シズ

千葉県佐倉市在住。大動脈解離から命からがら生還して7年余の65歳。自覚の足りない初老。…

シズ

千葉県佐倉市在住。大動脈解離から命からがら生還して7年余の65歳。自覚の足りない初老。日々雑感、ボケ防止の書き散らかしです。

最近の記事

寶登山神社と奥宮へ。

二泊三日の小旅行の帰途に立ち寄ったのは長瀞町にある寶登山(ほどさん)神社。これで秩父三社のイージーツアーは完了になる。この日はぐんぐん気温が上がるという予報、前日に三峯山のミストを浴びていた身体は果たして大丈夫か。涼しげな風鈴に送られて宿を出る。 いきなり話はそれるが、前の晩に宿の屋上でスタッフの解説による星空鑑賞会があった。何人位参加するのかと思いきや20名ほどが集まってなかなかの盛況。星座に詳しい男性のスタッフが、星占いの話を交えながら面白おかしく解説してくれるのだが、

    • 山霧の三峯神社から秩父神社へ。

      奥武蔵に宿を取り、翌朝奥秩父・三峯神社へ向かう。30年位前に訪れたと思うのだが妻も私もかなり記憶は曖昧。確かロープウェイを利用したと思うのだが(今は廃止されている)。行けば何か思い出すかもしれない。標高1000メートルを超えるところにある三峯神社までは、途中に待避所がいくつもある長いワインディングロードを登っていかなければならない。前夜の雨で霧が立ちこめフォグランプの助けを借りながらの登攀。それでも退屈なわりに必要以上の緊張を強いられる高速道路に比べればこっちの方が数段ハンド

      • トーベ・ヤンソン あけぼの子どもの森公園

        秩父への小旅行の途中に立ち寄った飯能市の公園。トーベ・ヤンソンの許可を得て彼女の世界観を取り入れたという話題のスポット。広すぎない園内は散策にふらっと立ち寄るのにちょうどいい。なにしろ無料なので気持ちもフラット。初夏の心地よい風が渡る中をのんびりと見て歩く。 子どもたちが真っ先に向う「きのこの家」に、もちろんいい歳をしたオトナも入っていく。暖炉のある一階の広間から階段を上る。フィンランドの暮らしを彷彿とさせながら異世界に潜り込んだような不思議な空間。そこかしこに小さな隠し部

        • 白い一日

          誰でも一つや二つ歌詞の聞き間違いはあるもので、例えば「ウサギ美味しいかの山」なんてのは、もはや間違いを通り過ぎてもうひとつの歌詞として市民権を得ているといっても過言ではないと思う。中島みゆきにも「キツネ狩りの歌」という作品があることだし、狩猟ソングの一員に加えてあげてもいい。 ところで小椋佳に「白い一日」という歌があって、これがとてもやっかいだ。あることをするたびに必ずこの歌が脳内で再生される。静かに深く流れてくる歌詞の冒頭は下記の通り。 静謐としたその情景に作者は何を言

        寶登山神社と奥宮へ。

          事件はGoogleアースで起きている。

          やっちまった。ドン、ガリッと音がしたと思ったら左のバンパーからドアにかけて派手に凹みとキズができている。慣れすぎる位なれた場所での自損事故。油断以外のナニモノでもない。 走行に問題はないのだが、そのままの姿で走り続けるのは痛々しすぎるので、車両保険を使うことに。保険会社に連絡し「これこれしかじかな状況で使いたい。ディーラーを通して修理に出したいのでよろしく」と伝えると「かしこまりました。免責はありますが承ります」とのこと。やれやれ。 修理に出したあくる日、ディ-ラーの担当

          事件はGoogleアースで起きている。

          スマホを落としただけなので。

          長い長い幻覚から解放されてようやく一般病棟に移ることができたのはいいのだが、今度はまったく眠れなくなってしまった。急性期リハビリも始まり体はそれなりに疲れているはずなのだが、一向に眠くならない。消灯時間になり病院が静けさに包まれると、えもいわれない静寂との闘いが始まる。ICUやHCUでも眠れなかったのは同じなのだが、半分はどこかへ行ってしまっていたので、夜というものがこんなに長いとは思わなかった。 ぼんやりとテレビの画面を見ながらようやく手元に戻ってきたスマホを操作してみる

          スマホを落としただけなので。

          西川美和著「ハコウマに乗って」

          今年のGWは狙ったかのように谷間の3日間を除いて好天で気温もうなぎのぼり。コロナも明けた(忌明けみたいなつもりか)ぞ、鎖を外してやるから海なり山なり行ってこいと言わんばかり。毎日が何曜日?のわが家は半径10㎞以内の日常で100円アイスをほおばっている。 そんな気分でふっと平積みから手に取ったのが西川美和さんの「ハコウマに乗って」というエッセイ集。装丁にひかれたわけでもなく(むしろもうちょっとどうにかならなかったかと思う)強いて言うなら帯にあるご本人の柔和そうなほほえみに惹か

          西川美和著「ハコウマに乗って」

          30年目の大移動。

          ここ数年「いずれは」と言いながら先延ばしにしていた計画を実行に移すことにした。30年の長きにわたり2階にあった寝室を1階に移す。合わせて布団からベッドに変更をする。老い先を考えれば今のうちに着手しなければ機を逸してしまう。問題は、寝室にする予定の部屋である。和室の8畳間なのだが、そもそも客間としてかつては少なからぬ人をお招きしてきたのだが、近頃はとんと人を呼ぶこともなくなり、これ幸いと半ば物置然となっていった。ここを寝所として再生することが喫緊の課題だ。ふたりそろってミニマム

