見出し画像

事件はGoogleアースで起きている。

やっちまった。ドン、ガリッと音がしたと思ったら左のバンパーからドアにかけて派手に凹みとキズができている。慣れすぎる位なれた場所での自損事故。油断以外のナニモノでもない。

走行に問題はないのだが、そのままの姿で走り続けるのは痛々しすぎるので、車両保険を使うことに。保険会社に連絡し「これこれしかじかな状況で使いたい。ディーラーを通して修理に出したいのでよろしく」と伝えると「かしこまりました。免責はありますが承ります」とのこと。やれやれ。

修理に出したあくる日、ディ-ラーの担当の方から「板金屋さんに出したクルマを保険会社が見たら、今回のものとは思われない箇所があってそこは保険の対象外になると言われ今修理がストップしている」とのこと。保険会社では依頼を受けると、アジャスターという人がこうした検分を行う。該当の箇所は、それこそ今回の主たる部分になるのだが何をねぼけたことをおっしゃるのやら。

保険会社と急ぎ連絡をとるが、電話に出た女性によると「確認した現場で起きたとは考えられない損傷なので対象外になる」という。「現場を確認したのですね」「はい、国道のあるところですね」「いや、県道だけど」「ほんとうに確認したのですか」「はい。Googleアースで確認しております」どうやら現場というのは今はGoogleアースを指すらしい。しかし会話の様子から違う場所と勘違いしていないか。その旨を指摘して立ち会うので現場に来て欲しいと言っても「Googleアースで確認しているので」の一点張り。話聞いてますか?

ラチがあかないので、話の通じる人から改めて連絡がほしいと伝え待つこと数十分。痺れを切らした妻が本社のお客様相談室に現状を伝えると、ほどなくして上長らしき男性から連絡が。反応がわかりやすすぎますがな。リアルな現場での立ち会いを改めて希望するとあっさり承諾した。

翌日、待ち合わせの場所に行くと2人の男性が先に到着をしていた。巌流島でもないのだが、どういう詭弁を使ってくるのか、刀の柄に手を添えて身構えながら現場へ向う。男性たちが向ったのは県道の方だった。一通りのこちらの説明を聞くと「状況は理解できました。今回は保険の適用に問題はありません」とのこと。一体昨日のトラブルはなんだったのか。「私どもは予めGoogleアースでここを確認してあったので、問題ないと思っていた」というようなことを言う。その時間を聞くと夕方5時頃らしい。「国道」と言われたのはその何時間も前ですが、はて?

前日の初動ミスについては最後まで「間違っていた」とは言わない。やりとりの間、彼らの目が笑うことは決してない。マスクをしたままなのでその眼差しがより強調される。ひねくれた言い方をすればこちらのエラーを見逃すまいとするような。まあ、少なからずこちらもそういうスタンスで向き合っているのだけれど。しかしこちらはノーマスクだ。

クルマは先日無事戻ってきた。しかしあやうくウルサいカスハラ親父にされるところだった。「保険屋なんてどこでも同じ、そんなもの」とはよく聞く話で「そうかも知れない」とは思うが、それでいいのか?


見出しのイラストは「上の森シハ」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?