『月獅』第3幕「迷宮」 第10章「星夜見の塔」<全文>
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第3幕「迷宮」第10章「星夜見の塔」
群青の闇を月がうすく照らしていた。
シキは星夜見の塔へと続く石段を、銀水を満たした手桶を提げてあがる。塔までの石段は「星の径」と称し、石英のかけらが埋め込まれている。それらは星の位置によって光る場所が変わる。塔までの道は幾筋も枝分かれしながら螺旋でのぼる迷路になっている。光が示す道しるべに従って登壇しなければなら