          30年目の大移動。

          ハンカチの木、あるいは幽霊の。

          ハンカチノキが花を咲かせているというので千葉市都市緑化植物園へ。ちょうどひと月前に訪れた時に比べ、木々はすっかり全開の新緑になっている。園内を歩き数人が立ち止まっているところに行ってみると案の定うわさのハンカチノキ。ひらひらと白い衣装を身につけていくつもぶら下がっている。花を囲む2枚の苞葉と呼ばれる部分がハンカチに見えることからつけられた。原産は中国・四川省および雲南省付近。ジャイアント・パンダの発見者としても知られるダヴィッドさんというフランスの学者がその存在を世に知らしめ

          ハンカチの木、あるいは幽霊の。

          採血の日。

          先月新しいかかりつけ医の先生にお会いし、次回は採血・採尿を行う旨を通達された。通達というと何を大げさなと思われるかもしれないが、私の血管は人一倍細く見つけにくい。採血者泣かせ選手権があったら県代表くらいにはなれるんじゃないかと思う。命からがらの大病を経験しているので採血の場数は相当踏んでいるはずなのだが、当日は朝からどんよりとしてしまう。大学病院のようなところでも左がダメなら右かしら、手首や手の甲でもいい?と聞かれ、挙げ句の果てはベテランの方にお出ましいただき一件落着という事

          採血の日。

          エミール・ガレとついでの渋谷。

          渋谷区立松濤美術館で開催中のエミール・ガレ展へ。妻と学生時代からの共通の友人(女性)の3人。ガレは妻がお気に入りの作家で「ぜひ観たい」というリクエストに応えて。松濤美術館にはまだ行ったことがなく、オットにもいい機会だったのだ。白井晟一という人の設計によるその建物でも知られている。花崗岩の外壁に木が効果的に使われた大きなフェイス、狭い入口が異空間への手招きをする。区立としては破格の予算が投じられたという建物は、閑静な住宅街という立地と敷地の狭さを逆手にとって、個性的な中にも様々

          エミール・ガレとついでの渋谷。

          葉桜の季節に歯を抜くということ。

          毎月「お掃除」をしてもらっている歯医者で虫歯が見つかった。もう久しく聞いていなかったので何だか懐かしくその言葉を聞いた。ごく初期の虫歯で2~3回通って簡単な治療をして終わった。そのとき対角線上にある右上の奥歯がもう限界であることが発覚。よく歯茎が腫れるところだったので懸念はしていたのだ。先生曰く「抜いてしまえばおそらく炎症を起こすこともなくなると思う」とのこと。さらにその奥にオヤシラズが隠れていて「抜くことで数年後にはニョッキとでてくくるかもしれません」「タケノコのように?」

          葉桜の季節に歯を抜くということ。

          桜前線を市内で北上。

          満を持してというか今週各地で届いた桜の便りは、あっという間に東北まで届いたらしい。昔々ゴールデンウィークに角館で桜を観た記憶があるが、ちょっと早すぎないか。桜前線までタイパじゃあるまいに。 というわけで負けじと一日で桜前線を追いかけるつもりで雨上がりの日本晴れに車を出す。主要3カ所はすべて日常の生活圏内、えっ? はじめは印旛沼に注ぐ鹿島川の支流・高崎川の桜から。川沿いに遊歩道が整備され、近隣の人が桜を愛でながら行き来する。シートを広げて花見などをする人もいないのがいい。

          桜前線を市内で北上。

          放課後の落ち着く空間。

          体育館に入り、バスケットボールやバレーボール部が青春の汗を流しているその脇を、決してお邪魔はしないからとそろそろと通り抜ける。頭の上のバルコニーでは決まって数人の女生徒がそれぞれの「推し」を熱いまなざしで応援しているのだ。バスケットボールやバレーボールは、練習を間近に見られるのでファンがつきやすい。 ステージに向って左手、即ち下手の扉をギギーとあけ、用具置き場でもあるスペースに設置された階段を3階まで上がると完全防音の部屋がある。8~10畳分くらいだったろうか、さして広くも

          放課後の落ち着く空間。

          国立歴史民俗博物館・企画展示「色尽くし」

          歴博でゴールデンウィークまで開催している企画展示の「色尽くし」。色と人間とのかかわりについて様々な角度から考えてみよう、というもの。「いろ・つや・かたちのアンソロジィ」とサブタイトルにある。 見出しの写真は京都・醍醐寺五重塔初層の彩色復元模型(実物大)の天井部。会場の入口に設置されていたものを下から仰ぐ。建築当時の絢爛豪華な彩色が復原されている。中に入ると彩色のもとになった下絵(文様復原原稿)と色絵具見本というのがある。原稿をつぶさに見ていると「コノワルノ始末は如何致シマセ

          国立歴史民俗博物館・企画展示「色尽くし」

          すいすいとモーツアルトにみづすまし

          この句を知ったとき、何がなんだかわからないが「やられた」と言わずにいられなかった。知る人ぞ知る俳人・江夏豊の手になる句と知って2度びっくり、そして納得。繊細にして大胆、ふてぶてしくもひょうひょうと打者を打ち取っていく彼の姿が不思議と重なっていく。さびしがりやで生意気で(キャンディーズか)憎らしいほど涙もろい。ミズスマシにもしんみりと語りかけられる人が江夏だと勝手に思っている。 スポーツは「詩」にあふれている。アスリートが極限の力を出したその一瞬、もしくは図らずもあけてしまっ

          すいすいとモーツアルトにみづすまし