇落馬する/馬から落ちる
 △頭痛が痛い   ⇒ 〇頭痛がする/頭が痛い

先程の2つの例は、よく考えれば”おかしい表現”だと気付きますが、以下のように”おかしいとは思わずに”使っている例も結構あります。

 △過半数を超える   ⇒ 〇過半数に達する/半数を超える
 △はっきりと明言する ⇒ 〇明言する/はっきりと言う
 △あらかじめ予約する ⇒ 〇予約する/予め約束しておく
 △後で後悔する    ⇒ 〇後悔する/後で悔いる
 △車に乗車する    ⇒ 〇乗車する/車に乗る

最初の例の”過半数を超える”は、選挙報道などで普通に使われている気がします。また「後で後悔することになるよ」なども普通に使っていそうです。

重言には3つのパターンがあるみたいです。1つ目は『馬から落馬』型で、”日本へ来日”、”挙式を挙げる”、”船に乗船”などの例が挙げられます。2つ目は『プロテスタントの牧師』型で、一見すると違和感がありませんが意味がダブっている場合です。この例では、”若くして夭折”や”壮観な眺め”が挙げられ、”過半数を超える”もこのパターンです。

さて、『最後のラストスパート』です。

3つ目は、厳密に言えば問題がないけど、意味が重なっている『違和感を感じる』型です。このタイプには、”犯罪を犯す”や”被害を被る”などがあります。これらの表現は、ふだん”違和感なく”使っていますが、実は「感じなければ違和感はなく、犯さなければ犯罪は生じえない」ので意味が重なっています。

日本語は柔軟性が高いので、それだけに多様な表現が可能です。これからは、”違和感を感じない”表現を心掛けたいと思います。

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